<10月10日(水)>

「今日の出来事」

●ご無沙汰しちゃっておりますが、久しぶりの日記復活です。そして、10月9日までの分も徐々に仕上げていきますので、宜しかったら、また数日後に覗いてやって下さいませ。

 で、本日は、久々のオフ日。ホント、昨日まで、鬼のように仕事していましたから。その詳細もまた追って記していきますが、今日はゆっくり事務系をと思い、郵便局から海外送金&発送もしなくては....と向かったのですが、例の10月1日からの民営化、ですか、システムというかが変わったとかで以前の伝票は使えませんから始まってとにかく時間が掛かる掛かる。局の人も慣れていないようで、いちいちセンターに聞きながらやって、みたいで、なんと、局に居ること約1時間。それでも、全然終わらず「もういいや、後で来るわ!」といったん帰る私。すると、郵便局から電話が入り「この10月からは、有限会社は有限会社、とちゃんと書かないと無効、すなわち、Pではダメ」、さらに、海外送金用の伝票なので電話番号も敢えて+81-3-5995-9930、としたら、「それも03-5995....にして下さい。以上2カ所の訂正用に会社のハンコを持って来て下さい」と。で、怒りを抑えて持っていくも、さらにそこで40分待たされて....その後、少し買い物があり、をしていたら、あっという間に午後4時です。信じられません。と言うことで、本当はこの日記の更新を今日から始めようと思ったのですがやる気が起きず。結局、CDとか聴いて夕方になり、食後はプロ野球パ・リーグのクライマックス・シリーズ第3戦をテレビで観て....。残念です、王監督。ホント、無茶苦茶応援していたのですが....

 そして気分直しに、寝る前、土曜日収録の「Smooth Jazz Seduction」の選曲を少々。
 今回は、マイアミからキー・ウェストをドライヴする感じで、と、プロデューサーさんからご意見頂戴したので、ちょっぴりラテンな曲を交えつつ、最近のヒットも入れて、何より流れとバランスを再重要視しつつ....で、8割方は完成しました。残りは明日か明後日に。

 夜、アドリブの山崎氏と仕事の件で電話で話しをしたのですが、来年の3月、AORファンにとって非常〜〜に嬉しい、とんでもないライヴが行われる旨、教えてくれました。あれ? 普段でしたら、我が家にもインフォあるはずですが、ま、一両日中にはメールで届くのではないでしょうかね?
 情報公開は来週の火曜日、16日らしいので、それまでは詳細を書けませんが、ぜひ、その日のメジャー新聞をご覧下さい。おそらく、広告載るはずですから。
 しっかし、チケット代¥13,000は、気持ち痛いですね、気持ち。ま〜、日本でしか観られない組み合わせらしいので、幾らであろうと行くっきゃないですが。

 リリース日の変更をお知らせ致します。ジェイ・グレイドン・バンドのライヴ・イン・ジャパンのDVDは、12月5日から1週間後ろにズレ、12月12日発売に変更されました。ほとんど、クリスマス・プレゼント、ですね。

「Smooth Jazz Song File」
(283)Gabriel Mark Hasselbach <Maui Rain>
 from『Gabriel's Horns』(2003:Wild Tunnel)


●ガブリエル・マーク・ハッセルバックは、カナダ出身のトランぺッター。アルバムは既に10枚くらい発表しているが、スウィンギーな4ビートものもあれば、現在、彼が秋から春にかけて住んでいるマウイに合わせたリゾート・チックなものまで表情は非常に豊かだ(夏の間はカナダに戻り、ヴァンクーヴァーで暮らしているらしい)。しかし、ここ数作はかなりど真ん中のスムース・ジャズ道を歩み、これがまたリック・ブラウンにも負けない実に好いメロディーを響かせている。その実力は確実に知れ渡り、2007年のCanadian Smooth Jazz Awardsでは最新作の『First Name Basis』が"Album of the Year"にノミネートされ、彼自身も"Wind Instrumentalist of the Year"にノミネートされている。そのアルバムにももちろん素晴らしい曲がしっかりと収められているが、この曲には勝てないのでは? "Maui "と言っても決して能天気ではなく、むしろ、"Rain"のほうの哀愁チックな面がポイント。マイナー・コードのトランペットは、まさに黄昏の風景そのもの。センチにはなるが決して悲哀を訴えるメロディーではない。

