<5月10日(木)>

「今日の出来事」

●今日は余裕の木曜日....。なので、天気もそこそこ好かったし、昼間はラーメン・サイクリングを敢行。片道45分くらいの所を最終目的地に2軒ほどハシゴしちゃいました。ということで、あまり仕事はしませんでした、夕食後に来週の選曲の準備をしたくらいで....。明日も1日バタバタなので、本当は、効率よく進めておけば好かったのですが....

「Smooth Jazz Song File」
(130)Deodato <Super Strut>
 from『Deodato 2』(1973:CTI)


●2006年10月、ソロ名義による初の日本公演を行ったデオダート。1960年代のブラジル時代、70年代前半のCTI、そしてその後のMCA、Warner…、その時々によって多彩な華を生み出したソロ活動、さらに、プロデューサー、アレンジャーとして、EW&F、クール&ザ・ギャング、マイケル・フランクスからクレモンティーヌ、小野リサまで、多彩なジャンルと融合した柔軟性。彼が放つ全ての音世界が世代を超えた層から今なお多大なるリスペクトを集めている。東京公演で目にした、若い女性が花束を抱えて客席最前列まで駆けて行く姿は、まさにデオダートのカリスマ性を物語っていたし、ローズ系のコード・リフで曲をリードし、バックのリズム隊がそれに追従するの図、は、パターン化していようがなんであろうが、これこそがデオダートの"クロスオーヴァーな創造"であり、そのグルーヴィーな魅力に多くの信者が陶酔する、を実感させるものであった。その極めつけとも言うべきこの曲では、スタンリー・クラーク、ビリー・コブハム、ジョン・トロペイというスーパーな面子と、熱きジャイヴを繰り広げる。終始圧倒なり...。

<5月9日(水)>

「今日の出来事」

●早朝から...いや、正確に言えば夕べ深夜の0時過ぎから非常にドタバタな1日でしたが、お昼からの生はいつも通りに楽しく出来ました。そして今日のAOR的発見! 番組のディレクターのNさん(30代前半の洋楽好き。R&Bを中心に、AORもいろいろと聴いてます、あと、スムース・ジャズも(笑)。かれこれ業界10年選手、でしょうか..)からのトーク・バックでの一言。<Heart Of Mine>のボズ・スキャッグス・ヴァージョンをかけている時のことでした。

N『中田さん、これ、ボビーのヴァージョンと歌詞、違いません? YouとIとかが...』
私『ひぇっ? そうなの? 私、全然、歌詞とか耳に入って来ない人なので....』


そして、たまたま、Boz & Bobby 両方の歌詞カードが在ったのでそれを較べてみると....

私『うわっ、ホントだ〜! いきなり、I may と You may で違うし....その後も....併せて違ってる....凄いね〜、そんなの耳に入ってくるって!』

で、よくよく眺めてみると、まあ、もちろん、ストーリー自体は一緒な訳ですが、それでも、ちょいと視点の対象を置き換えている、私、か、君(別れた彼女)、か、を。面白いですね〜、ボズ用とボビー用で予め歌詞を替えておいたのでしょうか、それとも、ボズさんが自分で「こう替えて好いかい?」と提案したのでしょうか、少しだけ気になります、ホンの少しだけ。

 その他、「My Smooth Jazz Awards」はトランペット&フリューゲルホーン編で、ノミネーション止まりがMichael Fair、Herb Alpert、Greg Adams、Chris Botti。そして受賞者は、やはりRick Braunになりました、特に悩むこと無く。曲も一番好きな<Hollywood & Vine>でサクッと行きました。まあ、ただ、ノミネーションに入らなかった人でもこのカテゴリーは強力なアーティスト&楽曲が少なくないので、それらを落とすのは正直悩みました、それこそ、<Time After Time>のMiles Davis版とか、Chuck Mangione<Feels So Good>とか。さらに、Tom BrowneもTill BronnerもTony Guerreroも超A級です。それと、マニアックなところではLin RountreeのTim Bowmanをフィーチャーした曲<For Your Love>とか....。ま、でもこの場合は、悩むのも一種の快感かな、という気がしちゃいます。次回はグループ編。これも、超悩みます。一等賞だけは既に決まっていますが!

