<3月31日(土)>

「今日の出来事」

●「Adult Oriented Radio」 の選曲8割、そして、「Premium DJ Zone」の選曲8割、と、夕方までCD&パソコンと向かいっ放し。そして夜は今週初の飲み会! 年度末忘年会(?)という主旨で遅くまで盛り上がりました。

「Smooth Jazz Song File」
(90)Jonathan Butler <Song For Elizabeth>
 from『Do You Love Me』(1997:N-Coded)


●1985年、インスト・アルバム『Introducing Jonathan Butler』(Jive)でグローバルなデビューを飾ったジョナサン・バトラーはその2年後にヴォーカル・アルバムを発表、”南アのスティーヴィー・ワンダー”なる形容詞を頂戴する。当時はロンドンをベースに、ギターも達者なブラコン・アーティストという印象が強かったが、その後L.A.に移住し、再出発。97年の『Do You Love Me』(N-Coded)以降は、いわゆるスムース・ジャズのアーティストという認識が強くなっていく。アルバムでは歌ものとギター・インストものとを程良いバランスで演じ、共演するアーティストもそちらのフィールド中心へと移行。Warnerから発表した『Surrender』(2002年)、Rendezvousから発表した『Jonathan』(2005年)、何れも甲乙付け難い内容で、改めてその確かな才能に感心させられるが、1曲だけ選ぶとなればやはりこれであろう。デイヴ・グルーシンのピアノとジョナサンのアコギが美麗な絡みを見せる97年の名曲。気品溢れる温かみはまさに"絶品"の一語。

<3月30日(金)>

「今日の出来事」

●今日はマイ・ペースな1日で、4月以降の番組:新コーナーの選曲、向こう3ヶ月分を割り振ったり、楽しく仕事をしました。

●そんな1日なのでCDをゆっくり聴く時間にも恵まれ、到着したばかりのスムース・ジャズ系CDの新作を早速、聴き込んでみました。

 まずは、Jeff Golub『Grand Central』(Narada Jazz)。基本的にはナチュラル・ブルージーなギターを弾く人なので、トーン自体はそれほど好きではないです。ただ、曲が好かったり、カヴァー曲のアレンジ、プロダクションが好かったりすると、そのトラックのファンになる、ずっとそんな感じでしたが、今回もそれは変わらず。1曲目の<Hello Betty>がラジオ向けのシングルでこれはなかなか好きですが、クレジットを見たらリック・ブラウンとの共作でした。なるほど。カヴァーは3曲。スライの<If You Want Me To Stay>は、ちょっと渋すぎて苦手ですが、ビートルズの<Something>は"らしさ"が好い方向に出ていて"有り"でしょう。この曲のみポール・ブラウンがプロデュースを担当しています。そして、フォー・トップスの<Ain't No Woman(Like The One I Got)>はリチャード・エリオットのテナーも滑らかに響き、かなりにスムース。で、この曲はリック・ブラウンがプロデュースでした。流石!と言うか、やはり私と嗜好が合います。

 続いて、Chieli Minucci & Special EFX『Sweet Surrender』(Shanachie)。もうひと月くらい前に出ているはずですが、ようやく本日届きました。このアルバムは...7曲目の<Cry Of My Soul>でキマリ、ですね。イントロからワイヤー・クワイヤー! 音数は少ないですが、ギズモか、ジェイ・グレイドンか、といった感じのギター・オーケストレーションに思わずニッコリ。メロディーが始まってからもハモリ・パートが結構あったり、メロディそのものはキエリが既にカヴァーしている<Cause We've Ended As Lovers:哀しみの恋人たち>にウィングスの<My Love>をちょっと振りかけて...。ルークとベックと誰を足して、みたいな雰囲気、中田には堪りません。スムース・ジャズ的に楽しめる曲、もうちょっとバンド・サウンドで結構フュージョンした曲、なんだか非常にクリエイティヴィティに溢れた曲、と、非常にヴァラエティ豊かな作品です。キエリ本人による各曲解説が非常に嬉しかったです。

