<6月30日(土)>

「今日の出来事」

●今日は結構、休養日。呑みの連戦だったので、ま、しょうがないかな、と。なので、"仕事"ではなく絶対に"趣味"であり"ジョイ"である「Smooth Jazz Song File」の原稿を書き溜め、さらに、ReMuTVのコラム、「中田利樹のAORウラ話」、第3回分を書きました。「ジェイさんとの出会い」、今回はいよいよジェイさんの家&スタジオに到着し、コミュニケーションがスタート。1990年3月、まだろくに日常会話も出来なかった中田が初めてジェイさんに直接した質問とは〜?! 近日中に更新されると思います、またご案内しますので、宜しかったら見て下さい。

「Smooth Jazz Song File」
(181)Mike Phillips <If It Takes All Night>
 from『Uncommon Denominator』(2005:Hidden Beach)


●マイク・フィリップスはNY生まれのサックス奏者。ジル・スコットの所属するレーベルHidden Beachから目を付けられ、彼女のツアーのオープニング・アクトを務めた後にソロ・デビュー。2005年のこのアルバムが2枚目となる。マイク・フィリップスの音楽はズバリ、インストゥルメンタルR&B。それも、伝統的なソウル・ミュージックの要素を継承しながら今日的なヴァイブも発する、"ニュー・クラシック・ソウル"とダブる部分が少なくない。セクシーではあっても軟派ではない、男気100%のサウンド。もちろん、マイク本人はスムース・ジャズ・ステーションのことなど眼中になかったのだろう、メロディの延長でのインプロヴィゼーションは殆ど全ての曲で披露され、まるでライヴ盤を聴いているかのようなストレートさだ。アルバムにはジェフ・ローバーやレックス・ライドアウトもプロデュースで参加。イチ押しのこの曲はリー・ハトソンJr.の作・プロデュースによるミディアム・スロウで、サビに登場するヴォーコーダーのコーラスがメロウにハートを誘惑してくれる。アルバム全編、クォリティは極めて高い。

<6月29日(金)>

「今日の出来事」

●月末なのでいろいろと雑務をこなし、それ以外にもこまごまとしたコピー、発送etc.をいろいろとやり、アッという間に夕方に。

●夜は、六本木の駅上にある新しめのホール、オリベ・ホールで行われたケリー・スイートのコンヴェンション・ライヴに足を運びました。
 まずはピアノ1本をバックに今ヒット中の(ビルボードのHot AC Chartで10位〜15位をキープ中)<Raincoat>を歌い、その後もアルバム『We Are One』からの曲を5曲、オケを使ったり、ピアノ1本だったり、そして、最後はア・カペラで<We Are One>を歌い、感動的に締め括ってくれました。
 終演後は、ホールのロビーというかでレコード会社しきりの懇親会。アドリブ誌の山崎さんも見つけましたが、そこで一緒に話しているのは、音楽ライター(評論家?)のE.S.氏。口の悪さは業界でも随一(笑)の毒舌さんで、私を見るなり「オメー、中田か? デヴィッド・リンドレーかと思ったよ」とキツいジャブが。でも、私は全然平気。「E.さんに何言われても全く気にしませんから、オレ」と笑って切り返し、その後も、ずっと雑談。
 媒体の人よりもディーラーさんが多かったようで、全然知ってる顔が居なかったのですが、大御所のM.S.先生を見つけてご挨拶、は必須アイテムでした。
 その後、ケリーさん本人と軽く雑談。昨日のベノワさんのライヴでは<Raincoat>を歌ったそうで、オーディエンスのリアクションも非常に好かったとのこと。本当に可愛い、いや、愛らしい、という表現がピッタリ来る女性ですね。CDのカヴァーは横顔でイイ女風の雰囲気を漂わせていて、これはこれで非常に好いですが、素顔の彼女もとっても好かったです。売れて欲しいですね。

 イヴェント終了後に山ちゃんと六本木で一軒。これがまた、こんな所にこんな店が〜!?!?!? という渋い焼き鳥屋を発見し、1人、3千円ちょっとで非常に満足させて頂きました。こういう、広くもなく、決してお洒落でもない(でも、道から店に入るまでの10数メートルは雰囲気超最高です!)店でちょびっとマスターと会話しながら酒と焼き鳥で過ごす時間。やっぱ、歳をとらないとこの心地好さは解り得ないのでしょうね...

