<5月20日(日)>

「今日の出来事」

●「Adult Oriented Radio」 、5月26日(土)OA分を早くも検聴、Qシート書き、そして郵送。その後は、明日、行われるライヴ・イヴェント『Smooth Lady's Night』用の選曲準備。私が曲をかける時間は開場の6時半から約1時間、そして、セット・チェンジの間の2〜3曲、トータル20曲前後しか無いのですが、それでも、あれもかけたい、これもかけたい、と候補を出しているうちに約130曲になってしまい、さあ、困った....。私の選曲は基本的に、流れと繋ぎ、この両方を最重要視しているので5曲で1セット、みたいな感じなのです。なので、グループAの曲からグループCの曲に行くことは非常に少なくて、そういう時は完全に音がフェードアウトなり完奏してから次が出る、みたいな繋ぎになると思います。でも、では曲順も何も全て決めてから行く、ということもなく、あくまでも最終判断はその都度現場で。もちろん、ディスコのDJさんではないので、ビートを合わせて繋ぐ、みたいなことはやりませんし、リミキサーさんでもないので、SEなりサンプリングを駆使して大胆に、ということも出来ません。あくまでもノーマルな中で最大限に気を配る、という感じでしょうか。楽しみです。

●その他、アドリブ誌用にジェフ・ローバーへのEメール・インタヴューの質問をあれこれ考えました。今回のアルバムもやっぱりなんだかんだ言ってよく出来ています。返事が楽しみです。

●夜は、明日76回めの誕生日を迎える父親の1日早いオメデトウ食事会。近くの焼き肉やに駆り出し、お腹いっぱい飲み食いしました。これで1人¥3,000いかないとは安過ぎます、一牛さん! また行きま〜す!

「Smooth Jazz Song File」
(140)Will Downing <A Million Ways>
 from『Emotions』(2003:GRP)


●1988年にIsland系の4th & Broadwayからデビュー。ジョン・コルトレーンの<A Love Supreme>とデニース・ウィリアムスの<Free>をカヴァーし、これが共にR&Bチャートにランク・インを果たす。以後、今日まで一時たりともメジャー落ちすること無く、まさに順風満帆な活動を続けるウィル・ダウニング。いつの間にか、R&Bシンガーからスムース・ジャズ・シンガーへと見方が変わり、1995年の『Moods』以降はほとんどの作品がContemporary Jazz AlbumsチャートのTop 3入り(うちNo.1が3枚)する人気を見せている。彼の魅力はその声と表現力、これに尽きよう。シルキーこの上ないバリトン・ヴォイスは一聴して彼と解り、その芳醇な魅力に人々は一種の安らぎの地を見出す。また、レックス・ライドアウト、ロニー・ギャレットらお馴染みのプロデュース陣との相性も抜群で、まさに現代におけるスムース・ヴォーカルの最高峰と言って好いだろう。中でも最も秀逸なこの曲はジョー(・トーマス)とジョリオン・スキナーとの共作による究極のラヴ・ソング。これぞウィル色100%の、永遠の名曲だ。

<5月19日(土)>

「今日の出来事」

●今日も1日、頑張りました。一昨日選曲した「USEN AORチャンネル」のWEB用原稿を書き、来週の「Premium DJ Zone」の選曲をガ〜ッとやり、ついでに進行表まで一気に制作しました。

「Smooth Jazz Song File」
(139)The Art Of Noise <Moments In Love>
 from『(Who's Afraid Of)The Art Of Noise』(1984:ZTT)


●トレヴァー・ホーンが立ち上げたレーベル:ZTTから登場したエレクトロニクス・ユニット、ジ・アート・オブ・ノイズ。その中心となるキーボーディスト:アン・ダッドリーは映画音楽も手掛ける才女で、この当時は、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、ポール・マッカートニー、ワム、ABCなど、英国の一流どころをいろいろとサポートしていた。その頃まだ一般化していなかったサンプリングの技法を巧みに駆使し、まさに新時代の音をクリエイト。アルバム全体をして"スムース・ジャズの名作!"と宣言するつもりは全く無いが、ことこの曲に関してはシンプルながら何処までも惹き込まれるメロディライン、まさにアンビエントな空間など、その後のニュー・エイジ・ミュージック〜スムース・ジャズ・シーンに大きな影響を与えていると考えている。実際、L.A.のステーションではたまにこの曲が流れているし、(31)で紹介したドイツのユニット:ダンシング・ファンタジーが、1999年にHigher Octaveから発表したセルフ・タイトル作品でこの曲をカヴァーしている。この質感はやはり"スムース!"だ。