<10月9日(火)>

「今日の出来事」

●朝6時に起き、最後の1枚、Disc-10の曲も解説書き。途中、普通に朝食をとり、新聞を読み、何してかにして、で、ほぼ10時に完成。約束通り、デザイナーさん(兼プロデューサーさん)にメールをしました、言われた通りの締め切り時間に間に合わせ。きっとこれでまた、飲みに連れて行ってくれるでしょう、高い高い六本木に(笑)。

 が、しかし、その1時間後くらいにデザイナーさん来たメールが、
「どうも、ご苦労さん。悪いんだけど、もう1つ新たに原稿のお願いで.....(中略).....一応、3パターンくらい作ってもらえないかな....?」
マジですか〜?! 折角、昼寝しようと思ったのに....。とりあえず、1パターンを書き上げ、こんな感じので好いですか?メール。残り2つくらいもなるべく早く取り掛からないと....

 そして、午後から今度は今週末放送の「Adult Oriented Radio」の検聴&Qシート書き。石井一孝さんとのひと時は、相変わらず楽しく、そして、なにより、好きな曲がかなりダブる、というのが嬉しいです。今回も、ジェイムス・イングラムの1stから、中田が大好きな曲がかかります、石井さんの選曲で。こういう人が大スターを演っているの、本当に心強いです。

 そして夜は、なんとか間に合いました! デイヴ・コズさんのブルーノート東京ライヴ、最終日を堪能! そうなんです、ライヴは今日まで。そして、ようやく大きな仕事が終わり、心おきなく楽しめる。最高です。
 で、ご懐妊中のサックス奏者"m"さんと現地で待ち合わせゆっくりと鑑賞。1時間強のステージで過去のヒット曲、代表曲と、そして最新作『At The Movies』からのハイライトを交え、さらに、ゲストで同行しているケリー・スウィートも数曲でフィーチャーという、てんこ盛りの内容なのに、MCでは物凄くたくさん日本語を喋ってくれて(ブライアンのことを「チョイワル・オヤジ!」と紹介したのには大声で笑ってしまいました〜!)、さらに恒例となっている日本のメロディー・シリーズも演ってくれる、まさにサーヴィス精神のかたまり! ちなみに、今回は<ちいさい秋見つけた>を演ってくれたのですが、これがまた非常に好かったです。なんかこういう曲を聴くと、嗚呼、日本人だなあ、自分は、と哀愁チックになっちゃいます。
 バックのメンバーはギターだけ変わりました、トニー・メイデンからランディ・ジェイコブズに。いやあ、ランディ、この狭いブルーノートのステージでも"いっちゃった"ソロを披露してくれました。ホント、凄いバンドです。集めたコズさんに改めて拍手!
 終演後はバックステージにご挨拶に行き、コズさん、ブライアンさん、ランディさん、スティーヴォさん、ビルさん、全員と一言〜数言談笑。バンドの1〜2人が知り合い、ということはよくありますが、バンド全員と顔馴染み、というのはジェイ・グレイドン・バンド以来(笑)。そうそう、楽屋にはジャズ・ピアノの上原ひろみさんもいらしてました。昨年の東京JAZZで一緒になった、という縁だそうで。結構デカかったです。もっと小柄なイメージだったのですがね。
 こんなに完璧、無茶苦茶楽しいライヴが東京と、そして明日の名古屋だけとはちょっぴり悲しいです。FM Co-Co-Loの関西地区にも好い箱(会場)、無いですかね.....