 そして、Fattburger『Fattburger's Greatest Hits』(Shanachie)。西海岸のヴェテラン・グループ、ファットバーガーの、Shanachieレーベル音源を中心とした編集盤。"BEST"と書かずに"GREATEST HITS"ととタイトリングするところに彼らの実績が集約されている気がします。ホント、スムース・ジャズ系のステーションではまさに常連さんでして、多くの曲がそのチャートを上がっています。今でもいろいろな曲がラジオでプレイされていますしね。もちろん、私がラジオで使った曲も複数収められています、ハイ。こういうCDをかけっ放しにしておくとホント、気持ちがリラックス出来ます。などと言いつつ、知らなかった数曲に関して、ちゃんとデータを取って自分の選曲リストに加える、という行為ももちろん怠りはしませんが。

 他にもいろいろとCD買っていますが、今日はここまででした、ちゃんと聴けたの。また、時間があったらレヴューさせて頂きます。

「Smooth Jazz Song File」
(89)Mike Di Lorenzo <Urbanized>
 from『Urbanized』(2005:Mike Di Lorenzo)


●NYで活動するキーボーディスト、マイク・ディ・ロレンゾ。セッションで参加したアルバムこそ少ないものの、ライヴではホィットニー・ヒューストンやジェラルド・アルストンと共演したことがあるようで、地元ではそれなりに評価されているミュージシャンの模様。そしてその実力はこのアルバムを聴いてはっきりと確信が持てた。特に、1曲目から3曲目の流れは申し分無し。基本はグルーヴィーなファンク・ジャズ系で、90年代のロンドンのシーンを思い起こさせるものだが、クールなローズ、ソウルフルなオルガン、流麗なアコースティック・ピアノ、この3つ全てが素晴らしいトーンで響き、ただただ身を委ねていたい、そんな快楽気分に浸らせてくれる。中でもこのタイトル曲(アルバムの3曲目)が持つ空気感はCTI時代のデオダートを彷彿とさせ、今の時代にジャスト、フィットする。アルバムにはサックスの名手:ボブ・マラックや、通好みのトランぺッター:ヴィニー・カトロが参加。ヒューマンなプレイ、グルーヴに拘った、押さえておきたい作品だ。

<3月29日(木)>

「今日の出来事」

●12時から14時はいつもの「Premium DJ Zone」生放送。今日は「中田利樹の選ぶ究極のAORアルバム36選」の最終回。フィニス・ヘンダーソン、ビル・カントス『Who Are You』、そして、ペイジズの3rd、この3枚をクローズ・アップしました。ディジタル・ラジオに関してはまだまだこれからの媒体であることは重々承知の助ですが、今週の頭にディジタル・ラジオの合同記者会見が行われ、その模様がNHKでも夕方のニュースでしっかりと取り上げられたり、4月以降、より本格化していくと思われますので、もし、何かの機会がございましたら聴いてやって下さいませ。
 帰宅後、また雑用系を済ませ、夕食の後は、「Premium DJ Zone」の4月以降の新企画をまとめてディレクター氏にメール。今までは「アルバム36選」をそれぞれ20分ずつくらいにまとめて3カ所で紹介していましたが、4月からはその3カ所をそれぞれ違うコーナーにしてとりあえず6月いっぱいまでの3ヶ月企画で通していきます。「Adult Oriented Radio」 との兼ね合いもありますので、なるべく違ったことをやらないといけないのですが、アイデアはいろいろと出てくるので、それをどう紹介するか、のディテールに拘っていきたいですね、BGMの出し方ひとつで雰囲気がガラリと変わる、それがラジオの面白さですから。

●残念な知らせがソニーさんから。
 結局、ボズ・スキャッグスへのメール・インタヴューは本人が今、レコーディング中でスタジオに籠りっ放しだから期日までには出来ない、という理由でキャンセルになっちゃいました。雑誌も二誌に書き分け、というのが決まっていたので一生懸命質問考えたのですがね....。ただ、元々これは僕のリクエストではなく、また、ソニーさんが先方に頼み込んだ、でもない企画だったんです。向こうのマネージャーさんがソニーさんに「インタヴュー出来るよ。ぜひ、やろう」と話しを持ちこんだものなのに、結局、やっぱダメだわ、という一方的にキャンセルされた、という点が若干、引っ掛かります。なにしろ、同じように、前回のブルーノート公演での来日時もインタヴューする、ということで数日間待機していたのに、結局、最後の最後までスケジュールがフィックスされずに終わってしまった、という経緯がありますからね。これも、そのマネージャー氏だかが、話し振って来て、でも、結局、実現しなかった、というカット・アウト状態。なんだか遊ばれてます(苦笑)。
 まあ、でも、新作のレコーディング中と言う話しは決して悪いニュースではないので前向きに捉えたいと思います。レーベル、路線、スタッフ..今日の今日なのでまだ何も解っていませんが、簡単な詳細はなるべく早く入手したいです。まあ、AORファンが心底満喫出来る作品は期待しない方が賢明だと思いますが....

