<デヴィッド・ディッグス>
1952年10月2日、ケンタッキー州フォード・ノックス生まれ。小さな時から、ピア ノや ドラムス、ギターなど各種楽器をマスターする。ノース・アフリカやハワイ他を転 々とし た後、カリフォルニア州オレンジ・カウンティに定住。本格的な音楽活動に力を入 れる。  1973年にマイナー・レーベルから初のリーダー作「First Flight」をリリース。 以外にもこの作品はビッグ・バンド・ジャズになっていた。その後も74年に「 Supercook!」、 76年に「Out On A Limb」、78年に「Elusion」と順調にソロ作をリリース。ジャズ /フュージョン界に新風を巻き起こしている。  一方、敬虔なクリスチャンである彼は、エリック・ネルソン、キース・グリーン 、 ボブ・カーライル等と共にCCMグループ:グッド・ニュースを結成。1975年に「Good News」を、そして77年に「Good News 」をそれぞれリリースしている。そしてま た そのCCMコネクションからパット・ブーン(クリスチャン系アルバムを数多くリリー ス) に認められ、彼のグループに(キーボードではなく)ギタリストとして参加。そし て彼の娘デビー・ブーンのバンドでもプレイするようになり、その評判がLA中に浸 透していく。さらに、いろいろな人気TV番組で音楽を担当。映画「California Dreamin'」のスコアもこのデヴィッド・ディッグスによるものだ。  そんな彼に目を付けたのがクインシー・ジョーンズだった。クインシーは、大ヒ ット・ アルバム「愛のコリーダ(Dude)」のツアーのアレンジャー、音楽監督にデヴィッ ド・ディッグスを指名。自慢のキーボード・プレイと音楽センスで見事、御大の期 待に応え、 今度はそこで親交を深めたLAの一流どころを起用し、再び、ソロ・アルバムの制作 に取り掛かる。そのアルバムは「Realworld」と題され、83年にPalo Alto Jazzから リリース。ここでは、かつての盟友ボブ・カーライルをゲスト・シンガーにフィー チャーした他、 ジェリー・ヘイ、ポール・ジャクソンJr、エド・グリーン等の名手と共に、自己の 幅広い 音世界を具体化していた。さらに、85年の「Streetshadows」ではボブ・カーライル に 加えてダイアン・リーヴスもリード・シンガーとして参加。その他のバックも、ル イス・ ジョンソン、リー・リトナー、ハーヴィー・メイスン、アーニー・ワッツ、ジョー ジ・ ハワード等、まさにLAの超一流プレイヤーが勢揃いした内容だった。さらに、86年 にも 「Right Before Your Eyes」を発表。ここにも、ボブ・カーライル、フィル・ペリ ー、 ダリル・コーリー、D.J.ロジャース等がヴォーカリストとして参加。アーティスト 達を 適材適所で使い分けるその手腕はかつての師、クインシー・ジョーンズに迫る、見 事な ものであった。  その後、デヴィッドは自己の原点を見つめ直すべく、インスト・アルバムの制作 に取り組み、89年にはニュー・エイジ系のレーベル:Artful Balanceから「 Nothing But The Truth」をリリース。さらに、91年に「Tell Me Again」、そして95年に「Eye Of The Storm」と発表し、コンテンポラリー・ジャズ・シーンに確実なる音のメッセージを 放っている。ここ数年は、他のアーティストのプロデュースやアレンジを担当する ことが多く、ソロ作をリリースするに至っていないが、現在はアイデアを温めてい るところ。 次なる作品が届けられるのも、そう遠い日では無さそうだ。