「Smooth Jazz Song File」
(282)Wilton Felder feat. Bobby Womack <Inherit The Wind>
 from『Inherit The Wind』(1980:MCA)


●ご存知クルセイダーズのサックス奏者にして、70年代は売れっ子ベーシストでもあったウィルトン・フェルダー。テキサス・ファンクを基盤にした独自のクロスオーヴァー・サウンドがシーンに与えた影響は非常に大きく、ジョー・サンプル&ウェイン・ヘンダーソンと共に数々の名演、名曲を生み出す源になっている。そんな彼のこれは1980年作品にして、ラジオで最も人気を呼んだと思われるナンバー。メロディアスな正統派フュージョンながらも頑固職人のように決して柔には走らず、ボビー・ウーマックのヴォーカル共々、実に活き活きと流れていく。歌ものにしてはインストのパートも十分にフィーチャーしていて、結果、7分を超す長尺トラックに仕上がった。ビルボード誌のR&Bシングル・チャートで35位を記録し、アルバムはJazz Albumsで4位を記録。彼のソロ作の中では最高の成績になっている。この他では1993年の『Forever, Always』に収められた<Lilies Of The Nile>がお薦め。クルセイダーズの『Souther Comfort』(1974年)に収められた曲のスムースなセルフ・カヴァーだ。

<10月8日(月)>

「今日の出来事」

●今日こそはマジ本気モード。明日の朝イチでCD10枚、全150曲の楽曲解説を入れなくてはならないのですからね。で、今日は13時間くらいやり、アルバム5枚、75曲分を終えました。これで残りは1枚、15曲。夜に弱く、朝に強い中田ですから、明日もちらっと早起きしてラスト・スパートかけたいと思います。でも、好かったです、トンネルの先が見えて来て。と言うか、3連休で好かったです。締め切りはあくまでも「休み明けの朝イチ」だったので。

「Smooth Jazz Song File」
(281)Eric Benet <I'll Be There For You>
 from『True To Myself』(1996:Warner)


●ライヴに於いても抜群の歌唱力を誇り、また嫉妬するほどの見栄えの好さを誇るエリック・ベネイ。1990年代の中盤に訪れた、ネオ・クラシック・ソウル・ムーヴメントの流れの中で登場した1人ではあるが、マックスウェル、ディアンジェロといったシーンの中心人物よりもずっと白人寄りで、そのポップさ、品の好さが本国以上に日本で評価されている、そんなアーティストだ。カヴァーにしても、TOTOの<Georgy Porgy>はともかく、カンサスの<Dust In The Wind>、さらに男女デュオBenet時代にはカーペンターズの<Rainy Days And Mondays>まで演っているのだから、ヴォーカル・スタイルが伝統的な歌い上げソウル系とは全然違ってもなんら違和感を感じさせない。その<Georgy Porgy>のカヴァーももちろんスムースだし、個人的には2005年作品『Hurricane』に収録された<India>(娘のことを歌った曲で、ディーン・パークス&ダニー・ペックとの共作)が大のお気に入りだが、しかし、最終的にはこの曲に落ち着く。シングル曲ではないが、ゴージャスな雰囲気で絶対の存在感を見せつけてくれる。

<10月7日(日)>

「今日の出来事」

●今日も昨日に続いて曲目解説をCD2枚分、30曲やりました。で、締め切りが週明けなので、本当はもっと原稿書きに費やしたかったのですが、最近やっていなかったのでそろそろ夕食作りを担当させてもらおう、と。祖母が亡くなってから全然出来ていなかったので、少しは母に楽してもらわないと、という気持ちと、プラス、大量の原稿書きは疲れるので気分転換の意味もありますね、正直。で、久しぶりだったので作りたいものも結構あって、結局、5品も用意してしまいました。両親から好評だったのはしっかりと出汁をとった肉じゃが。そして、個人的に思った通りの味になって喜んだのはハンバーグ。タマネギ、ニンニク、そしてベーコンを細かく刻んで予め炒めておいたものを挽き肉の中に混ぜて焼いたのですが、焼く後半数分はとろけるチーズも乗せて、それからソースは赤ワインだソースだなんだで独自に作って。ベーコン好きの私としましてはまさに納得の一品になりました。