「Smooth Jazz Song File」
(88)Van Morrison <Moondance>
 from『Moondance』(1970:Warner)


●アイルランドが生んだ偉大なるシンガー、ソングライター:ヴァン・モリソン。改めて言うまでもなく、多方面から絶大なる支持を集めている人だが、特にミュージシャンからの評価が高く、ロッド・スチュワートがリヴァイヴァルさせた<Have I Told You Lately>他、様々な作品がカヴァーされている。そして、中でも一番の人気と思われるるこの曲は、スムース・ジャズ関係だけでもポール・ブラウン、ヒューバート・ロウズ、マイケル・ブーブレ、ラムゼイ・ルイスなどがここ最近好んでレパートリーに加えているが、やはりそれはアメリカでのラジオでのエアプレイが少なからず関係していると思う。そう、ヴァン・モリソン本人のオリジナル版が今なお多くのスムース・ジャズ・ステーションから何度も流れてくるのだ。ベースやドラムは明らかに4ビートのパターンを踏襲しているし、途中のピアノ・ソロ、サックス・ソロもまさにジャズそのもの。なにより、歌に込められた情感が絶品だ。時代を超えた名曲とはまさにこういった曲のことを言うのであろう。

<3月28日(水)>

「今日の出来事」

●午前中から「Smooth Jazz Song File」用にせっせこ、せっせこ、CDを聴きまくり、原稿も数本。また、ストックがかなり増えました。とりあえず、100回クリアはもう目の前です。我ながら、今回は頑張っているな、と感心します。そして今日も「Adult Oriented Radio」 の新企画用に選曲の割り振り、裏話の学習etc.。来週の月曜日からもう4月分の収録がスタートしますから、もう追い込み状態です。でも、余裕で間に合いました。そして、3時過ぎから買い物&料理当番。3品作って、さらに、奮発して蚫の刺身(でも、激安でした。しかも、最初からちゃんと切ってあるので楽ですし)+αも登場、今日も存分に頂かせて頂きました。因みに、我が家は父親が趣味で家庭菜園をやっているのですが、今日はそこから取れ立てのほうれん草をサラダで食しました。茹でも炒めも何もせず生のまま。そこに、塩胡椒で炒めたベーコンと、スライス・チーズ、それと、半熟のゆで卵を砕いたものを乗せ、軽くドレッシングをして食べたのですが、これが非常に新鮮でとても美味しかったです。これからも家で取れたものをどんどん活用したいです。

●昼間、ジョーイ・カルボーンさんから電話が掛かって来て、「昨日、メールでインフォメーションしたジョン・オバニオンさんのMemorial Service用にぜひコメントを寄せて欲しい、アメリカ以上に日本で高く評価されていたことを1人でも多くの参列者にアピールしたいから」と直訴されてしまいました。で、悪戦苦闘しながらも速攻で文章を考え、ジョーイさんにメール。喜んでもらえました。ホッ。

「Smooth Jazz Song File」
(87)Blue Knights <Venice Beach>
 from『Tropical Night』(1996:Communications)


●ブルー・ナイツはダンシング・ファンタジー(ドイツの2人組ユニット。(31)で紹介)のメンバー、カーティス・マクロウの別プロジェクトで、パートナーは曲作り、キーボード、プログラミングを一緒に手掛けるジェイ・ヘイ。アルバムはこれまでに5枚が確認されているが、ダンシング・ファンタジーと較べるとよりポップでダンサブル。ハウスっぽいビートもよく用いるし、かつてのシャカタクを思わせる解り易いメロディーが次から次に登場してくる。それも、"リズミカルに鍵盤を跳ねる"曲が多く、それが彼らのトレードマークのような気がする。ダンシング・ファンタジー同様、ビルボード誌のNew Ageチャートでは上位にランク・インした実績を持っているが、本体共々、最近は全く音沙汰がない。既に解散してしまったとしたら非常に残念だ。この曲は、彼らのレパートリーの中でも最も洗練&オーガニックなトラックで、アメリカ西海岸のリゾート気分が上手く表現されている。ただ、後半に登場する男性ヴォイスは、ちょっとトーンが違う気もするが...。