<5月18日(金)>

「今日の出来事」

●恥ずかしながらの二日酔いながら、いつもの7時半前に起き、早くから「Adult Oriented Radio」 の選曲、そして、進行表作り。午後1時には家を出て収録。そして、少しインターバルをおいて、夜は渋谷のJZ Bratで行われた「H-Pop」のコンヴェンションに顔を出しました。H-HopとはHawaiian Popのことで、KONISHIKIさんが新しく立ち上げたレーベルで、主宰はWorld Cruise Sound社。そして、配給がメジャーのポニー・キャニオンさんで第一弾は7月18日にリリースされるコンピレーション『H-Pop Vol.1 Jawaiian Cruise』。さすが、KONISHIKIさんとポニー・キャニオンさんのコネクションですね、コンヴェンションは物凄い人で超吃驚。今週も会った人から数年ぶりに会う人までかなり多くの知り合いと言葉を交わしました。コンヴェンション自体はKONISHIKIさん&女性DJさんの進行でいろいろなハワイのアーティストのライヴあり、解説あり、という小1時間の内容。AOR系は皆無でしたが、それでも結構楽しめた、というか、ハワイに行きたくてしょうがなくなった私です。その後、知り合いと共に食事に行き、余裕の11時くらいの帰り、という1日でした。

「Smooth Jazz Song File」
(138)Rodney Franklin <The Groove>
 from『You'll Never Know』(1980:Columbia)


●サン・フランシスコの対岸、バークレイで生まれた黒人キーボード奏者、ロドニー・フランクリン。フレディ・ハバードやマリーナ・ショウ他のバックを経て1979年にソロ・デビューを飾るやソウルフルなクロスオーヴァー・サウンドで注目を集め、翌80年にこの曲がブレイク。R&Bで41位、クラブ・チャートで27位をそれぞれ記録し、その評価を確実なものにする。アップ・ビートなGrooveに呼応し、シック=ナイル・ロジャースばりのシャープなギター・カッティングが曲をリード。そこに絡むピアノの旋律がこれまた絶妙のファンキーさ&音使いで聴き手のをボディ&ソウルを存分に刺激してくれる。ある意味では、ジョー・サンプルやラムゼイ・ルイスのスピリットを継承している曲、と取れなくもないが、逆に、1990年代以降のスムース・ジャズ・シーンに少なからず影響を与えた作品であることも間違いなく、UKのキーボーディスト:ダンカン・ミラー他数人がこの曲をカヴァーしている。因みに、1986年の『It Takes Two』に収められたMr. Mister<Broken Wings>のカヴァーも、結構ラジオでOAされている。

<5月17日(木)>

「今日の出来事」

●昼間はせっせこ雑務関係。そして夜は飲み会。かなり呑んでしまいました。

「Smooth Jazz Song File」
(137)Donald Harrison Electric Band <The Magic Touch>
 from『3D』(2006:Fomp)


●ドナルド・ハリスンはアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズにも参加していたバリバリのジャズマン。テレンス・ブランチャード(tp)とのコンビでジャズ・メッセンジャーズのフロントを飾っていた20数年前、2人は"新伝承派"なる形容詞でもてはやされ80年代のジャズ・シーンをリードしていた。ライヴ・ハウスではなくホールで観た生演奏は何とも言えないクールなオーラを発し、まさに当時の未体験ゾーンだったことを今でもしっかりと覚えている。そんなドナルド・ハリスンがど真ん中のスムース・ジャズに走った経緯は解っていないが、1990年代にもCTIでフュージョン系のアルバムを発表しているので、特別驚くべきことではないのかもしれない。CTI作品でも深くコラボレートしていたチャック・ローブがこの2006年作品にも参加。そのチャックとクリス・ボッティがゲスト参加し、ドラムスはマイケル・ホワイトという完璧な布陣によるオープニング・チューンがやはり最大の聴きものであろう。決して"柔"には走っていないがメロディもプロダクションもとにかく無駄が無い。理屈抜きで楽しみたい。

<5月16日(水)>

「今日の出来事」

●正午から2時間の生放送。「AOR いろはにほへと」は"1990年代のAOR名曲・名盤"特集、「My Smooth Jazz Awards」は"グループ編"で、何の躊躇も無くフォープレイの<Bali Run>がグランプリに(ノミネート止まりはSoundscape UK、Pieces Of A Dream、Spyro Gyra、The Rippingtons)、そして、「We Love "David Foster"」はデニース・ウィリアムス、アート・ガーファンクル他がレコーディングしたフォスター・コンポジションを心地好い流れでOAしました。