「Smooth Jazz Song File」
(280)Mark Adams <Feel The Groove>
 from『Feel The Groove : A Souljazz Experience』(2007:RMG)


●アメリカ東海岸メリーランド州バルチモア生まれの黒人キーボーディスト、マーク・アダムス。ロイ・エイヤーズのキーボードを務め、メアリー・J・ブライジのツアーにも参加していたという確かな腕とフィーリングの持ち主だ。これは彼の2作目からのセレクションだが、サブ・タイトルにあるようにソウル・ジャズを地で行っている。音楽性はかなり柔軟で、スムース・ジャズのフィールドに自由なクリエイターが居ても好いだろ? まるでそう言うかのような世界を展開。これはハマるとかなりクセになる。まあ、終盤に出て来る<Besame Mucho>までは必要ないと思うのだが、その辺りもきっと本人の拘りなのであろう。尤も、奇抜さだけが取り柄ではなく、多くの曲はケヴィン・トーニーやボブ・ボールドウィンに通じるファンキーでクールな"品"を溢れさせている。特にアルバムのオープニングを飾り、さらに別ミックス2ヴァージョンまで収録したこの曲は彼の考えるソウル・ジャズが最も上手く表現したであろうナンバー。適度にヒップで、適度に伝統継承。懐かしめのシンセの音が聴くほどに身に沁み込んでくる。

<10月6日(土)>

「今日の出来事」

●月曜日に行ったヴァイオリニスト:牧山純子さんへのインタヴュー・テープを興し、早速、ライナーノーツを執筆。お世辞抜きに私は彼女のヴァイオリンの息吹、生命力にノックアウトされているので、取り立てて好く書こうとか、そういうこと一切抜きに自然体ですらっと書けました。字数もそれほど多くなく済んだので。

 そして、本日からいよいよスタートです、阿川泰子さんの通販ボックス10枚組、全150曲の楽曲解説書きが。初日の今日は曲目1曲が、あるいは、ディスク1枚=15曲がだいたいどれくらいで書けるものなのか、の様子見日でもあるわけですが、いや〜、結構、掛かっちゃいましたね、結局2枚しか出来ませんでした。って言うか、取り掛かり出したのが午後の3時半とか4時とか、そういう時間だったのでしょうがないのですが、1枚がだいたい3時間....ということは1時間だと5曲しか書けていない計算になりますねー、1曲12分。まあ、しょうがないんですけれどね、スタンダードが多く、調べることばかりですから。加えて、1曲1曲の細かなミュージシャン・クレジットが入れられない都合上、ソロを取っているのは誰、は必須情報になるのです。ですので、全曲ちゃんと聴きながらの執筆で....。1曲につき200字、という少ない文字数がかえって私を悩ませたり....どこ削るべか、と。果たして、本当に火曜日の朝イチで提出出来るのでしょうか....若干、不安も....。ま、明日ですね、明日。明日の進行状況次第でしょ、はい。

 久しぶりにジャニータ嬢からメルマガが到着。髪をバッサリ切って、大胆な変身を図っていますが、それが音楽にも反映されているようなことが書かれていました。1人の人間としてもちょっと変化があった、とは、一体どういうことでしょうか....非常に興味深いです。アルバムは来年にリリースするそうで

「Smooth Jazz Song File」
(279)Nyee Moses <Between Us>
 from『Nyee Moses』(2006:Nyee Moses)