<3月27日(火)>

「今日の出来事」

●少し前に収録した「Adult Oriented Radio」 、3月31日放送分の検聴、Qシート書き。「あ、ここ、2秒、詰めた方が良いな....」など、地味な編集が結構、大事だったりします。そして、あっち行って、こっち行って、通販の発送他を行い、アッという間に夕方。夕食後はTV埼玉で西武ライオンズ:ナイターを観戦。弱冠20歳くらいの3年目、涌井投手が頑張って投げて、ロッテに5対2で快勝しました。松坂投手の抜けた"穴"を埋められるかどうか、期待は大きすぎますが、これからも頑張って欲しいです。なお、松坂投手同様、"(局)アナ"を射止められるかどうか、は、今後の活躍次第でしょう、そちらも頑張って下さいませ。桜が咲いて来ました。ここらでガツンと行きたいですね、何事も。

●ジョーイ・カルボーンさんから一斉送信メール。
「今度の日曜、L.A.でジョン・オバニオンさんのMemorial Serviceを行います。僕がピアノを弾き歌も歌います。たくさんの友人が集まり、それぞれがジョンさんへの想いを語り合うことでしょう。貴方も好かったらメッセージを送って下さい」
 私は結局、ジョンさんにお会いする機会は無かったですが、何か、言葉を残せたらと思います。

「Smooth Jazz Song File」
(86)Konstantin Klashtorni <Back It Up>
 from『Led By You』(2006:KVK Music)


●コンスタンチン・クラッシュトーニ。聴き慣れない名前であろう彼はウクライナの音楽学校を卒業後、オランダのロッテルダム国立音楽院で学位を取得した勤勉なアーティスト。これまでに2枚のアルバムを発表しているがこの2作目はかなりの出来で、まさに歌い上げるサックスが全編で堪能出来る。歌い上げる、と言っても必要以上に感情移入するタイプではなく適度にすっきりしていて実に聴き易い。最大の武器は楽曲の好さにあり、ウエブに記された「このアルバムの最大の欠点は曲が素晴らしすぎることだ。どの曲も好すぎてどれを自分のステーションでかけたら好いのか悩んでしまう」という類いのコメントもあながち大袈裟には聞こえない。特にオープニングを飾るこの曲のサビは実にキャッチー。それでいて決してラジオに媚びていない所に好感が持てる。現在のベースもオランダのようだが、ポール・ブラウン&ブライアン・カルバートソンからプロダクションの秘訣を学んだ、とのこと。"アルト界の新星!"として、今後のブレイクへの期待は極めて大きい。

<3月26日(月)>

「今日の出来事」

●午前中のうちに「Premium DJ Zone」の進行表を仕上げてディレクターさんにメール。今回は、ベベウ・ジルベルトの最新作から1曲選曲してみました。結構好きな曲があるので。それ以外は、いつもの中田的レパートリー、といった感じでしょうか。

●そして午後から「Adult Oriented Radio」 の収録。今日は、4月14日(土)放送の後半部を録り、シンガー&ミュージカル俳優の石井一孝さんにゲストに来て頂きました。昨年1年間だけで2,000〜3,000枚のLP&CDを購入した(ダブり買い大歓迎だそうです)というコレクターの石井さん。ネット・オークションにも積極的に参加しているようで、いろいろと面白いものを持って来てくれました。
 石井さんのゲストの回は基本的にマニアック・ネタ大歓迎なので、中田も1曲、シングル盤系をオン・エアーさせて頂きました。石井さん&中田が何をかけたかは当日以降、Adult Oriented Radioの番組HPでチェックして下さい。石井さんには7月にもご登場願う予定です。無茶苦茶盛り上がったので次回も楽しみ! 

