<10月31日(水)>

「今日の出来事」

●格好悪! でも、久々の二日酔いで、午前中はダウン(と言えども、朝は7時半に家族と朝食をとるのですが...)。そして、午後は、1本、レコード会社の人と打ち合わせをして、その後、「Adult Oriented Radio」 の収録。
 今回は11月10日(土)放送のゲスト収録分。シーズナル・ゲストでお越し頂いている沼澤尚さんをまたまたお迎えしたのですが、今回は、かなり打ちのめされてしまいました、「この曲のドラマーは誰?」シリーズ、Part-2で。
 前回のビル・チャンプリン『Single』でそれなりにジェフ・ポーカロさんが叩いているトラックを当てられた私ですが、今回のアルバム、フィニス・ヘンダーソン『Finis』はホント、外しまくりです。
 で、実は、今回はアドリブ:山崎さんにもご登場頂いて、2人でチャレンジしたんですが、山崎さん(学生時代はドラマーです!)も、中田とそんなに変わらないかな、という成績。もう、とにかく、沼澤さんの驚異の耳には脱帽を超えた"神の領域"というフレーズさえ浮かんでしまいます。いくらジェフさんの研究家と言えども、ここまでスゴイとは....。今回も興味深い話しの連続ですし、関西地区のコアなAORフリークさんは絶対に聴いて下さいね。

●そして、7時からコットン・クラブでダウン・トゥ・ザ・ボーンのライヴを観ました。CDでは打ち込みを駆使している人たち、という感じですが、ライヴにはその総帥的なプロデューサー:スチュアート・ウェイドは同行していませんし、もう1人の重要人物:サイモン・T・ブラムレイ(b)を中心としたバリバリの生演奏で、無茶苦茶ご機嫌でした。延々グルーヴで、どの曲もフレーズは3つくらいしかないのに5分は軽く超える、という構成。各人のアドリブもしっかりフィーチャーしていますが、インプロヴィゼーション大会、という印象は無くただただひたすらグルーヴしまくる、という状態で、これが全然飽きずにグイグイ引き込まれてしまう。恐るべし、ですね。知名度からしてお客さんの入りも心配されましたが、いやいや、もうバッチリ入ってました。そして、そんなにコアではないと思われるOLさん風の方々も、凄くノッてて、なんか嬉しかったです。

●その後は、場所を移して、FMのDJさん、ディレクターさん、中田で、しゃぶしゃぶを食べに行きました。最初に松茸をコースで食し、その後、しゃぶしゃぶ食べ放題、という贅沢なコース。割り勘だから成せる業です。これを私のゴチ、で行くと、かなりこたえますからね(笑)。2人とも、ご満悦のままお帰りになられた様子でした。また、盛り上がりましょう!

「Smooth Jazz Song File」
(304)Windows <New Sneakers>
 from『The French Laundry』(1989:Cypress)


●ウィンドウズは、スキッパー・ワイズ(b)とエド・コーエン(key)という2人のクリエイターを中心としたL.A.のグループで、デビューは1984年。最初は5人組だったが、その後は流動的で、ピーター・ホワイトやリチャード・エリオット、さらに、アル・スチュワートがゲスト参加したアルバムもある。スタート時から、メロディアスで品の好い音世界に拘り、インプロヴィゼーションよりもアンサンブルや"歌う"ことを重視。当然の如く、ラジオ局からの反響は非常に好く、結果、1989年の4作目『The French Laundry』でRadio & Records誌NACチャートのNo.1を獲得している。普段は、いわゆるL.A.フュージョンのような明るさ、ポップさよりも、もう少しナチュラルで落ち着いた風景 --- それこそ、同じ西海岸ならば、オレゴン州のような自然 --- を思わせる彼らだが、この曲はシングルにもなっただけあり、弾むようなリフやメロディーが前面に押し出されている。曲頭のギターだけを聴くと洗練系とは全く違う感じがするが、主旋律に入れば特に問題は無し。こういった作風もたまにはありではないだろうか。

<10月30日(火)>

「今日の出来事」

●午前中から「Adult Oriented Radio」 の検聴、Qシート書き、発送。そして、3時から青山でケンジ・サノさんにインタヴュー。もちろん、ジェイ・グレイドン・オール・スターズのライヴ・イン・ジャパン1994に関する話しをいろいろと聞かせて頂いたのですが、とにかくこれがもう面白いのなんの! 最高に盛り上がりました! ジェイさんは当時のことをかなり忘れていますがケンジさんは本当にいろいろと記憶していて目から鱗です、はい。本当にありがとうございました!