●このチャーミングなシンガーとの出会いはかなり衝撃的だった。出会いと言ってもインターネット・ラジオのスムース・ジャズ・チャンネルで聴いたに過ぎないのだが、直ぐにCDが欲しい、1日も早くアルバム全編を聴いてみたいと興奮するのは、そう頻繁にあることではない。名前は"ナイイー"と発音し、現在はL.A.をベースにしている模様。影響を受けたアーティストの中には、ビリー・ホリディやマイルス・デイヴィスの名前も挙がっているが、実際はもっとポップで、同じく影響を受けたというシャーデーに通じる独得の空気感が耳を奪う。ただ、声質は見た目からも想像出来るように数段キュートで、ゴージャスとイノセントの不思議な融合、そんな形容詞すら浮かんで来る。ラジオで流れて来たのもこの曲で、やはりアルバムの中でもメロディの完成度は群を抜いている。著名な作曲家の林哲司さんもこの曲をラジオで聴き、直ぐにアーティスト名&曲名を紙にメモった、とのこと。決してスムース・ジャズで終わる音楽性ではないし、ルックスも抜群なので、近い将来の大ブレイクも夢ではない。応援してます!

<10月5日(金)>

「今日の出来事」

●朝6時に起きて、ブライアン・シンプソン『Above The Clouds』のライナー書き。そして7時半に朝食。8時半にシャワーを浴びて9時前に家を出発。そして10時から「Adult Oriented Radio」の、という出だし。

 今日の収録は10月13日(土)OA分で、その後半1時間にはミュージカル界のAORオタク(笑)、石井一孝さんが登場! 今回も初級〜中級のAORリスナーを楽しませつつ、また1枚、なんだかよく解らないオタッキーなものを持って来て下さいました。こうでなくっちゃね、石井さんの日は。感謝! なので、石井さんに感謝の気持ちを込めて、JaRの曲を1曲スタジオで聴いてもらっちゃいました。曲は<Cure Kit>。反応は非常〜に好かったです。

 そして、ラーメンを一杯食して帰宅。その帰りの地下鉄の中で、8月に録ったブライアンへのインタヴューMDを聴き返し、主要ポイントをメモ。そしてそのメモを元に、書きかけだったライナーを一気に完成させ、速攻でメール。ふ〜、自分でも信じられませんが、結局、4本のライナー、無事入稿出来ました。今週中に。

 そして、今日は金曜日! その一生懸命働いたご褒美に、夜は久しぶりにネオン街へ。詳細は内緒で(笑)。

「Smooth Jazz Song File」
(278)Tom Scott <Upbeat 90's>
 from『Reed My Lips』(1994:GRP)


●トム・スコットで1曲選ぶというのは極めて難しい作業だ。L.A.エクスプレスを含め、'70年代の彼はフュージョンの名曲、名演をいろいろと残しているが、それをそのままスムース・ジャズのカテゴリーに当てはめるのは多少危険な気がする。もちろん、1987年以降のGRP作品だったら何でも好いというわけではないが、それでも名曲は少なくなく、ほぼ全編でデイヴ・コズ(1990年にソロ・デビュー)と共演している『Them Changes』(1990年)に収められたバラード<We Belong Together>(1981年のライヴ名盤『Apple Juice』収録曲の再演版)や、グローヴァー・ワシントンJr.と共演した『Reed My Lips』のタイトル・チューンはまさに必須アイテム。またAOR色の強い1991年の『Keep This Love Alive』も佳曲揃いの名作だ。しかしながら、キャッチーな旋律とグルーヴ、そして何より男気溢れるトム・スコット節の全開加減、その辺りにポイントを置くとやはりこの曲が一番であろう。タイコの打ち込みこそ時代がかったチープなトーンだが、それを除けばあとは抜群。このヴァイブはまさに彼そのものだから。

<10月4日(木)>

「今日の出来事」

●ひょっとして、21世紀になって一番仕事したかもしれません、今日は。いや、自分でも信じられません、よくもまあ、そんなにやったね、と。って言うか、ガッツ出せば出来るじゃん、中田、みたいにも思いました。

 まずは、アドリブ誌の「AOR通信」を完成させ、11時くらいから昼食を挟んで2時くらいまで、明日収録の「Adult Oriented Radio」の進行表&翻訳をグア〜ッとやりました。