「Smooth Jazz Song File」
(85)Maysa <Hypnotic Love>
 from『Smooth Sailing』(2004:N-Coded)


●メイザ・リークと言うとやはり"Voice of Incognito"というイメージが強く、実際、ブルーイが作り出す楽曲、サウンドを具現化する上で彼女の声はまさに必要不可欠。ライヴに於いても彼女が居ると居ないではステージ上の華やかさが大きく変わって来る。そんなメイザのソロ活動はまさに順風満帆。アメリカで発表した全てのアルバムがContemporary Jazz、あるいは、R&Bのチャートを上昇し、同じようにラジオでもクロスオーヴァーしたステーションで人気を獲得している。豊富な声量を誇りながらそれを武器に訴えるではなく、よりアダルトで洗練されたスタイルを前面に出す彼女のソロ作。いつも豪華なプロデュース陣が参加しているがやはり最も相性が良いのはレックス・ライドアウトの手掛けたトラックであろう。そして、その中でも個人的にベスト・トラックと考えているのが2004年作品のオープニングを飾ったこの曲だ。軽いグルーヴとキャッチーなヴォーカル・リフの絶妙な融合は何度聴いても全く飽きることのない逸品だ。

<3月25日(日)>

「今日の出来事」

●今日は"結構"仕事をしました。そんなに効率よくどんどん済ませられたわけではないのですが、気が付いたらもう寝ても好い時間だったので、ああ"結構"仕事したんだな、と。そんな気分です。例によって、「Smooth Jazz Song File」の選定用に何組かのCDを聴いて、少し原稿を書いて、その後は「Adult Oriented Radio」 新コーナー用の準備。ようやく整いました。英語の本(?)も毎日読んで日々是情報収集&裏話に感動している私ですが、4月以降が楽しみです。かなり面白いものが出来るのではないでしょうか..。そして、今週の「Premium DJ Zone」の選曲を8割がた済ませ就寝。充実の1日?でした。

「Smooth Jazz Song File」
(84)Jango <7th Journey>
 from『Dreamtown』(1999:Gold Circle)


●Jakataのヴォーカリスト&サックス奏者として<Golden Girl>(1985年:AC39位)のヒットを放ったスティーヴ・クレイガンは、その後、スティーヴ・ニーヴスと名を改め、1997年にソロ作『Dream Harvest』を発表。大御所スティーヴ・バリもプロデュースに加わったそのアルバムで、スティーリー・ダンへの敬愛ぶりを強く打ち出した。それから2年、ニーヴスの新しいプロジェクトとして提示されたのがこのジャンゴだ。ニーヴスのソロ作でもコンポーズ、キーボード、プロデュースで大活躍したスティーヴ・ルガシックが音楽的リーダーとして加わり、さらにL.A.のスタジオ・シーンで活躍する3人も参加。どこまでもドナルド・フェイゲンしたニーヴスのヴォーカルはさらに磨きが掛かり、思わずニンマリさせられる。ラジオ局からの反応も好く、翌年の「Smooth Jazz Awards」では最優秀新人賞にノミネートされるが、その原動力となった曲がこのインストだ。イントロから低音部を使ったクールなピアノ・リフがキマり、グイグイ曲に惹き込まれて行く。

<3月24日(土)>

「今日の出来事」

●二日酔いは全くなかったのですが、しかし、眠さの極地はどうにも出来ず、結局11時頃まで2度寝。午後は家族と車でちょいと出掛け、3時頃からようやく仕事モード。月曜日収録の「Adult Oriented Radio」 の台本関係を作ったり、4月からの新コーナーの準備を少しやったり、その間、今日開幕したプロ野球パ・リーグののTV中継を観たり。で、そうこうしているうちに夕食。その後も、亀田選手のボクシングを観たりなんだり、のリラックス・タイム。昨日の今日なのでかなり早くに寝てしまいました。

「Smooth Jazz Song File」
(83)Crusaders <Street Life>
 from『Street Life』(1979:MCA)


●特に何の説明も不要であろう、クルセイダーズの代表チューン。1979年に発表し、彼らのアルバムの中では最もチャートで好成績を収めた(最高18位)同名作品からのシングル・カットで、ポップ36位、R&B位17位までそれぞれ上昇。ゲストに迎えたランディ・クロフォードの名唱が光り、彼女にとってもその名と実力をより広く知らしめる絶好の場所となった。名曲だけに多くのアーティストがレコーディングしているが、クルセイダーズと同じ年にいち早くカヴァーしたのがハーブ・アルパート。名作『Rise』の中でインスト版として発表し、シングル・カットもしている(最高104位)。また、ニュー・クラシック・ソウル系シンガー、ラサーン・パターソンによる1997年のカヴァー(『Hoodlum』のサントラに収録)がなかなかの出来。本家ジョー・サンプルは97年のソロ作『Sample This』、および、99年のレイラ・ハサウェイとの共演盤『The Song Lives On』で再演。後者はランディをちょっぴりブルージーにしたようなレイラの声が、じわじわ心に沁みわたる。