●そしていったん帰宅後出直して打ち合わせが2本。1本めは表参道ヒルズの喫茶店でちょいとハワイ関係を。[COOL HAWAII]は全然関係ないですが、ブレインの1人というかで招集を受けました。「ちょいとハワイに行きませんか?」という嬉しいお誘いも受けましたが、残念ながら、ちょいとスケジュール的に難しそうでした..。そして2本めは新宿でインターネット/CS関係の打ち合わせ。AORをなんとか再燃させよう!という嬉しいスタッフ陣とアイデアを出し合い、その後、食事へ。と、そこで、現在同じようなWEB系のビジネスを進めながらも、しかし、ドラマーとしてもいろいろなライヴやレコーディングに顔を出している人も合流。この方が、元ジャニーズの所属なんですが、非常に楽しかったです。ちゃんと形になりますように...。

●今日の驚きネタ:その食事会でスタッフの1人がこう教えてくれました。矢部&岡村のナイナイはTOTOの<99>が好きでそこからグループ名を取った、と。ホントでしょうか!?!?!? 面白過ぎます。さらに、安達祐実さんの旦那さんが居るスピードワゴンもREO Speedwagonから取ったと....頭の片隅に入れておきます。

「Smooth Jazz Song File」
(136)Chuck Loeb <Tropical>
 from『When I'm With You』(2005:Shanachie)


●東海岸随一の人気クリエイター、チャック・ローブ。ギタリストとしてはもちろん、プロデューサー、コンポーザーとしての引き合いも非常に多く、最近もスパイロ・ジャイラ、マイケル・フランクス、キム・ウォーターズ、ウォルター・ビーズリー他、多くのアルバムで手腕を揮っている。ローブの素晴らしい点はアレンジに対するアイデアが豊富で、かつ、コンテンポラリーなグルーヴや手法を取り入れつつもそれらに媚び売ること無くちゃんと自分のものとして消化しているという部分。かなりラジオ・フレンドリーな印象を受けるナンバーでも、安易な売れ線狙いではなく確固たるクリエティヴィティが伝わってくる。特にその好い例がR&R誌のスムース・ジャズ・チャートで3位まで上がったこの曲だ。クールなグルーヴをバックにオクターヴ奏法をキメるイントロから、スリリング but マイルドな大人のサウンドが流麗に響き渡る。同じアルバム収録の<The Girl From Ipanema>、また、最新作『Good To Go』のタイトル曲や奥様カーメン・クエスタが歌うクールなブラジリアン・チューン<Llevame>も極上の仕上がりだ。

<5月15日(火)>

「今日の出来事」

●典型的な火曜日、でした。「Adult Oriented Radio」 の検聴、Qシート書き、発送、そして、買い物、夕食の準備。加えて夕食後は録っておいたTVを観て感動(プロレスリング Noah 中継です)! ドラゴン・ゲートは面白いですね、スピード感も素晴らしいし。

「Smooth Jazz Song File」
(135)Michael McDonald <Our Love>
 from『No Lookin' Back』(1985:Warner)


●マイケル・マクドナルドの曲はスムース・ジャズのステーションで頻繁にオン・エアーされている。<I Keep Forgettin'(Every Time You're Near)>や、パティ・ラベルとのデュエット<On My Own>といった大ヒット・チューンはもちろん、『Motown』『Motown Two』といった最近のアルバムからも<I Heard It Through The Grapevine>や<Ain't No Mountain High Enough>がヘヴィ・ローテション化している。これはおそらく、彼のヴォーカルが持っている人間味によるところが多いと思う。加えてもちろん、楽曲そのもののクォリティも。そしてこの曲。彼がデヴィッド・パックと共作した美的AORの極めつけだが、これもまたスムース系のステーションで何度となく耳にしている。イントロのピアノの音からまさに典型的な80's風になっているが、流麗なコード・チェンジ&旋律は当時のL.A.フュージョンにも通じるものがあり、いつの間にか定番チューンの仲間入り。ジョージ・ハワード、サム・ライニー、ジョン・テッシュといったスムース系アーティストによるカヴァーも誕生した。

<5月14日(月)>

「今日の出来事」

●朝早くからFM Co-Co-Lo「Adult Oriented Radio」 の進行表を完成させ、中のワン・コーナー、"AC #1 Hits : Inside Stories"の翻訳をせっせこやり、お昼に家を出て1時から収録。5月19日(土)分の2時間と、そして、4時からアドリブ:山崎さんが登場して5月26日(土)分の後半の1時間を収録しました。19日の後半40分ちょっとはリクエスト特集で、いろいろなナンバーがOAされます。関西地区の方、どうぞお楽しみに。