「Smooth Jazz Song File」
(180)Peter White <Dreamwalk>
 from『Excusez-Moi』(1992:Sin-Drome)


●スムース・ジャズ界の象徴的なギタリスト、ピーター・ホワイト。生まれは英国、北ロンドンで、1970年代中盤、アル・スチワートのバンドにまずはキーボーディストとしてオーディションを受け合格。やがてはキーボードとギターの両刀使いでアルを大きくサポートして行った。その後、バーシアのバックも務め、その才能を広めて行くが、1990年代に入るとL.A.に移り本格的なソロ活動をスタート。92年の2ndからNAC(New Adult Contemporary)のチャートで上位にランク・インするようになり、気が付いたらスムース・ジャズ界の顔的なギタリストになっていた。既に10枚のソロ作を発表し、最近もチャートのNo.1を立て続けに獲得するなど、その人気とクォリティは全く衰えを知らない。ナイロン弦から紡ぎ出される音の調べはまさに人間味100%といった温もりを醸し出し、またその旋律の巧みさは他の追従を許さ完成度を誇っている。名曲が山ほどある人なので選択に頭を痛めたが、初期の代表曲にして今なお新鮮な響きを放つこの曲に落ち着いた。サックスとの絡みがなんともスムースな風を運んでくれる。

<6月28日(木)>

「今日の出来事」

●朝イチで山野楽器:Jam Spotの原稿書き。7月中旬に店頭に置かれるフリーペイパーですが、今月は、H-POPのコンピと、ソニー、ワーナーから紙ジャケでリイシューされるポップ、SSW系の作品を取り上げました。

●そして、午後に取材を行う女性シンガー:ケリー・スイートのCDを繰り返し聴き、質問をいろいろと考えました。ポップとジャズとクラシックをクロスオーヴァーしたアーティストですが、アルバムを全面プロデュースしているのがマーク・ポートマン、ということもあり、輸入盤の時点で注目していた1人です。なので、この取材、非常に楽しみでした。
 で、3時過ぎにビクターさんに行き30分強お話しを訊きました。1988年2月生まれの19歳。非常に明るい、典型的なアメリカン、でも、ノリだけじゃなく、品もあって、同行したアドリブ:山崎エディターもえらく感激してました。アルバム『We Are One』の日本盤は8月22日にビクターさんからリリースされる予定で、今日のインタヴューも9月号のアドリブ誌に載ると思われますので、機会が在ったらご覧頂きたいのですが、現在スムース・ジャズ・チャートを上がっている<Raincoat>、これがチャート・インしている理由は、デイヴ・コズが特別にゲスト参加したヴァージョンがラジオで流れているから、だそうです。今のところ、ダウンロードでのみ入手可能、だとか。そのコズさんと現在アメリカをツアー中なんです、観たい! それと、本日夜、コットン・クラブで行われるデヴィッド・ベノワさんのライヴにゲストで参加し1曲歌う、とか....。これも行きたかった〜! でも、断念です。夜は、いろいろと懇親会?が詰まっているので...(笑)

「Smooth Jazz Song File」
(179)Praful <Sigh>
 from『One Day Deep』(2001:Therapist)


●アムステルダムをベースに活動するヒップなクリエイター、プラフール。本業はサックスだが、キーボード他もマルチにこなし、コンポーズに、プロデュースに、多方面で活躍中だ。エレクトリックを駆使した、時にトリップ・ホップなサウンドはアダルト層のスムース・ジャズ・リスナーにとってちょっぴりエッジが効き過ぎたものだし、また時にインドであったり第三世界の旋律を取り入れた曲調は"スリル"と同時に"困惑"という二文字を聴き手にもたらす。しかしながら、この曲で彼はRadio & Records誌のスムース・ジャズ・チャートのNo.1を獲得してしまった。事件であろうが、衝撃であろうが、事実は事実だ。この2001年作品はRendezvousを通じて2003年にアメリカでもリリースされ、これまた話題に。共作、トラック作りで全面協力をしているのは同じくRendezvousからアルバムが紹介されているオランダのユニット、Adani & Wolf(Rob Gaasterland & Daniel Testas)。ヨーロッパならではの陰影な空気が生み出す独自のオーラ。好き嫌いはハッキリ別れるだろうが、フリークにとっては避けては通れぬ1曲だ。

