<12月7日(水)>
「今日の出来事」
●時差ボケも無くぐっすり眠れ、朝も9時前から街を散歩。出勤体制の人たちが闊歩する姿を目にし、ここがウォール街エリアだということを実感。スターバックスでコーヒーを飲んだり、トリニティ教会を見学したり、グランド・ゼロを半周したり、なんとなく観光客気分になっている私ですが、しっかし、寒い! もうこれしか出てきません、サブい! いったんホテルに戻って再度出直すもすっかりテンション下降気味。再び、グランド・ゼロに行き、そこで特番のDJ:中田利樹、のナレーション録りを始めるも、寒さで口が思うように動きません。頑張らねば! そして、通訳の方と合流し、グリニッジ・ヴィレッジにあるクラブ:ブルーノートへタクシーで移動。インタヴューの前にまずはカフェ&レストランでブランチをし、いよいよ1時にという、スティーヴ・ベンスーザンが時間を割いてくれました。で、どんな特番か、ですね、問題は。これは、FM Co-Co-Loをキー局に、福岡のLove FM、名古屋のRadio-I、この3局ネットで展開する、1週間帯のスペシャル・プログラム。オン・エアーは来年の1月末になりますが、地球に優しい暮らし易い未来、をテーマに電事連さんがスポンサーとなって1年に1回制作する、リキの入った特番です。で、今回は2005年夏、アメリカ南部を襲った忘れ得ぬハリケーン、カトリーナからの流れで、その地:ニュー・オリンズが生んだ、アメリカの最も大きな遺産の一つ、ジャズをテーマに、その歴史を通じてジャズの奥深い魅力をリスナーの皆さんに伝えよう、という企画になりました。そして、本当はニュー・オリンズに行っていろいろな人に会ったり、というのが好いのでしょうが、最近になってようやくいくつかのクラブが再会した、というのを聞く程度で、とても取材などに時間を割ける状況ではないだろう、と判断。それよりも先にやらなければならないことがごまんとある筈ですからね。というわけで今回はNYとLAを訪れ、いろいろなジャズ関係者(クラブのオーナー、ミュージシャンetc.)に話しを伺い、そしてジャズの生演奏も思いっきり体験しよう、ということになったわけです。その最初の取材となったのが、ブルーノート・クラブのスティーヴさんへのインタヴューだったのですが、非常に好い方で、質問にはテキパキと答えてくださるし、かつ、そのクラブで録音したジャズのCDをいろいろとプレゼントしてくれました、「好かったら放送で使って欲しいな」という感じで。下さったCDはアルトゥーロ・サンドヴァル、エルヴィン・ジョーンズ・ジャズ・マシーン(バックにはマイケル・ブレッカーも参加)、ジェイムス・カーター(オルガン・トリオ)、さらにドナルド・ハリスン、ロン・カーター、ビリー・コブハムという強力トリオによるニュー・ヨーク・クール他数枚。何れもスティーヴさんが始めたHalf Noteというレーベルから発売されていて、全てディジパック、という仕様がまたまた嬉しいです。詳細はwww.halfnote.netまで。で、話し戻ってスティーヴさんからいろいろなお話を聞き、NYジャズ・シーンの現状が解ってきたわけですが、確認のため、「今夜のショーは見させていただけるのですよね」と尋ねると、「もちろん。ゲスト・リストに名前を入れておくよ」の後にこんな一言が。「噂だけど、今夜の2ndはスティングが来るらしいよ。あくまでも噂だけど」。ほ〜、そうですか。これは楽しみ! あくまでも噂だけかもしれませんが。
●その後、地下鉄で少し移動し、NYの街をまた体感しようとした一行ですが、あまりに寒い! なので、私は1人、いったんホテルに戻り、散歩に行ったスーツケースの様子などを探りつつ身体を休めることにしました。が、なんと、今日も戻らず。どうなってるんでしょう? 恐いです。そして、夕方、出直しスタッフ2人と合流。まずは、JAZZ at Lincoln Centerの中にあるDizzy's Clubに行き、食事をしながらライヴを堪能しました。このクラブ、何が好いって、ステージの後ろはガラス張りになっていて、マンハッタンの夜景を眺めながらゴージャスにジャズが楽しめる、というスタイルなんです。全体的にリッチな雰囲気を漂わせていて、デートの場所に最適。実際、客層はそんな感じの人たちが多かったです。この日登場したのはDonal Foxというピアニスト。全く存じ上げない人でしたが、リズム隊がルイス・ナッシュ&ジョージ・ムラーツの2人だったので観て損はないかな、と。で、この日のテーマなんですが、Monk & Bach。つまり、セロニアス・モンクとJSバッハを題材に独自のジャズを繰り広げる、というわけです。これがまた素晴らしいのなんのって。ドナルさん、非常に引き出しが多くて吃驚。クラシックの要素を取り入れつつ、知的にインプロヴァイズしていく辺りは流石NY! 著名な方でなくとも、この街には凄い人がいっぱい居る、を早くも痛感しちゃいました。