●夜はスタッフと食事。いろいろな吃驚事がございましたが...一番の驚きはあのFreiheitの『Fantasy』にドイツ語盤があった、という部分。通常通りのMunchener Freiheit名義で『Fantasie』としてリリースしていた、ということです。早速、Amazonでチェックをすると...あ〜、有りましたー! って言うか、Munchener Freiheitのアルバム、3〜4枚所有していましたが、物凄い数が出ているんですね。しかも凄く高いものもあります、アメリカ盤の『Fantasy』が¥18,357ですか〜! と、それはともかく、Amazon.comの海外送料、いつの間に値上がりしたんですか〜!? ちょいとショックです。5月6日の時点では間違いなく$5.49だったのに、いつの間にか$6.89に変わってました。何故に? どこにもそんなインフォメーション、載っていないのですが....好い機会なので、これを機に購入を若干減らすよう頑張ってみたいと思います。

「Smooth Jazz Song File」
(134)Tim Heintz <Dear Jacqui>
 from『Tim Heintz』(1989:TBA)


●マイケル・マクドナルドやボズ・スキャッグスのキーボーディストとして、数多くのツアーに同行したティム・ハインツ。その他にも、ステージではチャカ・カーン、スタジオではジョージ・ベンソン、ボニー・ジェイムス、ボブ・ジェイムス他、多くのビッグ・ネームをサポートし、CCM系のアルバムでもいろいろとクレジットを見つけることが出来る引っ張りだこの存在だ。ソロ・デビューは1987年、コアな西海岸フュージョン・レーベル:TBAからで、その時代の作品の一部はビクターから、また、その後の作品はアルファ・レコードのWARPレーベルから日本発売がされている。エル・デバージの<Someone>をほぼ原曲通りにカヴァーしたり、基本的にはAOR感覚で楽しめるインストを届けてくれる人だが、極めつけはやはりこれであろう。デヴィッド・フォスターとジョン・ジャーヴィスを足して2で割ったような美麗な旋律が、聴き手のハートをどこまでも優しく包んでくれる。今なおアメリカのステーションで頻繁にプレイされる、まさにクラシックス的な1曲。

<5月13日(日)>

「今日の出来事」

●今日はひたすら選曲クン。「Premium DJ Zone」も「Adult Oriented Radio」 も一気にやっちゃいました。後は、母の日なので、食事の準備をしたり、珍しく花束をプレゼントしたり、あっという間に1日が過ぎてしまいました。ま、でも、充実クンですね。

「Smooth Jazz Song File」
(133)Richard Elliot <Street Beat>
 from『After Dark』(1994:Blue Note)


●最早説明不要のジャイアント、リチャード・エリオット。"元タワー・オブ・パワーの"であったり、"一時期ボビー・コールドウェルのバンドに居た"といった類いの形容詞は既に不要となり、特に2000年代に入ってからの勢いは凄いの一語。GRPから出した2枚がContemporary Jazz Albumsチャートで1位と2位を記録し、ARTizenから発表した最新作『Metro Blue』も最高2位を記録している。ラジオ・チャートにおいても、<Your Secret Love><People Make the World Go Round><Mystique>他が軒並みNo.1に輝くなど、"絶対的な存在"へと化した。男気溢れるテナーのブロウは生で聴いたらそれこそ吹き飛ばされそうな衝撃であろうし、かつ、そこに優しさ、包容力を同居させる術がこの人の最大の魅力と言えよう。名曲、ヒット曲が多い人なので1曲に絞るのはこれまた難しいが、大のリチャード・エリオット(& T.O.P.)フリークであるSJCメンバーの薦めもあり、この曲に落ち着いた。マーヴィン・チックなグルーヴはまさに快感そのもの! Bメロからサビへのメロディの持って行き方も実に秀逸。