<6月27日(水)>

「今日の出来事」

●今日も午前中からハワイもの2作を聴き、いろいろと質問を考え(媒体はアドリブ誌です)、1時半から虎ノ門のポニー・キャニオン社でまずはKONISHIKIさんへ電話インタヴュー。オアフの実家?で寛いでいるところをスンマセン、という感じですが、しかし、彼が監修を手掛けるH-POP普及の為ならお易い御用、といったところでしょうか? 既に以前2度ほど面識あるので特に緊張もせずに淡々と出来ました。

 そして、そのKONISHIKIさんの甥っ子で今年まだ22歳、というKONISHIKIさんイチ押しのアーティスト:Laga Saveaに2時からインタヴュー。こちらは日本のアーティストとのコラボレーション/レコーディングの為に現在来日中なので、フェイス・トゥ・フェイスで小1時間、会話を楽しませて頂きました。しかし、久しぶりにPC社にお邪魔しましたが、顔見知りの人、全然居なくなってますね。今日もホント、知っている人は私の同世代の人1人だけで、彼(宣伝担当)がA&Rさんを紹介してくれた時も「中田クンの半分くらいの年齢だから...」と一言。ま、そんな時代です。でも、再発チーム以外は若い感性で取り組む方が好い気はしますよね、正直。扱っている商品は大半が若者向けですからして、それが妥当かな、と。

 その後アドリブ誌の山崎さんとお茶して5時前に帰宅。家で大人しく夜を過ごしました。

「Smooth Jazz Song File」
(178)Marcus Johnson <18th & M>
 from『Just Doing What I Do』(2004:Three Keys Music)


●マーカス・ジョンソンはワシントンDCをベースにするキーボーディスト。ソロ・アーティストでありながらレーベルのCEOでもあるという人で、マイケル・リントンやジャーレッドが在籍したレーベルMarimeljを1998年に立ち上げ、それがその後Three Keys Musicと名を変え、ボビー・ライルやアリソン・ウィリアムス、ニック・コリオーンといった名手のアルバムを発表している。つまり彼は自分自身の音楽性を強く打ち出すだけでなく、周りにいる優れた才能、素晴らしいスムース・ジャズ系音楽を少しでも多く、広く、世に伝えていきたい、そんな人なのだ。故に、自身のアルバムも非常に柔軟な作りになっていて、好い曲であれば積極的に他人のレパートリーを取り入れ、外部のプロデューサーにもどんどんと委ねていく。この曲も作曲はニック・コリオーンとジョン・ブラスッチで、クールなR&Bフィーリングが耳とハートを心地好く刺激してくれる。2004年の名作『Just Doing What I Do』に収められたキー曲で、アルバムもビルボード誌のContemporary Jazz Albumsのチャートで最高16位まで上昇した。

<6月26日(火)>

「今日の出来事」

●午前中から「Adult Oriented Radio」 の検聴、Qシート書き、発送といういつもの業務をテキパキこなし、午後はひたすらハワイの音楽に身を委ねていました。明日、水曜日、KONISHIKIさんへの電話インタヴューを含めて2本、H-POPの取材をするので、そのサウンドを予めインプットすべく資料を見ながら聴き入っていたのですが、まさにI Miss Hawaii ! 途中から心地好さがハワイへ行けない苛立へと変化して行きました(笑)。

●そして夜は知人のDJさんと一緒に丸の内のコットン・クラブに行き、ミッドナイト・スターのライヴを堪能しました。いや〜、素晴らしかった! 本物の凄さ、貫禄を見せつけられましたね。キャロウェイ兄弟はもちろんいませんが、それ以外は全員集合!という感じで、女性シンガー1人を含む6人全てが80年代の全盛期、Solar時代そのままでした。そんなにメジャーなヒットはなかったですが、グループ自体はずっと存続していたようで、バンド全員が一体化したグルーヴ、さらに、ちょっとした"振り"、全てがニコニコものでした。打ち込みでフォローしている部分ももちろんありましたが、ツイン、あるいはトリプル・キーボードを駆使して、ミッドナイト・スター・ワールドを完璧に再現。彼らの十八番的なヴォーコーダーも随所で味わえ、さらに、当時のタイムにも通じるファンク・リズムが出て来たりすると、もう満面の笑みしか浮かびません。加えて、ギターのメルヴィンさんも非常〜に好かったです。ナチュラル・トーンのカッティングからディスーションを効かせた弾きまくりのソロまで。正直、多くの曲を知ってるわけではなく、演奏曲目の半分ちょいが初体験気分でしたが、それでも全然平気。まさに理想的なライヴでした。ただ、残念ながらライヴは今日まで....1人でも多くのリスナーに観て頂きたかったです....が、今さら絶賛しても時既に遅し...ちょっぴり後悔です。
P.S. ちょっと派手目の綺麗なおネエさんもたくさんいました。やっぱ、AORじゃなくてこっち系の音楽にスイッチしようかな....(ウソです)。