<3月23日(金)>

「今日の出来事」

●午前中は「Smooth Jazz Song File」の原稿を少し書き、そして、山野楽器さんのフリーペイパー:Jam Spotの原稿書き。5月9日に日本発売されるビル・カントス(日本ではやはりこの表記で行く模様...)他を紹介しています。そしてUSEN AORチャンネルの原稿書き。今までは選曲だけでしたが、4月からはリニューアルし、ウエブでの文字情報を充実させるようになりました。なので、私もチラッと選曲傾向やその他、諸々を書いてみました。さらに天気も好かったのでディストリビューターさんの所に当社のCDを取りに行き(自転車で30分くらいの距離です)、さらに、そのまま、通販のオーダーを頂いたお客様の所に向かいポストに投函。もちろん、こういうことは超稀ですが、たまたまオーダー頂いたお客様のお住まいがディストリビューターさんの所から近かったことと、天気が自転車ツアーに最適だった、という好条件が重なったからこそ出来た、というわけです。あと、もちろん、中田の仕事の時間的な都合と。いかんせん運動不足なので、こういった1時間ちょっとの運動、本来ならば毎日でもしたい所です。

●夜は知り合いとイヴェントの打ち合わせを兼ねた食事会。東急東横線:祐天寺駅から歩いて5分くらいの所にある日本酒と鶏料理の店「立花」に行ったのですが、これが、やられました! 無茶苦茶美味い!
 実は、もう随分前ですが、某漫画雑誌の連載コラム「世界一の皿」でここのから揚げが紹介されていて、以前から行ってみたい、行ってみたい、と思っていたのです。そして、今夜会う人は、家が学芸大学(隣りの駅です)で、しかも、焼き鳥が大好物、なので、これは今日しかないな、と。
 お店は商店街を抜けた住宅街にポツリと存在するのですが、もう、中は満杯! 20人くらいでいっぱいの小さな店ですが、この日は団体さんも多く、かなりの熱気でした。
 で、肝心のお味ですが、まず最初に頼んだ鶏の刺身4点盛り、これにやられました。なんと新鮮なこと! 続いて、噂のから揚げをオーダー。なるほど、これですか。揚げ、というのにカラッと、ではなく、実にしっとり。「肉が新鮮だからカリカリになるまで揚げる必要はないんだよ」とご主人。こうなるとやはり日本酒を飲まずに入られません。生ビール2杯の後はずっと日本酒で、この店のオリジナル「立花」他、4杯。ご主人からは「うちの酒は、後でくるよ〜!」と言われましたが、全然平気でした。ちなみに、1日限定5杯だかで鶏ラーメンというのも提供しているのですが、これは、醤油が利き過ぎてて中田のイメージとはひと味違うものでした。これは、今後、オーダーすることはないでしょう、他にも美味しそうなものがゴマンとあったので。そうそう、私の知り合いもとにかく満足げでした。ホッ。またこれで美味いもの屋のレパートリーがひとつ増えた感じです。めでたし、めでたし。
 23時前に解散し、その後は、またまた、金曜の魔の手(?)が伸びいつもの新宿のバーへ。例によって2軒ハシゴをしてまたまた帰宅は4時頃。しっかしよく呑みます。というか、居心地の好いバーなんですよ、2軒とも。

「Smooth Jazz Song File」
(82)Dotsero <Westchester Lady>
 from『West Of Westchester』(2000:Peak)


●ドッセロはコロラド州デンヴァーで結成された3人組(sax、g、b)で、グループ名はインディアン語で"Something Unique"を意味するとのこと。1990年にNovaからリリースした『Off The Beaten Path』でシーンに登場し、続く『Jubilee』がビルボード誌のContemporary Jazz Albumsチャートで21位まで上昇。日本でも、NAC=New Adult Contemporaryシーン、期待のニューカマーとしてアルファからアルバムが紹介されている。以後も本国ではマイ・ペースの活動を続け、既に10枚近いアルバムを発表。レーベルもFahrenheit、Ichiban、Peakなど、通をニンマリさせる所を渡り歩いている。この曲は、そのPeakからリリースした唯一の作品『West Of Westchester』に収められたナンバーで、もちろん、ボブ・ジェイムスが1970年代にCTIに残した名曲のカヴァー。基本的には原曲を再現した形だが、サックスを前面に出したり、全体的なトーンがより今日的になったり、実にフレッシュな仕上がり。このカヴァーは絶対に"有り"だ。