「Smooth Jazz Song File」
(129)Justin Young <JY Funky>
 from『On The Way』(2007:Justintime)


●5月の始め、コットン・クラブで行われたエリック・ダリアスのギグは底知れぬインパクトを放つものだった。丸の内のお洒落なジャズ・クラブで、全米で人気のメロディアスなサックスを堪能しよう、素敵な女性でも同伴して....そんな甘ちゃん気分をノックアウトするかのような豪快な吹きまくりショー! 天賦の才能とも感じたが、これぞアメリカ人ならではの肉食パワーなり、それを痛感した1時間強だった。そしてポイントはそんな彼が未だ20代中盤だという事実。まさに末恐ろしい存在だが、ここにもう1人、激ヤバの新人が登場した。デトロイトをベースにする弱冠26歳のサックス奏者、ジャスティン・ヤング。アルトをメインにする彼のプレイはとにかくよく歌っている。スパイロ・ジャイラのトム・シューマンと、ノーマン・ブラウン・バンドの音楽監督ゲイル・ジョンソンがそれぞれ3曲ずつプロデュースを手掛け、全編のミックスをポール・ブラウンに依頼! この行程が完璧なるスムース・ジャズの作品を誕生させた。曲がどれもキャッチーで素晴らしく、1曲に絞るのは極めて困難な作業であった。

<5月8日(火)>

「今日の出来事」

●「Adult Oriented Radio」 の検聴&Qシート書き。1リスナーとして、沼澤尚さんのジェフ・ポーカロさんエピソードを楽しませて頂きましたが、やはり、強力です。結局、インターネットだ、雑誌だ、で得た情報ではなく、生の体験(ジェフさんご本人から聞いた話しであったり)ですから、無茶苦茶説得力あると言うか、お話し自体の存在感がズバ抜けています。中田も数多くのミュージシャンと知り合いにさせて頂いていますが、全くレヴェルが違います。こういう方の生きた話しが、もっともっとメディアに載るべきだと痛感させられちゃいました。次回の収録がさらに楽しみになりました!

●午後からは火曜日恒例、炎の料理番タイム! 今回は2時前から買い出しにいき、3時前から仕込み。4品作ったうちの2品は、珍しく雑誌を見ながら初ものにチャレンジしたのですが....なんか、今ひとつだったような....。結構、自己流の方がスムースだったりしますね、時間ばかり掛かって。ま、でも、今日も楽しかったのでオッケーです。食後はスムース・ジャズ系の新作をいろいろと聴きました。相変わらず買いまくっているので、毎日のように商品、届きますからね。正直、追いつかないです....聴くのが。

「Smooth Jazz Song File」
(128)Eliane Elias <Around The City>
 from『Around The City』(2006:RCA)


●ビルボード誌におけるジャズのチャートは、"Contemporary Jazz Albums"と"Jazz Albums"の2つに分けられている。前者はフュージョン、スムース・ジャズ系が中心で、マイケル・フランクスやボビー・コールドウェルもこちらの常連。そして後者は4ビート、ストレート・アヘッドな、"いわゆるジャズ"が対象だ。このイリアーニ・エリアス(アメリカのスムース局ではこう発音していた)はやはり後者に属する。現在はRCAの所属だが、かつては10年以上Blue Noteに在籍していたのだからそれも当然だろう。すなわち彼女は"ジャズ・ピアニスト"だ、と。ところが、2006年発表の『Around The City』は完全なる歌もので、イリアー二自らが歌っている。しかも、スタンダード/4ビート系ではなく、実にポップ。特に、サンタナやシャキーラ他で人気のプロデューサー:レスター・メンデズが手掛けた3曲は程良いエレクトリック・サウンドを施した、ヒップでイイ女、的な世界が展開されている。中でもイチ押しはこの曲で、サビのコード感&質感はスティーリー・ダンにも通じるアートなオーラをプンプンと発している。