 そして、そこから怒濤のライナー書き3連発。ハッキリ言って、1日に3本は生まれて初めてです。まず、カーク・ウェイラムの『Roundtrip』。ご本人へのメール・インタヴューがあるので、それを活かしつつガツンと。夕食前に済みました。そして、ジョナサン・バトラーの『Live In South Africa』。収録曲の元出を書いたり何だりであっという間に字数に。9時頃には出来ました。そして最後は、リック・ブラウン&リチャード・エリオットによる『R n R』。ARTizenレーベルの主宰者2人によるアルバムなので、ARTizenのことを書きつつこれまた思い入れで書いていたらこれまた終了。完成は丁度12時、という感じでした。ふ〜。そしてそのままバタンキューせず、一口飲んで就寝。大丈夫でしょうかね....こんなに仕事して....

「Smooth Jazz Song File」
(277)Natural High <Pacific>
 from『Pacific』(2001:Higher Octave)


●これはまた完璧にハマってしまう作品だ。ナチュラル・ハイ。詳しい経歴はよく解らないし、おそらくアルバムはこの1枚だと思うのだが、ディテールよりもとにかくこの気持ちの好いサウンドをバックに流しておきたい、ただそれだけ。絶対にそれでディスクワークの能率は何倍にもアップするはずだから。基本的にはグルーヴィーな打ち込み+エレピ系によるメロディーで、そこに、サウンド・デコレーション的にオルガンが出て来たりギターが出て来たり、という作り。そしてそれら全てを演じているのがティム・ベストという人で、彼はUKのダウン・トゥ・ザ・ボーンのアルバムにも参加したことがあるキーボード奏者。そのDTTBに通じるものがあると言えばあるのだが、グルーヴよりもコードワークの妙+親しみ易いメロディが耳に入ってくる分、より興奮を覚えてしまう。UKのレーベルからアルバムが発売され、それがHigher Octave Musicを通じてアメリカでも発売されたわけだが、これは確かに出したくなる内容だ。アルバムの半数以上がお薦めだが冒頭とラストに登場するこの曲を今回は選出。とにかく気持ちが好い。

<10月3日(水)>

「今日の出来事」

●朝からアドリブのレヴューを2本書き、AOR通信を途中まで。

 そして、午後はデイヴ・コズさんに取材。これがまた楽しかったです。指定の場所に行きコズさんと目が合うと
「は〜い、トシ! 先週会って以来だね〜!」と、アメリカンご挨拶。で、私が
「いやいや、もう3〜4週間(a few weeks)でしょ!」と返すと冷静に
「6週間ぶりだね」
と、コズさん。はい、そうです〜!

 取材はもちろん、今回、漸く日本盤が出た『At The Movies』の話しを中心に進めていったわけですが、そう言えば、クリスマス・アルバムをまた出すんですよね,今月末に、みたいな探りを入れたら、「うん、これだよ」と言ってサンプルをくれちゃいました。超ラッキーです。タイトルは『Memories Of A Winter's Night』(Capitol)。まあ、日本盤は出ないでしょうね....ケリー・スウィート、ブレンダ・ラッセル他がゲスト参加していますが....。

 それと、現地(都内ホテルです)に着いてから,取材が押していることを知り、時間つぶしに何すべか....と、思い始めたその矢先。あ、そうだ、これはアドリブ誌用の取材だけれど、FM Co-Co-Lo用にジングル吹いてもらっちゃおう、サックスで、と閃き、その場でメロディの楽譜書き。と言いましても、もちろん、五線譜など持ち歩いているわけも無く、その場で独自の楽譜書き。別に誰に習ったでもないのですが、地下鉄に乗ってメロディが浮かんだりしたら手帳とかによく書き留めていた独自のスタイルがあるんです、単純に音符の長さ=四分音符とか八分音符とかを書いて、その下に何の音か書く、ただそれだけ。
 もちろん、相手は外人さんですので、「ド」とか「ミ」ではなく、「C(ド)」とか「E(ミ)」と書いて、オクターヴ上の場合はCの上に点付けて,オクターヴ下の場合はCの下に点を付けて、というスタイル。で、ステーション・ジングルなので基本的にはキャッチー、シンプル。楽器など無くても相対音感で書けてしまうものなので、サクッとメモ用紙に書いてコズさんに「これ、吹いてもらうこと可能ですか? もちろん、断ることは全然問題ないですよ」と見せたら、ナント、一発で吹いてくれちゃいました、こんな楽譜じゃ解らないよ、とも何も言わずに。これ、感動的でした、やっぱり音楽は世界共通の言語だ、みたくて。そのサックス・ソロ・ジングルは10月13日の放送で使わせて頂きました。感謝!