<5月12日(土)>

「今日の出来事」

●今日は午前中に「Smooth Jazz Song File」の原稿を久しぶりにまとめて書き、その後、「Adult Oriented Radio」 &「Premium DJ Zone」の来週分用にいろいろな曲を聴いてはデータを取ってリストに整理、を延々やってました。それこそ寝るまで。久しぶりにベリンダ・カーライルを聴いたり(笑)、ついでにジェーン・ウィードリンも聴いたり(笑)。また、XTCを改めて数曲リストに入れたり、ニュートーンだ、マグナム・コルトレーン・プライスだ、ケニー・トーマスだ、ジョーイ・キッドだといった90年代ポップスも目出度くリスト入りしました。さらに、ヘザー・マレンだ、リア・サロンガだ、ディック・リーだ(笑)、も。そのうち選曲に登場する可能性大です。もちろん、久方ぶり、それこそ10年、15年振りに聴き、昔は結構悪くないな〜と思っていたものも、いや、やっぱり却下!となったものもありまして、やはり流行りものは所詮流行りもので、その時は好いと思っても...ってのが少なくなかったです。まあ、何れにしましても、特に「Premium DJ Zone」では90年代の名曲をどんどん掘り起こすよう頑張っています。70年代、80年代と較べると、"曲"として残っているものが圧倒的に少ないですからね。とは言え、昨今、2000年代と較べるとまだまだ全然好い曲が誕生していたわけで、その再評価に中田、大いなる時間を費やしたいと思ってます。なんたって、自分自身、忘れているものが少なくないですからやりがいあります。と言うことで、次週の「Premium DJ Zone」のオープニングはニュートーンの<Self Confidence>にしちゃいましょう!

「Smooth Jazz Song File」
(132)Ottmar Liebert <Isla Del Sol>
 from『Borrasca』(1991:Higher Octave)


●スムース・ジャズが"ごく普通の"ジャズ/フュージョン・ステーションと違うのは、ポップやR&B系、そして時にはロック系の歌ものを上手くプログラム(選曲)に取り入れている部分にあると思うが、もう1点忘れてはならないのがニュー・エイジ・ミュージック(NAM)との絶妙のブレンドだ。それまではあまりラジオ向きと思われなかったNAMを効果的に散りばめ、それによって、都会の観葉植物的な独自の質感、癒しの空気感を提供することが可能になった。そしてその意味において、都会派NAMの草分け的レーベル:Higher Octave Musicの果たした役割は極めて大きいと思う。1990年にデビューを飾った"ヌーヴォー・フラメンコ"系ギタリスト:オットマー・リーバートの大ブレイクを始め、ウィリアム・オーラ&3rdフォース、クレイグ・チャッキーソ…多くのアーティストをスムース・ジャズ局でブレイクさせ、独自のワールドを形成した。特にオットマー・リーバートはその後メジャーのEpicに引き抜かれる人気ぶり。確かにこのポップでメロディアスなフラメンコは万人受けする魅力を溢れさせている。

<5月11日(金)>

「今日の出来事」

●今日は朝の9時半頃から家族と一緒に祖父のお墓参り。今日が命日なのですが、他界後今年で丁度40年! 私が幼稚園の時だったのですが、漆塗り職人の祖父はその日も江東区深川に仕事で出掛け、そこで倒れ、私たち家族が駆け付けた時にはもう帰らぬ人になっていた、というあまりに突然の最期でした。62歳。しかし、職人としては実に理想的な人生だったかも知れません、ある意味。とまあ、それはさておき、お墓は我が家から対極にある江戸川区のお寺にあるので結構時間掛かっちゃいます。しかも、往きも帰りもちょいと寄る所があったりで、結局家に戻ったのは2時半頃。そして軽く昼寝(笑)。結局、今日も、あまり仕事せず。ま、週末はちゃんと気合い入れますので!

「Smooth Jazz Song File」
(131)New York Voices <Dare The Moon>
 from『New York Voices』(1989:GRP)


●女声3人、男声2人の5人組として、1989年、GRPからデビューを飾ったニュー・ヨーク・ヴォイセズ。先輩のザ・マンハッタン・トランスファーに迫る高度なテクニックと洗練された味わいで、デビュー後、直ぐにブレイク。レコード会社の期待も大きく、しっかりとプロモーションも行き渡ったのであろう、Contemporary Jazz Albumsチャートで最高9位という、上々のスタートを切ることが出来た。マントラと同じく彼らもスタンダードのカヴァーだけに終わらず、ポップ・クラシックスをどんどんと演じ、かつ、アダルト・コンテンポラリーな味わいのオリジナルを積極的に披露している。作曲の要となるダーモン・ミーダーの才能、センスは非常に素晴らしく、彼の書く楽曲の質の高さがそのままGRP時代の成功に結びついている感じもする。1stのこの曲か、はたまた3作目『What's Inside』(1993年)に収められた<Do You Know What I Want>かどちらか迷ったが、ブラジルのリズムを品好くグルーヴさせ、かつダーモンのサックスも雄弁なこの曲に落ち着いた。コーラスも曲の構成も、まさに完成された一品だ。