 家に戻ってから速攻でミッドナイト・スターのCDを引っぱり出して来て、就寝前に聴き込むも、いやあ、ひょっとしたらCDよりライヴの方が好かったかも!? と、スタジオ構築美派らしからぬ感想も...とか言いつつ、今度、恵比寿のソウル・バーに行ったら絶対にリクエストしてしまうでしょう。まずは、<Curious>から、かな???

「Smooth Jazz Song File」
(177)The Braxton Brothers <It's You>
 from『Rollin'』(2004:Peak)


●サン・フランシスコを拠点にする双子の兄弟、ブラクストン・ブラザーズ。ベースのネルソンとサックスのウェイン、というユニークな編成によるユニットで、デビューは1996年、彼らが26歳の時だった。最初はKokopelliというインディ・レーベルからスタートしたが、ラジオ・チャートで結果を残し、Windham Hillに格上げ。2002年の3作目からPeakに在籍し、4作目の『Rollin'』はビクターから日本盤もリリースされている。ベイ・エリア・ファンクの継承、といった安易な形容詞を用いるのは気が退けるが、彼らのサウンドは多分にR&B寄りで、特に、リード・ベース的アプローチで硬派な面を打ち出すネルソンの才能はなかなかなもの。SFのスタジオ・シーンではかなりの売れっ子だが、プレイやプロデュースはもちろん、エンジニアとしてだけの起用も少なくないのには感心させられる。まさに、音のスペシャリスト、ということだ。この曲はその4作目からのヒット・チューン。サビに男性コーラスを配したキャッチーなナンバーで、ベースとサックスの絡みは抜群、まさに彼らの世界が十二分に発揮されたトラックだ。

<6月25日(月)>

「今日の出来事」

●朝から「Adult Oriented Radio」 の選曲を完成させ進行表作り。そして、コーナーの翻訳。これを2本分やったので結構バテました。そして夕方から収録を行い今日はスタッフとの食事会もなく真っすぐ帰宅、と言うか、池袋で降りてラーメンを食してその後、食後の運動とばかりに30分程、歩いて帰りました。まだ平気です、夜の散歩。もう2週間もすると熱帯夜続きで歩くのも汗かくだけ、になりそうですが。

「Smooth Jazz Song File」
(176)Kim Waters <Waterfall>
 from『Someone To Love You』(2002:Shanachie)


●スムース・ジャズ界で最も影響力のあるサックス奏者は? と訊かれたら迷わずグローヴァー・ワシントンJr.と答えるが、では、身も心もスムース・ジャズ、そんな典型的なアーティストは? と訊かれたら、デイヴ・コズと共にこのキム・ウォーターズの名前を挙げる。とにかく曲が好い。しかも、無駄のないトラック作りとキャッチーなフレーズ作りに終始し、アルバムの大半がラジオ向きの質感を誇っている。特に、1998年にShanachieに移ってからは、チャック・ローブ、デヴィッド・マン、ウォルター・ビーズリー他のプロデュース陣ともコラボレートするようになり完成度がさらにアップ。Radio & Records誌のスムース・ジャズ・チャートでは5曲以上のNo.1を生み、ビルボードのContemporary Jazz Albumsのチャートでもここ5作、全てがTop 5入りする人気ぶりだ。ミディアム〜スロウのセクシーなソプラノがひとつのトレードマークになっているが、ハウス系の4つ打ちにおけるアルトも存分に"彼らしさ"が味わえる。この曲は後者の代表的な1曲。スリリングながら親しみ易い、そんなライヴ向けの名曲だ。

<6月24日(日)>

「今日の出来事」

●「Smooth Jazz Song File」の原稿書き溜め&それ用の試聴。とりあえず、半年という折り返し地点までは無事行けそうです。目指せ、完走!