 そして家に戻って金曜日に収録する「Adult Oriented Radio」 の選曲。コズさんのライヴは明日から来週の火曜日までですが、当分行けなさそう....ちゃんと仕事の目処をつけて、なんとか、火曜日には拝見させて頂きたいです。

「Smooth Jazz Song File」
(276)Nicolas Bearde <Can We Pretend>
 from『Crossing The Line』(1998:Right Groove)


●スムース・ジャズのステーションを聴いて思うことだが、スティングであったりシャーデーであったりアニタ・ベイカーであったり、ポップ・マーケットで活躍するアダルト・コンテンポラリー〜クワイエット・ストーム系のナンバーはよく流れて来るが、中途半端にスムースな通受けする男性シンガーはそれほどお耳にかかっていない。人材自体が不足しているのかもしれないが、それこそ、カーク・ウェイラムとの交流で知られるジョン・ストッダートや多芸な曲者スリム・マン、それに、サン・フランシスコのヴィクター・フィールズ、くらいではないだろうか? そんな中、その絶対に注目しておきたいのがこのニコラス・ビアードだ。ヴィクター・フィールズと同じくベイ・エリアを拠点とし、クリス・カモーズィーであったり制作スタッフも彼と被り、さらに、声や歌い方もかなり近いという、なんとも微妙な存在だが、要はルー・ロウルズ〜ジョン・ルシアン辺りのシルキーなバリトン・ヴォイスの持ち主だということ。限りなくMORに近いが、あくまでもカテゴリーはスムース・ジャズ。そんなニコラスの代表的な1曲。

<10月2日(火)>

「今日の出来事」

●昨晩収録した「Adult Oriented Radio」の検聴&Qシート書きを午前中のうちにグワ〜ッと済ませ、午後からは阿川さんのボックス用に社会事情の年表作り。要は、阿川さんのプロフィールと並列して、その年、日本では、世界ではこんなことがあった、というのを掲載するためなのですが、流石に30年に及ぶ歴史ですと、社会事情を追い掛けるのもホント、大変。結局、夜まで掛かっても完結せず。ま、頑張るしか無いですね。

「Smooth Jazz Song File」
(275)Bluezeum <Esperanza(Instrumental)>
 from『Put Your Mind On Hold』(1999:Telarc)


●初めてブルーゼウムの存在を気に留めたのはもう随分と昔 --- 1996年にTelarcからリリースされた1stアルバム『Portrait Of A Groove』に出会った時だった。CDの裏ジャケに記された"Produced by Rick Hahn"という名前に惹かれ購入。単なるプロデュースでは終わらず、全曲の作曲、演奏を手掛けるなど、ほとんどプロジェクトの中心的存在だったことまで判明し、期待はさらに膨らんだのだが、ラップというか語りというかを大きくフィーチャーした、正直、退屈極まりないサウンドだった。これが、デヴィッド・フォスター<River Of Love>で素晴らしい才能を披露したリック・ハーンの素顔なのか、と。その路線は3年後に発表した2nd『Put Your Mind On Hold』でも全く変わらなかったが、2ヴァージョン収められた<Esperanza>のインスト版はスムース・ジャズのステーションで数回掛かり、考えを改めざるを得なかった。これはありだ、と。スパニッシュなギターとフュージョンなエレピがアンサンブルしたイントロ、フルアコ系のジャジーなギターによるメロディ、どちらも完璧にラジオ向き。恐れ入りました。