●その後、ポニー・キャニオンで行われたエイミー・ハナイアリイのコンヴェンション・ライヴを鑑賞。今、ハワイで最も人気がある、という女性シンガーですが、コンテンポラリー・ハワイアンからクリスマス・ソングをアレンジしたものまで大らかに聞かせてくれて、もう1年半以上行っていないその地への想いも非常に強く抱いてしまいました。ただ、それはともかく、バンドが好かったです、ギター、ウクレレ、ベース、パーカッションの4人が。アロハを着ている人は1人もいなくて、アメリカ本土の人? としか思えない風貌ですが、でも、ギターの青年は生まれも育ちもハワイ、だとか...。ふ〜ん、ですね。
 エイミーさんのアルバム『ジェネレーション・ハワイ』は、2007年の「ナ・ホク・ハノハノ・アワード」(ハワイのグラミー)で、4部門を受賞しています。プロデュースはカウアイ島在住のマイケル・ラフが担当! マイケルとの共作曲も収録されています、もちろん、AORを期待してはいけないのですが。日本盤は9月に出ていて、11月21日には新作『ア・ハワイアン・クリスマス』もポニー・キャニオンからリリースされます。
 そして、コンヴェンションで一緒になったアドリブ:山崎さんと新橋で飲みに。焼き鳥から始まって音楽が聴けるバー他4軒。帰る頃にはかなり酔っぱらっちゃいましたが、それでも大してお金を使っていないのは流石、新橋! また、どこかに顔を出したいです。

●HMVで予約しておいたWill Downingの新作『After Tonight』(Peak)が発売当日に届いてしまいました! 嬉しいです、メッチャクチャ。で、これが、また、好いんですわ! 1曲目こそ、あれ...? という感じでしたが、3曲目のタイトル曲なんか大好きな<A Million Ways>に通じる、ど真ん中ブラコン・バラードで、もうトロケそうです。他にも紹介したい曲バッチリありますので、11月に入ったら、即OAです、「Adult Oriented Radio」 で。

「Smooth Jazz Song File」
(303)Dwayne Kerr <Being With You>
 from『Higher Calling』(2007:Dmanns Music)


●2007年に出会った若手アーティストの中で、おそらくベスト5に入るであろうお気に入り、ドゥエイン・カー。インターネット・ラジオでこの人の曲を聴き、直ぐにCDを購入したが、フルートのトーンが実に太く、何とも心を揺り動かされる。ラジオでよく掛かるのはアルバム1曲目の<Ain't No Sunshine>。お馴染み、ビル・ウィザースのカヴァーだが、そこでフィーチャーしているのがエリカ・バドゥだったのでちょっと吃驚させられた。そんな大物を動かせるのか、と。実際は、ドゥエインが彼女のバンド・メンバーだったから、という繋がりだったのだが、アルバムでもフルートで参加し、貴重な戦力としての役割を果たしている。ドゥエイン・カーのソロ・デビューは2003年で、これが2枚目。オーガニック・ソウル的なトラックが次々に登場し、実に好い流れを届けてくれる。これはなかなかの傑作だ。中でも、この曲は高速タンギング(?)によるメロディーと、ゲスト参加したカーク・ウェイラムの大らかな魅力がひとつになったポップ・チューン。今後の期待大、なアーティストだ。

<10月29日(月)>

「今日の出来事」

●朝から「Adult Oriented Radio」 の選曲、翻訳、進行表作りをぐあ〜っとやり、3時から収録。そして、6時には帰宅。夜は家で大人しく、という1日でした。

「Smooth Jazz Song File」
(302)Les Sabler <You've Got It Bad Girl>
 from『Sweet Drive』(2007:The Music Force Media Group)


●カナダ生まれのギタリスト、レス・サブラーの存在を知ったのは2003年。3作目となる『Bridge The Gap』のレーベルにSIn-Dromeの文字が記されていたことがキッカケだった。そのまま一気にファンに、というわけには行かなかったが、2007年に登場した4作目『Time For Love』は、ブライアン・ブロンバーグが全編のプロデュースを手掛け、数段グレード・アップしたスムース・ジャズを確立した。1曲目はスティーヴィー・ワンダーの<You've Got It Bad Girl>のカヴァーで、バックにはジェフ・ローバー、エリック・マリエンサル、ジェリー・ヘイ、ラサーン・パターソン他が勢揃い。4曲目の<Club Street>はミディアム・アップ系でラジオで人気のキャッチーなナンバー。そして、アレサ・フランクリンの<Daydreaming>、ピーボ・ブライソンの<Can You Stop The Rain>、アンブロージアの<Biggest Part Of Me>など、有名曲のカヴァーもいろいろと登場。セミアコとアコギを自在に操り、アルバム1枚がラジオの1プログラムのような親しみ易く、ヴァラエティも豊富な2007年、お薦めの1枚だ。

<10月28日(日)>

「今日の出来事」

●1日かけて、先週録った牧山純子さんへのインタヴューをテープ興ししました。結構な時間を費やしますが、活字に興すのはある種の財産だと思っているので、全然、苦にはなりません。さ、今週も、原稿書きだ何だ、頑張らないと....。

「Smooth Jazz Song File」
(301)Adani & Wolf <Daylight>
 from『Les Seigneurs』(2003:Therapist Music)