●そして、明日収録の「Adult Oriented Radio」 の選曲を8割ほど。因みに、明日は変則の2時間分を録ります。

●いつもですと火曜日が夕食当番ながら今週はライヴに行ったり、用事があるので、今日に繰り上げ。父親がジャガイモを段ボール一箱買ってきて、これがそうは減らないことから、では、私がカレーを作ります!と相成りました。市販のルーは使いますが、母親とは結構違う作り方なので味も全然別物でした。その他にも茄子の炒め物からホタテの焼いたものまで4〜5品サーヴ。今宵も楽しく出来ました。

「Smooth Jazz Song File」
(175)Daryl Hall <She's Gone>
 from『Can't Stop Dreaming』(1996:BMG)


●<Sara Smile><On And On><I Can't Go For That>....ホール&オーツの名曲の幾つかはスムース・ジャズのステーションでもよく耳にする。まさにエヴァーグリーンな輝きを放つ珠玉のアダルト・コンテンポラリー集。ただ、それらの大半を作曲し歌っているのがこのダリル・ホールでありながら、彼のソロ・アクトにおけるチャート・アクションの地味さには一種の落胆さえ感じてしまう。90年代に発表した2枚のソロ作『Soul Alone』(1993年)と『Can't Stop Dreaming』(1996年)は本当に素晴らしい完成度を見せていたのだから。特に後者などは圧倒的に日本先行で、アメリカでのリリースは2003年というノンビリ(?)具合。この脂の乗り切ったソングライティング&ヴォーカルを直ぐに評価出来ないアメリカ音楽界の実情には苦笑するしかない。とは言え、スムース・ジャズ局はそのアルバムを十分に評価し、<What's In Your World>と名曲<She's Gone>のセルフ・カヴァーは大いなる人気を呼んだ。特にこの曲はキーも下げてゆったりとパフォーマンス。この余裕こそまさにスムースの醍醐味だ。

<6月23日(土)>

「今日の出来事」

●朝、パソコンのメールを開くと、本日からスタートしたパイロットの来日公演、スペシャル先行予約に何通もの応募が確認されました。感謝! しかも、0時0分、すなわち、23日になると同時に申し込まれた方が複数居て、なんだか非常に感激しました! さらに、1通1通拝見致しましたところ、四国から観に来られるという人が居てオッ!と吃驚! ところがそれだけでなく、兵庫県、愛知県、北海道札幌市まで確認出来て、ほとんど目から鱗状態です。これを早速、クラブ・チッタの方に報告し、さらに、パイロットのマネージャー:Kirkさんにもメール。彼も早速喜びのレスをくれました。とにかく盛り上げたいです、初の日本公演。

●今日は届いたばかりのCDをじっくり愛聴。まずは、Maysaの新作『Feel The Fire』、そして、待ってました、Euge Grooveの新作『Born 2 Groove』、さらに、Down To The Boneの新作『Supercharged』。Maysaは前作に続くカヴァー集でちょっぴり退き気味ですが、選曲はどちらかと言うと通向けで、まあ、ありなのかな〜とも思えました。ただ、声質、歌唱スタイルに完璧フィットしている曲は3分の1くらいかな...という気も....。Shanachie、カヴァー集、と言えば彼!という人がプロデュースしていて、流石にマンネリ気味という感も。でも、ハマってる曲はその歌のうま味が伝わってくるので作品自体を邪険には扱えないし....と、まー、可もあり不可もありな1枚かな、と。
 Euge Grooveは現在タイトル曲がスムース・ジャズ・チャートのトップ10をさらに上昇中、間違いなくベスト3に入るであろうリアクションを得ています。全体的には大人になった感じの曲が結構あるな、と。プロデュースは本人とポール・ブラウン。ジェフリー・オズボーン、アリ・オリ・ウッドソン、リッキー・ピーターソン他がゲストで参加しています。
 Down To The Boneは例によって頑なにグルーヴし続け、小細工無しの延々繰り返す攻撃、的なアルバム。歌ものは2曲で、ヒル・ストリート・ソウルとコリーナ・グレイソンがヴォーカルを担当。他にはロイ・エイヤーズが1曲ゲストで参加し、現在はソロで活躍しているシルツが5曲でプレイ。そんな感じ(?)のアルバムです。

●夜は姉の家族と共に近くの焼肉店で1週間遅れの父の日食事会。楽しく美味しく食せました。でも、メニュー変わって、若干、戸惑いを....1皿の肉の量、グッと減ったんじゃないっすか....? 麺類が始まったりメニューが増えたのは非常に嬉しいことですが....

