<ボブ・ベイリー>
1956年2月19日、オハイオ州のミドル・タウンの生まれ。4歳の時にオレゴンに越している。親の影響で、小さい時からジェイムス・クリーヴランド、マイティ・クラウズ・オブ・ジョイ、マヘリア・ジャクソンといったアーティストのレコードに耳を傾け、その後、エドウィン・ホーキンスとアンドレ・クラウチを聴き、新時代のゴスペルから多大なる影響を受ける。8歳からピアノを始め、その頃すでにシンガーとしての並々ならぬ才能を発揮。その後も正式に歌を学び、時にはクラシック音楽の唱法も取り入れることに。
大学卒業後、ニュー・ホープというクリスチャン・グループに参加。ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ベルギー、イギリスをツアーで廻り、その後はノース・キャロライナ州シャーロットをベースにするPTLシンガーズの一員となる。PTLシンガーズは、クリスチャン向けのTVチャンネルで毎晩、歌を歌っており、その地域のその手の人々には非常に有名な存在。ボブの後には、ビー・ビー&シー・シー・ワイナンズの2人も、そのグループに在籍したことがある。
PTLシンガーズで2〜3年歌った後、ボブ・ベイリーはソロ活動を目指してナッシュヴィルに移住。友人の助けもあり、1981年にTriangle Recordsから1stアルバム「Looking Forward」をリリース。そして、2年後の83年にCCMの大手Light Recordsから第2作「I'm Walikin'」を出すが、こちらはデヴィッド・ディッグスがプロデュースを手掛け、バックにはビル・チャンプリン、リチャード・ペイジ&スティーヴ・ジョージを始めとするLAの名手達が多数参加。日本でもAORのマニアたちからは静かな注目を集める。そして翌84年のグラミー賞では、"Best Gospel Perfomance, Male"にノミネートされ、その名をさらに広めている。
独特の高音は、CCM界広しと言えども、ワン&オンリーな存在であり、また、デビュー作から多くの作品を手掛けたように、ソングライターとしての才能も卓越したものがある。スピリチュアルなメッセージを感情たっぷりに歌いあげる姿はまさにインパクト十分。心地好さと攻撃性の両方を備えた貴重な存在になっている。
ソロ・アルバムはこの後の1988年、Airborne Recordsから「Bob Bailey」をリリースするがこちらはCCMではなく、セキュラーのレーベルから発売されたR&Bアルバム。マイケル・ジェイ、アラン・リッチ他ポップ畑のソングライター人が多数参加している。
その後はナッシュヴィルの音楽シーンで、セッション・シンガーとして活躍。CCMに限らず、幅広いフィールドで活動を続け、90年代に入ってからもワイノナのバンドにレギュラー参加するほか、マイケル・ボルトン、ビリー・ジョエル、フェイス・ヒル、ジェイムス・イングラム、リーバ・マッキンタイアーといったビッグ・ネームのCDでボブ・ベイリー(もしくはロバート・ベイリー)のクレジットを見つけることが出来る。