<5月7日(月)>

「今日の出来事」

●夕方から不定期レギュラー番組、「Smooth Jazz Seduction」(SKYPerfecTV 400ch)の収録があるので、その選曲を楽しみながらやり、スタジオへ。今回は「新緑〜初夏」編ということで、かなり爽やか系を中心に選んでみました。ラリー・カールトン、ジョージ・ベンソン&アル・ジャロウ、BWB、サウンドスケープUK他が登場。O.A.は、5月15日(火)22:00〜23:00。そして、再放送が5月19日(土)11:00〜12:00。収録後はスタッフと夜の街に...また、たらふく呑んでしまいました、久しぶりだったこともあり。でも、池袋までちゃんと電車で帰りました。よく、タクシー帰りしなかったな〜、と、翌朝、感心しちゃいました。

「Smooth Jazz Song File」
(127)Dwight Sills <Nightfall>
 from『East』(1999:Citylights)


●セッション・ギタリストとして、ここ10年以上多忙を極めるドゥワイト・シルズ。All Music Guideを見てみると、ボニー・ジェイムス、ブライアン・カルバートソン、ボビー・ライル、ジェラルド・アルブライト、リチャード・エリオット、デヴィッド・ベノワ、マイケル・フランクス、ナジー、ポール・テイラー、ウィル・ダウニング、メイザ、カーク・ウェイラム、ミンディ・エイベア…スムース・ジャズ界のビッグ・ネームの大半が彼をレコーディングに呼んでいるのが解る。それだけの信頼を得る理由はズバリ歌心! バラードでもグルーヴ系でもとにかくヒューマンな世界を繰り広げる。ソロ作はこれまでに3枚発表し、最初の2枚はメジャーのColumbiaから発表(カーク・ウェイラムがディールのバック・アップをした模様)。それらもアーバン・フュージョン系の佳作だったが、スムース・ジャズ的には3作目、特にこの曲であろう。シンプルな作風ながら聴く度に惹かれるトーン。ノーマン・ブラウンやロニー・ジョーダンのメロウな部分が好きな方ならば絶対にハマるはず。今宵も大人の時間がゆっくりと過ぎていく…。

<5月6日(日)>

「今日の出来事」

●またまた「Smooth Jazz Song File」の原稿:書き溜めが無くなってしまったので、それを書き、その後、2日分、日記を更新。そうこうしているうちに昼前に...そして、午後から「Premium DJ Zone」の選曲を完成すべく取り掛かるも、5月の企画「We Love "DAVID FOSTER"」を、ちょいと拘りたい...と、彼のコンポジションが含まれているCDを次から次に持って来てはデータを取って....をやっているうちに見事に夜の10時、11時に。その後、進行表にして、ディレクターさんにメール。なんだか、仕事したな〜、という達成感と共に眠りに就きました。

「Smooth Jazz Song File」
(126)Mike & The Mechanics <Taken In>
 from『Mike & The Mechanics』(1985:Charisma)


●マイク&ザ・メカニックスは、ジェネシスのギタリスト兼ベーシスト:マイク・ラザフォードがポール・キャラックや元サッド・カフェのポール・ヤング他と展開したサイド・プロジェクト。意外に思う人が少なくないだろうが、彼らもスムース・ジャズ・ステーションの守備範囲に十分収まる存在だ。もちろん、全ての曲が、ということはあり得ないが、全米No.1を獲得した<The Living Years>(1988年)などは、今でも耳にすることが少なくないし、良質なアダルト・コンテンポラリー・ヴォーカルの多くは、スムース・ジャズの分野でも多いにウェルカムだということだ。そしてこの<Taken In>。1stアルバムのラストを飾っていたなんとも哀愁漂う楽曲で、全米32位、AC7位という中々の成績を残している。淡々とした軽めのグルーヴにシンプルな装飾和音。しかし、サビ・メロ(キー:B)とAメロ(キー:Gm)の何とも言えない転調ぶりに光るセンスが感じられ、そこに絡む"出過ぎずに最大限の効果を施すサックス"がさらなるドラマを演出している。スムース・ジャズ的ポップスのお手本たる1曲だ。