●そして3人は続いてブルーノートへと移動。もちろん、スンナリと中に入れて、しかも、非常に見やすい席だったのでニッコリ。日本のブルーノートと違って席数は100くらいと小さめ。オーナーも言ってました、このクラブの特長はアット・ホームな雰囲気でアーティストを間近に体験できる、だと。で、クリス・ボッティのショーなのですが、開演前にいきなりハプニングが。そうです、ホントにスティングが奥様を連れて入ってきたのでした。気付かなかった人も多数居たと思いますが、噂は本当だったのですね。スティングはバック・ステージへと消えていったので、観に来たのか、歌いに来たのか、そこまでは解りませんでしたが、なんとショーがスタートして3曲目やそこらで早くもゲストとして登場。クリスのアルバムに入っている共演曲<What Are You Doing The Rest Of Your Life>と、それからお馴染み<My Funny Valentine>の2曲を歌い、満員の観客にビッグ・サプライズを提供してくれたのでした。渋かったです。フラッシュ撮影は禁止ですが、多くの方が携帯電話のカメラでそのパフォーマンスを撮影したりとにかく皆さん、興奮しまくってました。私たちもその“噂”を聞いていなかったら、さらに爆発したことでしょう。ところが、この日はさらに2人、スペシャル・ゲストがいたのですから、流石NY!と唸りまくるしかありません。1人はポーラ・コール。そしてもう1人はブルー・ナイルのポール・ブキャナン。凄すぎます! 2人ともクリスの最新作に参加している間柄、と言ってしまえばそれまでですが、しっかし、だからと言って生で拝めるとは....。ゲキ寒くてもとにかく行動するに限りますね、この街は。で、肝心のクリス・ボッティですが、無茶苦茶好かったです。ゲストが凄いだけでなく、本人のトランペットもクールな温かみが最高ですね。MCの彼は非常に明るくて、それもプラスになりました。そしてさらに吃驚したのがこれ。なんと、2ヶ月前に自宅にお邪魔したLAのスムース・ジャズ・サックス奏者ジミー・ソマーズさんがお客さんとして観に来ていたことです。もちろん、挨拶しに行って、ぜひLAに着いたら電話くれよ〜!と好リアクション。しっかし、なんたる偶然でしょう。そうして、寒い寒いNY2日目は超ホットにふけていくのでした。

<12月6日(火)>
「今日の出来事」
●朝6時にはホテルをチェック・アウトしてレンタカーを返却。そのまま空港に行き、ノースウエスト便を乗り継ぎNYへ。大阪から来るFM Co-Co-Loのスタッフとホテルで合流。さ、いよいよ、今回の出張の"仕事モード"へと突入! の筈だったのですが〜....サン・フランシスコからデトロイト乗換えでNYラガーディアへ、のどこかで私のスーツケースが"お散歩"に行ってしまい、バッゲージ・クレイムで待てど暮らせど、一向にやってこないのです。しょうがないので、手荷物預かり半券を元にカウンターで手続きを済ませ、明日、ホテルに届けてちょ、とお願い。前に一度こういうことがありましたが、その時は翌日問題なく届いたので、ま、今回も大丈夫だろう、と、余裕のO型。ラガーディアからタクシーで約$40。約10年ぶりのマンハッタンに突入し、気分は次第に盛り上がってきます。Co-Co-Loチームも夕方にはホテルにチェック・インしているのを確認しているのでフロントを通らずそのまま部屋に直行。「遅くなりました〜!」とご挨拶し、何は無くとも、食事に行きましょう、お腹空いたでしょ、と外出。ホテルはマンハッタンの中でも自由の女神に結構近い南の部分、ロウアー・マンハッタンにあるマリオット・ファイナンシャル・センターで、ウォール街からもそんなに遠くない、ビジネス・ディストリクト。なので、レストランやショップが並ぶいわゆる繁華街へはちょっと距離がありますが、歩いて3分くらいの所にレストランが3〜4軒あったので、そこでコンチネンタルなディナーをとることにしました(ホテルの1Fにはハワイで有名なパシフィック・リムの店、Roysも入っていますが、高いだろうと思い、外に出た次第)。で、そこでようやく痛感したのが、「寒い!」。東京では1年中半パンを貫いている私ですが、流石にここでは長いズボンを穿き、さらに上も長袖を着た上にふわふわな裏地の付いた皮ジャン、という出で立ち。最初は皮ジャンのファスナーを開けたままだったものの、見栄を張ってもしょうがないので1〜2分後にはファスナーをし、両手はしっかりズボンのポケットの中に。食事の時こそ、ウエルカム・パーティーだ、とばかりにワインを1本頼みホットにギャグを飛ばす(?)も、お店を出るとまたまた身体は寒さむ状態。直ぐに完全防備に戻り、わずか3分の歩行距離で酔いが覚めるほど、我に帰ってしまいます。部屋に着いてから、LAのコーディネイター:森口さんと電話でやり取りし、明日以降の取材のスケジュールを確認。いきなり、ジャズ・クラブ:ブルーノートの支配人にインタヴューすることが確定し、夜もそこでクリス・ボッティのライヴが観れることに。これは幸先良さそうです。楽しみ!