<3月22日(木)>

「今日の出来事」

●お昼からDigital Radioの生放送。今日は、ドナルド・フェイゲン『The Nightfly』、マリリン・スコット『Without Warning』、デヴィッド・パック『Anywhere You Go』の3枚をクローズ・アップ。スタッフと食事をした後、直ぐに帰宅し、USENの選曲をCD-Rに焼いて夕方までに送付、の予定が、うわ〜っ、大変! 空のディスクが無くなったので先日、ビック・カメラで購入して来たつもりだったのですが、実際に私が買ったの、CD-RではなくDVD-Rでした〜! 大ボケ... 表示も値段も何もチェックせずにレジまで持って行ってしまう私がなんともいい加減です...恥...。と言うわけで、速攻で池袋まで自転車を飛ばし、ビック・カメラで、今度こそ、CD-Rを購入。戻って直ぐに4時間分焼いて、なんとか明日着の便に乗せることが出来ました、ホッ。

●友人のシンガー、奥土居美可さんから一斉送信メール。
「4月限定で毎月曜(4月2日、9日、16日、23日の4回のみ)に
ボーカル・レッスンの授業を受けもつことになりました」

で、場所がナント、我が家から自転車で10分掛からない西武池袋線東長崎駅そば、スタジオザウルス(http://www.kuripro.com)と解り、思わず美可さんに電話。
「私も行って好いのかな?」
「うん、もちろん」
毎回、1日2レッスンで、それぞれ、発声練習と歌のレッスンをおこなう模様。
16:00〜17:45は<Amazing Grace>とAIの<Story>(全然、知りません..)
18:00〜19:45は喜納昌吉(?)の<花>とMisiaの<You’re Everything>
が、それぞれ課題曲になっているそうです。月曜日は「Adult Oriented Radio」 の収録が多いですが、折角ですから頑張って行ってみましょうかね?(笑) DJを演って行く上での発声法にも繋がるでしょうし。
 ちなみに私はここ1〜2年、カラオケには全く行っていないと思います。家ではごくごくたまに30分くらいだけ歌ったりしますが...(ハード・ロック系中心というか、キーの高いものを中心に)。

「Smooth Jazz Song File」
(81)Bill Withers <Use Me>
 from『Still Bill』(1972:Sussex)


●最近、ビル・ウィザースのこの曲がCMに使われ静かなるリヴァイヴァルを見せているが、これまでにも、ミック・ジャガー、アーロン・ネヴィル、グレイス・ジョーンズ他の大御所が好んで取り上げるなど、まさにポップ・クラシックス状態。<Lovely Day><Lean On Me><Ain't No Sunshine>、さらに、グローヴァー・ワシントンJr.やクルセイダーズと共演した曲も含め、ビル・ウィザースの残した名唱はどれもインパクトの強いものばかりだが、リック・ブラウン、マーク・ドゥシット、マーク・ウィンクラー他、スムース・ジャズ系の名カヴァーもいろいろと生まれていることもあり、今回はこの曲を選出させて頂いた。ビル・ウィザースの音楽は、改めて言うまでもなく、コテコテのR&Bとはひと味違う独自のフレーヴァーが最大の魅力。フォーキー・ソウルの匂いを漂わせつつもアーシーそのものではなく、どこか、都会的な風を感じさせる。ジャンルの垣根を軽く超え、いつまでもエヴァーグリーンな光を放つ理想的な音楽。最近は何を....?