<5月5日(土)>

「今日の出来事」

●朝から本日収録の「Adult Oriented Radio」(関西地区:76.5MHz:毎週土曜日17〜19時放送)の進行表をきっちりと制作しいざ出陣(笑)。またまた沼澤尚さんをゲストに迎えたハイ・テンション、モア・トークな1時間と、そして通常のレギュラー1時間を収録しました。ま、私(達)にとっては、GWも土曜日も子供の日も関係ないですからね。
 しっかし、沼澤さん、今回も、興味深い話しの連続で頭が下がります! ジェイさんがプロデュースしたペイジズの3rd、ジェフ・ポーカロさんもプレイしていますが、ヴィニー・カリウタさんが結構、叩いてますよね。で、手数が多過ぎるジェイさんがヴィニーさんを気に入らなくて首にした、という話しは私めがライナーに書いているわけですがーーヴィニーさんを連れて来たのはジェフさんで、彼が「とにかく良いから使ってよ! 僕の保証付きだから!」みたいにヴィニーさんを推薦した、と。ところが、半信半疑のジェイさん、ジェフさんに向かって「ホントに良いんだな? ダメだったら、お前に責任取って全部叩いてもらうからな!」といった類いの言葉を返した、とか。そして、それだけで終わらずジェイさんはもうひとつジェフさんに伝えた、そうです....と、この続きはOA(5月12日(土)18時過ぎに沼澤さんご登場)で。
 で、話し戻って、沼澤さん、今回もジェフ・ポーカロさんにまつわるプレイ&秘話がメインになっていますが、今日は、スティーリー・ダンとジェフさん、みたいな流れになりました。来日もしますからね、8月に。
 本当は、もうひとつ企画を考えていて、ビル・チャンプリン『Single(独身貴族)』で、ジェフさんが実際叩いているのはどの曲か分析! を行うはずだったのですが、結局、沼・中コンビの会話が盛り上がり過ぎてスティーリー・ダン話しだけでもう1時間近くになってしまった次第です。なので、その企画は次回に持ち越しとなりました。ちなみに、それでも中田は中田なりに何回も『Single』を聴き、答えを準備していったのでそれを沼澤さんに伝えたところ、沼澤さん曰く『惜しい〜! 1曲違いますね〜!』となりました。残念! やっぱ難しいですね....。でも褒められたのも1点ありました。中田が『絶対に自信があるのは<@@@@>で、あと、△(三角)なのが<@@@@>。△と言うのは、曲調的には絶対ジェフさんを使いたい所なのですが、なんか、違う気がするんですよ....なので△』と伝えたら、『それは鋭い!』と言って頂けました。とにかく、沼澤さんは「世界一のジェフ・ポーカロ分析者」ですから、ジェフさんが叩いているか否か、ほぼ100%解る模様です。羨ましい! このシリーズで『Finis』『The Dukes』も追々分析していきます、気長にお待ち下さいませ。

「Smooth Jazz Song File」
(125)Eric Marienthal <Uptown>
 from『Sweet Talk』(2003:Peak)


●チック・コリア・エレクトリック・バンドのメンバーに抜擢され、チックのプロデュースでソロ・デビューを飾ったのが1987年。この間、GRP〜i.e.Music〜Peakと渡り歩き、多くの作品がContemporary Jazzチャートで10位前後まで上昇する安定した人気を見せている。最近ではラス・フリーマン率いるリッピントンズのメンバーとしても活躍中だが、出発点がチック・コリアという硬派アーティストだったこともあり、ラジオでかかるスムース・ジャズ・アーティストというイメージは極めて少ない。それよりももっと男気溢れるフュージョン・サックス奏者だ、と。実際、スムース・ジャズに於けるこれだ!という定番はなかなか浮かんで来なかった。<Here In My Heart>(1998年:ロブ・マリンズの曲)がNo.1になり、<Easy Street>(1997年:リー・リトナーの曲。リーとリック・ブラウンがバックに参加)がNo.2になっているとしても....。結果、エリックと交流の深いジェフ・ローバーがプロデュースを手掛けたこの曲に落ち着いた。典型的なスムース節だが、骨太なアルトはマリエンサルらしさを十分に発揮している。