「Smooth Jazz Song File」
(174)Michael O'Neill <Funky Fiesta>
 from『Funky Fiesta』(2005:Green Bean)


●マイケル・オニールがここまで魅力的なアーティストだとは...。2005年の『Funky Fiesta』を初めて聴いた時、そう思わざるを得なかった....。20年以上に渡ってジョージ・ベンソン・バンドのバック・ギタリストを務め、その風貌から坂上二郎さんの真似、"飛びます、飛びます"を演じては日本の関係者を和ませていた心温まるオジ様、マイケル・オニール。1990年代初頭に、デヴィッド・ガーフィールドのレーベル:Creatchyからソロ・デビューを飾り、決して裏方では終わらないといった主張もしっかり届いているが、それでも、"好感の持てる1枚"という域を飛び出すまでには至らなかった。しかし、このアルバムは別物だ。長年のGBサポートが吉と出たのであろう、とにかく曲の出来が違う。各曲が"ツボを得た"フックを纏っている。ラジオではアルバム2曲目のポップな<The Journey>が話題になったが、本命はやはりこのタイトル・チューン。フレディ・ラヴェルとの共作&共同プロデュースで極上の都会的アーバン・スムースを演出し、ケニア・ハサウェイのコーラスも適材適所の起用となっている。これぞ理想の質感。

<6月22日(金)>

「今日の出来事」

●朝から多忙な1日でした。まずは、通販用の封筒が無くなってしまったりしたので、久しぶりに車で中野の島忠に行き、あれこれ買い物。途中、数ヶ月ぶりにガソリンを入れたら、近辺で最安値の所にも拘らず、ハイオクで1リットル=¥142。目が点です....そんなに乗らない人だから好いようなものの、車で動いている人、本当に大変だと思います、この高騰ぶり。いつまで続くのでしょうか....?

●帰宅後、速攻で久しぶりのクール・インフォ作り。ネタは明日からスタートする、パイロット来日公演(11月17日(土)川崎のクラブ・チッタにて)のクール・サウンド特別先行予約、のご案内、です。限定30枚なので直ぐにソールド・アウトして欲しいのですが....

●そして、某レコード会社のプロデューサーさんと表参道でランチ・ミーティング。コンピ盤のライナーに関する話しを中心に1時間強、美味な焼き肉を堪能させて頂きました。

●続いて4時から「Adult Oriented Radio」 、6月30日放送分の後半1時間を収録。アドリブ誌:山崎稔久エディターを迎えての週ですが、今回は全編同じアーティストの曲で統一しています。今月、ビクターさんから新作が登場した、ナッシュヴィル・ベースの男女ユニットです。

●その後、例によって食事会に。大阪からラジオ関係のスタッフも来京し、計5人で盛り上がりました。そして、今日は早々、11時過ぎに解散。体力の低下を感じる私です(未だに、喉が全快していなかったりして....お恥ずかしい限りです、プロの喋り手、としたら....)。

「Smooth Jazz Song File」
(173)Tom Grant <Fantasy>
 from『Instinct』(1995:Shanachie)


●オレゴン州ポートランドをベースにするヴェテラン・キーボーディスト、トム・グラント。決して商業ベースにハマること無く、きっちりと自己のスタンスを守り続ける姿には時として一種の感動さえ覚えてしまう。テクニックも音楽性も十二分なものがあるのに、決して"安易"という二文字には走らない。それ故、スムース・ジャズのステーションからも圧倒的なサポートを受けるアーティストではない、正直に言ってしまうと。もちろん、ウエスト・コースト的な明るさとキャッチーなリフが印象的な<Change>(1986年の『Take Me To Your Dream』に収録)や、<Mango Tango>(88年の同名作に収録)他、ラジオで愛された曲も無くはないが、しかしオン・エアーに頼ってアルバム・セールスに繋げる、というタイプでは全く無い。そんな彼のトラックの中から今回セレクトしたのはEW&Fのヒット曲としてあまりに有名なこの曲だ。ここでのトムはクールな哀愁によって完璧にこの曲を甦らせ、内に秘めたる主張を確実に放射している。聴くほどに唸るタッチと解釈。ピーター・ホワイトのアコギも絶妙の演出を見せている。