<10月1日(月)>

「今日の出来事」

●さ、今日から月も変わり、気分一新、頑張らないといけません。そして、何はなくとも、阿川泰子さんのU-Can:通販ボックス、そろそろ仕上げに入らないと拙い時期になってきました。リリースは11月の後半とかそんな感じだったと思いますので。で、今日は彼女のプロフィール原稿書き、これを完成させてメール。さらに、忙しさはどんどんと続き、午後4時に青山一丁目のカフェでヴァイオリニスト:牧山純子さんに取材、そして、5時からワーナー・ミュージックで打ち合わせ、さらに7時から「Adult Oriented Radio」の収録、というスケジュール。

 牧山さんは来月リリースされる初めてのソロ作『Portrait Of New York』のライナーを書かせて戴くのでそれに関するいろいろなお話しをお窺いしたのですが、プロデュースを務められた幾見雅博さんも同席して下さりインタヴューというよりは完全に雑談。でも、要点は掴めたと思います。

 そしてワーナーさんでの打ち合わせですが、中田は直接関係ない?のですが、今、非常に売れている邦楽コンピ『R35 Sweet J-Ballads』のプロデューサー、酒井善貴さんがそのコンピにも収録されている中西圭三さんとお話しがしたい、というので、私が間に入って会合をセッティングさせて頂いた次第です。で、その『R35 Sweet J-Ballads』の売り方と、さらに今後の展開で酒井さんが思い描いたものを圭三さんに伝え、両者が好い方向で出来るものは無いか、と、そんな話し合いの場になったというわけです。そして、折角、そういう貴重な場が設けられたのですから、そのまま2人を拉致して、中田の番組にも出て頂いちゃおうと、そのまま収録にお付き合い頂いた、というわけです。

 しっかし、お世辞でもなんでもなく、圭三さんの<Woman>、死ぬほど好い曲ですね、今日も収録中ヘッドフォンで聴いていて、涙が出て来そうになりました、本当に。アレンジがまた中田のツボ突きまくりなんですよね、カンサスの<Song For America>と酷似している部分なんかが特に(偶然としか考えられませんが...)。その他、圭三さんが最近作っている曲を聴かせてくれたのですが、ああ、やっぱこの人、好いわ、と感心することしきり。来年には出したい旨、言われていたので、その時はぜひ応援させて下さいませ。と、その前に、またカラオケに行きましょう、鳥肌が立つ激ウマ・ヴォーカル、堪能させて下さい。あ、でも、ホント、カラオケの紅白歌合戦やらないと..

「Smooth Jazz Song File」
(274)Incognito <Still A Friend Of Mine>
 from『Positivity』(1994:Talkin' Loud)


●ブルーイことジャン・ポール・モーニックがインコグニートをスタートさせたのは1970年代終盤。1981年にEnsignから『Jazz Funk』をリリースし、これが全英チャートで28位まで上がるなかなかの成績を収めるが、続く2ndまでは10年近い年月を要するなど、決して順風満帆な活動ではなかった。しかしながら、1990年頃、ロンドンにアシッド・ジャズのムーヴメントが興り、ジャイルス・ピータースンの主宰するレーベル:Talkin' Loudと契約すると、事態は急転。1991年の『Inside Life』からロニー・ロウズの名曲<Always There>のカヴァーがヒットし、続く1992年の『Tribes, Vibes And Scribes』でジャズ・ファンクの真髄とも言うべきインスト<Colibri>、そしてスティーヴィー・ワンダーの<Don't You Worry 'Bout A Thing>というグループの2大トレードマークを生み出し、日本でも大ブレイク。ヴォーカリストとして迎えられたメイザ・リーク共々、完全なる地位を築き上げるのであった。この曲はそんな彼らの最も洗練されたヴォーカル・チューン。この大人の感じ、これぞまさにスムースの醍醐味だ。