<5月4日(金)>

「今日の出来事」

●今日は、明日収録の「Adult Oriented Radio」 の選曲。そして、1〜2日前からハマり出したデータ整理。それから、GW中につき、またまた夕食の担当。チンするだけのピザも入れつつ、酢の物、牛肉とブロッコリー&ウズラの卵のちょい辛中華炒め他を作って、今日もまたまた完売。好い感じです。

「Smooth Jazz Song File」
(124)Ephraim Lewis <Drowning In Your Eyes>
 from『Skin』(1992:WEA)


●イギリス:バーミンガムで、ジャマイカ人の両親から生を授かったイーフレイム・ルイス。1992年にアルバム『Skin』でデビューを飾り、そこからの2ndシングルとなったのがこの曲だ。ビルボード誌のAdult Contemporaryチャートでこそ12位まで上昇したが、ポップでは72位、R&Bでは80位と伸び悩み、地元UKでは全くチャートに入っていない。それ故、世間一般的な認知には程遠い存在だったのだが、ズバリ、これは後々まで残るであろう名曲だと断言出来る。なにしろ、あのウィル・ダウニングも2002年の『Sensual Journey』でこの曲を取り上げているのだから。クールな8ビートになんともヒューマンなヴォーカル、メロディ。ミュートしたトランペットの音がさらなる絶好のムードを醸し出す。SealやLighthouse Familyに通じる世界は、ポップスでありながらやはりスムース・ジャズのステーションで大きな需要を得るもので、そちら系のコンピにも収録されたことがある。1994年3月18日、自らの命を絶ったのは悲し過ぎる出来事だ。まだ、26歳という若さだったのだから....。

<5月3日(木)>

「今日の出来事」

●またまた今日から4連休。また、絶好のお天気。流石に、曜日感覚の全くない私でも、嗚呼、GWなのね〜!を嗅ぎ取り(?)、1時間半くらい、自転車での散歩に出掛けました。が、それ以外は、何をしようかなーー混んでるのが嫌いな私はこういった時期、何処にも出掛けない、というのが基本なのでーーと考えていたら、昔、ちょいと取り掛かり、そのまま1年くらいほったらかしにしてあったスムース・ジャズ系のデータ整理を見つけ、あ、これやろう、と始まったらひたすらそればかり。しかも、その間、ず〜〜〜っと、Bay Smooth Jazz.Comをかけっ放し。なんか、至福の時間です。ということで、かなり楽しく、かつ、集中出来たので、全体の10分の1位をサクッと終えました。こういったものは、番組での選曲、制作に後々役に立つので、なるべく、今月中に終えたいです。インターネットで調べて、ではなく、あくまでも、家に在る現物素材で作る、というのがポイントでしょうか。明日も頑張って行ける所まで行きます、データ整理。でも、明日は、ちゃんとレギュラーの仕事も頑張りますが。

「Smooth Jazz Song File」
(123)Jay Rowe <The End Of Summer>
 from『Red, Hot And Smooth』(2006:Jay Rowe Music)


●ジェイ・ロウは東海岸で活動するキーボード奏者。日本における認知度はかなり低いと思うが、スムース・ジャズのコアなリスナーならばすでにその素晴らしさはチェック済みのはず。1980年代終盤から、ネルソン・ランジェル、マリオン・メドウス他のCDで名前を見るようになり、ケン・ナヴァロとキエリ・ミヌッチ(スペシャルEFX)のアルバムではレギュラー的な存在になっている(Shanachieから出たキエリ・ミヌッチのライヴDVDでもプレイ)。リーダー作はこれまでに4枚発表しているが、97年の『Jay Walking』がPositive Musicから出た以外、全て自主レーベルというのは淋しい限り。洗練された中にも十分なファンキーさが注入され、ラインもタッチも申し分無しのピアノ・サウンドが堪能出来るのだから。1st以外どれもお薦め出来るが、ベスト・トラックはケン・ナヴァロが全編プロデュースを手掛けた4作目のこのナンバー。ミディアム・アップのビートをバックにクール&印象的なピアノがアコギ&トランペットと"粋"を織りなす珠玉の1曲だ。ジャケットもこれまでとは変わってセンスの好いものに成長した。