<6月21日(木)>

「今日の出来事」

●今日はマイ・ペースな1日。ちゃんとした仕事は、ソニーさんの通販カタログ:The CD Club用にアル・ディ・メオラの原稿を1,000字ちょい書いたくらいで、後は、ひたすら趣味の世界。少し前、友達に渡した「Best of Smooth Jazz Sax(仮)」のCD−Rの中で、ユージ・グルーヴの曲が好かったと言うので、ええ〜い。こうなったら!と今度は「Euge Groove Selection」を選曲&CD−Rに焼いて....みたいなことにエネルギーを集中させました。恥ずかしながら2〜3日前に出た彼の最新作、まだ買っていないので(と言うか、某レコード店にメール・オーダーしているのですがなかなか来ない....毎度のことですが)、最初の4枚から15曲、といった感じですが、でも、ラジオでお馴染みの曲が大半で、制作しながら思わずニンマリ。曲順もそれなりに自信を持って!

 となると、他にも作りたくなってしまうのが中田の性。頼まれもしないのに「Kim Waters Selection」まで作ってしまい。これがまた最高の内容! 枕元のBGMもこれにし、大満足の私です。

 その他、昨日のこの日記で書いたように、「Steve Nieves Selection」も制作し、しかも『Fagenish』なるタイトルを付けてしまう私です。こちらもiPodでのヘヴィ・ローになること間違い無し!

 あ、あと、ついでにと言うか、海外の知り合い用に、ジェイ・グレイドン関連の日本のアルバムを幾つか焼いて....そんなこんなで夜ももう好い時間になり本日も終了、と相成りました。しかし、話しは一番最初に戻りますが、ディ・メオラ、イイですね、やっぱり。Sony/Columbia時代の2枚組ベストなんですが、あの限りなくロックな速弾き、今聴いても堪りません。と言うか、ディ・メオラの音楽に出会わなかったら学生時代、もう少し、自分のギターに自信持ってただろうな〜、ヴァン・ヘイレンのコピーとかまではちゃんと出来てたんだから....なんてことを思い出した次第。もちろん、ある程度のお決まりスケール的な速弾きが少なくないし、今の耳で聴くとその速さの度合いも昔とは違った感じに響きますが、でも、曲がカッコ良かったり、バックを務めるヤン・ハマーの唸るシンセ、ガッド&アンソニーの強力リズム隊が、これまた無茶苦茶クールだったり、久々に聴いたもので、ホント、昔の熱い血が甦る、そんな快感タイムを過ごすことが出来ました。原稿依頼をして下さったM社のSさん、本当にありがとうございました。とは言え、じゃあ、明日、久々にレスポール(でも、ギブソンではなくフェルナンデス・バーニーです)でも引っ張り出して来て弾いてみようか、と、ならないところが2007年の中田利樹。まずは、弦を買って来ないと....錆びまくり、でしょうからね....

「Smooth Jazz Song File」
(172)Alicia Keys <If I Ain't Got You>
 from『The Diary Of Alicia Keys』(2003:J)


●今時のR&Bには全く興味がない。シンガーの歌唱力自体はそれなりの水準に達していると思うが、肝心の曲がつまらな過ぎる。グルーヴであったり、派手なトラック作りに重点を置き、メロディや音楽的な創造性といった部分で共鳴出来るところが極めて少ないのだ。それでも、それでも2〜3年に1曲は全面的に降伏せざるを得ない、素晴らしい楽曲が登場する。アリシア・キーズのこの曲などはまさにその好例で、R&BでNo.1、ポップで4位、ACで12位というチャート・アクションに加え、スムース・ジャズのステーションではリリースから数年経った後も限りなくヘヴィ・ローテーションに近いエアプレイ率を誇っている。マライア・キャリーをちょっとブルージーにしたような曲調&ヴォーカルだが、21〜22歳でこれを作詞・作曲・録音してしまうのだから、その才能には一目置くしか無いだろう。イントロのピアノから掴みはOK! まさに"伝わる"曲調&歌唱の極め、ここに在り! エリック・ダリアス(sax)、マーカス・ジョンソン(key)、さらにケニーGまでもがカヴァーした、21世紀を代表する1曲。