<3月21日(水)>

「今日の出来事」

●今日は春分の日。お彼岸の中日なので家族でお墓参りに出掛けました。私の家は東京の城北地区にございますが、うちのお墓は東端の江戸川区にありまして、道路が空いていても下の道を使うと1時間10分は掛かってしまうロケーション。して、11時半頃に到着すると、お寺の駐車場が大渋滞。30台くらい停められる、ゆったりしたスペースもこの日ばかりは駐車待ちの車が連なる、連なる。しかも、通りから駐車場までの道が狭くて、出て来る車とすれ違うのがやっと。こんなとこで擦ったら勿体ないわいな、と、結局、駐車待ちに並ばず、近くのコイン・パーキングに行きました。30分まで¥100はとてもリーズナブルでした。そして、折角だから、と、帰りに浅草に寄り天婦羅でも食べますかな、が、大失敗。浅草の地下駐車場もこれまた大渋滞。20台近く?が列をなし、最後尾はほとんど大きな交差点の中。これは拙いと諦め、結局、帰宅。家の側の持ち帰り寿司屋でちょこちょこっと買って、ようやく2時頃、ランチにありつけました。

●その後、デスク・ワークをしたり、吉田の鐘ちゃんの所にCDをもらいに行ったりしているうちにもう4時が過ぎ、急いで買い物へ。今日は水曜日なので私が夕食を担当する日。今日はいつもと違うちょっと離れたスーパーに自転車で行ったのですが、すると、これが、いろいろ目新しく映ってしまいさあ大変。どこのスーパーにも置いてあるのでしょうが、中華料理の調味料から何から籠に入れてしまい、軽く¥3,000をオーヴァー。今宵の料理だけだったらその半分するかしないか、なのですがね...。
 今日の献立は、まず、ホタテと川海老(先週に続いての登場)とジャガイモのバター焼き。ホットプレートでやりました。あと、マグロのづけ。醤油他、いろいろな調味料でタレ?を作り、1時間弱浸しておきましたら、これが、美味。辛くも甘くもない、絶妙の味加減でホッ。それと、椎茸と人参を細かく刻んで挽き肉と一緒に炒めて、牛角の醤油ダレで味付けしたもののレタス包み。さらに、筍の磯辺焼き。予めタレに漬けておいた筍を網で焼いて、醤油に浸して、削り節を振りかけて海苔で巻く、というつまみに絶好の簡単メニュー。そして、今日のメインは、もんじゃ、でした! お好み焼きはもちろん家で食べたことありますが、もんじゃは中田家初登場。家族の面々からは、美味しい、美味しいと食べて戴けました。具はキャベツ以外に、ベビースター・ラーメン、餅、天かす、豚バラ...。皆、超満腹状態になり、誰も白飯を食べなかった、という状況。と、今週もどうやら合格点のようですね。また来週も、頑張ります。

●夜は、USENの選曲。明日には送らないと拙いですからね。アーティスト特集として、イーグルス・ファミリーの2時間をセレクト。もちろん、拘りは、曲の繋ぎと流れです。

●ビル・キャントス情報、続編。キング・レコードさんから出る『Love Wins』。リリース日は5月9日で、昨年出た輸入盤ものとはトラック・リスティングが異なり、さらに、1曲、ボーナス・トラックも収録の予定だそうです。プロモーション稼働日が1日あるようなので、スケジュールが合えば、ぜひ、私の番組なりなんなりでインタヴューさせて頂きたい所です。それと、4月4日のKICK BACK CAFEでのライヴは入場無料(飲食代だけです)なのですが、一応、オーナーの石井マレさんに席の確保だけはお願いしちゃいました。非常に楽しみです。

「Smooth Jazz Song File」
(80)Keiko Matsui <Across The Sun>
 from『Deep Blue』(2001:Narada)


●日本が誇るピアニスト:松居慶子。小泉元首相が彼女のファンだったこともあり、ここ数年で確実に評価を高めてはいるが、「Smooth Jazz Awards」において"ベスト女性アーティスト"に選ばれるなど、アメリカでの人気、影響力は我々の想像を遥かに超えるものがある。あの、ボブ・ジェイムスもピアノの連弾をオファーしたくらいだから。では、彼女のスムース・ジャズの名曲、名演はどれ? と、振り返ると、個人的にはこの曲しか浮かんで来なかった。もちろん、ラジオでかかった曲はたくさんある。そして、そのどれもが松居慶子ならではのオリエンタルな空気を漂わせている。しかし、彼女の音楽は決してスムース・ジャズのど真ん中に位置するものではなく、かと言って、ニュー・エイジ、クラシック、ワールド・ミュージック、そのどれにもカテゴライズ出来ないワン&オンリーな音世界なのである。唯一の事実は、彼女のバンドから巣立ったポール・テイラー(サックス)が今ではスムース・ジャズ界きっての人気者になった、という点くらいか....