<5月2日(水)>

「今日の出来事」

●お昼からいつもの生放送。
「AORいろはにほへと」は1980年代中盤の"AORの失速"をクローズ・アップ。
「My Smooth Jazz Awards」は"ベース編"で、結局、ジェラルド・ヴィーズリー、ドウェイン・"スミッティ"・スミス、ブライアン・ブロンバーグ、マイケル・マンソンと来て、受賞はもちろん、ウェイマン・ティズデールになりました。断トツ、ですね、ウェイマン。
そして今月は「We Love DAVID FOSTER」を展開。基本的には彼のコンポジションにスポットを当てるコーナーになりましたので、有名なバラードを中心に"綺麗に"繋いでみました。

●生放送後、他のスタジオで友人が収録をしているのを思い出し、顔を出すとディレクターさんと打ち合わせ中だった彼女、私の顔を見るなりこう発したのです。

「ね〜、ナカナカ、スティーリー・ダン連れてって〜!」

どひゃ〜、って感じですね! スミマセン、無理です、私の財力では。
サービス・エリア¥23,000、カジュアル・エリア¥19,000など、とてもご招待出来ません。これで、飲み食いしたら2人で¥50,000〜60,000ですからね....。
もちろん、スティーリー・ダン観たいし、8月にスタートするBillboard LIVEがどんなものかそれは見学したいですが....

●夜はコットン・クラブでサックス奏者、エリック・ダリアス(ダリウスというよりやはりダリアス、ですね、読み方)のライヴを堪能しました!

 いや〜、もう、吹きまくり、でした。凄い! 圧倒! エネルギッシュ! やっぱり日本人とは食べてるものが違う! 若さって素晴らしい! いや、でも、20代中盤とは思えない円熟味というか場慣れした感じ。天才なんじゃないでしょうか、彼。などなど、いろいろな形容の言葉が頭の中をよぎりました。

 バンドはkey、b、dsというオーソドックスな編成で、何れも安定した技術の持ち主。エリック・ダリアスさん、基本的にはスムース・ジャズの畑で成功している人と捉えていますが、ライヴはR&Bジャズ、ですね。R&Bと言っても、今時のR&Bではなく、70年代ソウル・ミュージックという意味でのR&B。
 最新作『Just Getting Started』からのナンバーを中心に10曲ちょっと演ってくれましたが、「ソニー・ロリンズを好きな人は居るかい??」と訊いて<Tenor Madness>を演ったのが印象深かったです。ほうほう、こういうのも演るんだ〜、と。まあ、こういった4ビートだったらもっと上手い人はたくさん居ますが、でも、新鮮で好かったです。あと、ハービー・ハンコックの<Cantaloupe Island>もカヴァーしていました。

 客席はほぼいっぱい。平均年齢は結構高く、エリック・ダリアスを観に来たというより、コットン・クラブに音楽を聴きにきた、という人がほとんどかと思いましたが、初めてのリスナーさんでも直ぐに惹き込めるパワーに改めて感服。

 レコードではいろいろなサックスを使って、ハートを前面に出しつつもとにかくメロディアスに品好くプレイする。でも、ライヴでは最初から最後までテナー1本(or アルト1本)でとにかくブロー、ブロー、観客の間でまたブロー。そういった使い分けはスムース・ジャズのアーティストのほとんどが演っていると思いますが、ここまでハッキリとしている人は久しぶり。うん、とにかく快感でした!

 日本盤が出ていないにも拘らず思い切って招聘して下さったコットン・クラブ関係の方、心から感謝致します! こんな素晴らしいギグが観れるなんて。
 もし、お時間あるようでしたら、絶対に行くべきです! 5月5日(土)まで毎日2ステージ(17時と20時スタート)。お値段も¥6,300〜¥7,350と、結構リーズナブルですので。詳細はhttp://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/index.htmlをご覧下さい。
「Smooth Jazz Song File」
(122)Fattburger <Anything's Possible>
 from『Livin' Large』(1995:Shanachie)


●サン・ディエゴを拠点にするヴェテラン・グループ、ファットバーガー。1980年代中盤、L.A.フュージョンの波と共に頭角を現し、今日に至るまでの20余年、ギターが替わった以外、同じメンバーで続けている結束の固さには頭が下がる。熟練者だけに曲の作り方、練り方は全くそつが無く、ティト・プエンテ作曲、サンタナで大ブレイクした<Oye Como Va>にしても原曲通りカヴァーしているにも拘らずファットバーガーならではの"旨味"が加わり、ラジオでヘヴィー・ローテーションを記録している(1996年の『All Natural Ingredients』に収録)。2007年にリリースされた『Greatest Hits !』もその曲が1曲目に来ているのでそれをここで取り上げるという手段もあった。しかしながら、彼らはカヴァーに頼らず、オリジナル曲でも十分勝負出来る人たちなので、敢えてこの曲をセレクトしてみた。新加入したギタリスト:エヴァン・マークスのオクターヴ奏法がプロフェット系のシンセと絡み、途中にはホリス・ジェントリーIIIのサックスも響き渡る好チューン。これもラジオでよくかかった。

<5月1日(火)>

「今日の出来事」

●流石に今日はやらないと拙いだろう...と、朝からアドリブ誌の原稿書き。「AOR通信」を書き上げ、その後、先月初旬に録ったビル・カントスのインタヴューを一気に原稿にしました。やれば出来るんですけどね....でも、昔からテストの勉強は典型的な一夜漬け派でしたから、まあ、しょうがないのかな...と改めて思う私です。

●で、今日は火曜日、私の料理番の日なのでそれからは一気にスパート! 珍しく、仕込みに時間を掛けちゃいました。今日はジャーマン・ポテトと、山芋・海老・浅蜊・ハンペンのしんじょう揚げ(?)自家製さやえんどう添え、それから青椒肉絲 with 蒸し焼そば、を作り、さらに、温玉にきうり、なると、揚げ玉添えも出しました、それとイカのお刺身も。相変わらず自己流。本も何も見ない私ですが、まあ全部それ風に出来たかな、と。家族の反応も好かったです、非常に。ただ、最後の段階で、時間が無い!と焦り、青椒肉絲に紹興酒を混ぜるのを忘れたり(この為に折角買っておいたのに...)、しんじょう揚げにかけるとろみの汁が若干しょっぱかったり、反省すべきはいろいろあります。ま、でも、成功しても失敗しても料理はホント、楽しいです。お陰さまでレパートリーもかなりの数になりましたし。今週はGW中と言う事で、もう1回、金曜日に、料理当番やらせてもらいます。今度は、簡単に出来るものにしちゃおうかな...。

●食後は、ナイター観たり、今日届いたCDをいろいろ聴いたり。11時半には寝てしまいました。

「Smooth Jazz Song File」
(121)Carole King <I Wasn't Gonna Fall In Love>
 from『Love Makes The World』(2001:Rockingale)


●2000年代に聴いたポップ・チューンの中で3指に入る大名曲。聴く度に目頭を熱くしてしまうが、SJC=Smooth Jazz Connectionのメンバーにも百回以上この曲を聴き込んだという熱烈な支持者がいる。それほど"生きた"楽曲だ。メロディーもムードも文句の付けようがなく、また、転調の連続から完奏で終わる(つまり、フェード・アウト終わりではないということ)というエンディングの構成は、舌を巻くばかりの巧さ。これ以上傷つきたくないからもう本気で恋などしない。貴方とも最初はただの軽い気持ちのデートだったのに...といったストーリー自体、どこにでもある内容だと思うが、これがキャロル・キング&キャロル・ベイヤー・セイガーの2人に掛かると、実にリアリティーに満ちた世界を醸し出す。そして、後半に響き渡るウィントン・マルサリスのトランペット・ソロは筆舌に尽くし難いほどの素晴らしさ。ミュートしたサウンドで、メロディアス&ノスタルジックに吹く様はまさに鳥肌もので、彼のプレイがスムース・ジャズ的なポイントをさらに高めている。女性リスナーは絶対に聴くべき。いや、ぜひ聴いて頂きたい。