●アダーニ&ウォルフはオランダ:アムステルダムをベースにする2人の白人、Roberto Adani & Daniel Wolfからなるユニットで、基本的には打ち込みによって作り出すヒップなクラブ系サウンドで人気を呼んでいる。質感はかなりアンダーグラウンドで、それはいかにもヨーロッパ的な陰影さとも捉えられるのだが、このサウンドに興味を持ったRendezvousがまずはこの曲を2004年のコンピ盤『Rendezvous Lounge』に収め、全米に紹介。すると、各ステーションからは大いなる歓迎を受け、フル・アルバムも2005年に発売。結果、同年のRadio & Records誌Smooth Jazz年間チャートにも顔を出す、高成績を残している。このユニットは同じくRendezvousからアルバムがリリースされ、チャートのNo.1にも輝いたオランダのサックスマン、Prafulのアルバムでも活躍。スムース・ジャズはどれを聴いても同じ、頭ごなしに決めつける聴き手も少なくないが、こういった人たちがヘヴィ・ローテーションされる等、シーンは確実に進化している。因みにアルバムではジノ・ヴァネリの<People Gotta Move>をカヴァー。

<10月27日(土)>

「今日の出来事」

●今日は夕食担当日。またまた気合いを入れて午後一、午後二から仕込みをスタート。今日は揚げ物を中心に、クラム・チャウダーや、炒め酢の物まで作ってみましたが、炒め酢の物って面白くて好いですね。ニンジンと油揚とキクラゲと鶏肉をさっと炒めて、そこにわかめとキュウリを加えて酢の物にする、という感じです。サッパリしつつもしっかり食べ応えもあって、好い感じで箸が進みます。

「Smooth Jazz Song File」
(300)Boney James <After The Rain>
 from『Sweet Thing』(1997:Warner)




<10月26日(金)>

「今日の出来事」

●お昼過ぎから「Adult Oriented Radio」 の収録。今日は、新作『Moyo』がアメリカでも大好評のピアニスト、松居慶子さんにスタジオにお越し頂きました。
 初めてお会いしてから今年で満9年なんですが、なんか20年くらいお友達をさせて頂いているような、そんな親しみ易さが大好きです。二児の母親とは思えないキュートさも。なんたって、レコード会社の担当ディレクターは、私にこんなメールを送ってくるんですから。
「グッと来ちゃうよね、けいこたんは」
"けいこたん"ですか! 恐れ入りました。
 番組は11月3日(土)O.A.なんですが、まさに「文化の日」に相応しい、日本を代表する芸術家の方にお越し頂き、身に余る光栄の中田です。

●そして、いったん帰宅し、夕方からグワ〜ッと飲み会。あっち行ってこっち行って、途中、誰と合流して....。流石に月末の金曜日は人の出も多く、タクシーも気合いを入れないと捕まえられない感じでした。

「Smooth Jazz Song File」
(299)Peace Of Mind <Free Fall>
 from『Journey To The Fore』(1998:NuGroove)


●ピース・オブ・マインドに関する情報は極めて少ない。ブックレットを見ても誰がメンバーなのかは解らないし、レコーディング場所もシカゴなのかロンドンなのか明記されていない。ただ、全曲がMorgans/T.Paps/Sadler/Wade/Wargentという5人で共作されており、それはすなわち当時のダウン・トゥ・ザ・ボーンのメンバーそのままということになる。確かに、打ち込み系の強力なグルーヴが延々展開され、そこにキャッチーなフレーズが絡むという曲の構成は、ダウン・トゥ・ザ・ボーンのそれと全く同じ。加えて、レーベルも一緒。どうやら、DTTBの主宰者スチュアート・ウェイドが別プロジェクトとして制作したアルバムがこのピース・オブ・マインドだと言って好さそうだ。加えるならば、当時DTTBでは取り入れていなかった歌ものもアルバムには2曲収められているので、心情的には似て非なるアプローチ、だったのかもしれない。この曲はアルバムの冒頭を飾る文句無しに爽快なグルーヴ・チューン。クラブ系ではあるが、それでも非常にスムース。そこが惹き付けられる所以であろう。

<10月25日(木)>

「今日の出来事」

●この日記を一生懸命更新しました、「Smooth Jazz Song File」ともども。

「Smooth Jazz Song File」
(298)Phil Perry <Keep Reminding Me>
 from『Magic』(2001:Concord)


●フィル・ペリーの経歴は非常に長い。ソロ・シンガーとしての1stアルバムは、1991年にCapitolから発表した『The Heart Of The Man』になるが、それ以前からリー・リトナーのグループに参加したのを始め、数々のセッションに顔を出している。また、それ以前はリチャード・サンリンとのデュオ:ペリー&サンリンでアルバムを発表しているし、さらに遡ると、モントクレアーズのメンバーでもあった。すでに、キャリアは35年以上。そんなフィル・ペリーのソロ活動は、スタート当時こそR&Bフィールドをメインとしていたが、94年の2nd『Pure Pleasure』でGRPと契約して以来、Contemporary Jazz Albums チャートの常連となり、レーベルもPrivate Music、Concord、Shanachieと、移り変わっている。この曲はConcordから発表した5作目『Magic』に収められたもので、プロデュースはラス・フリーマンが担当。軽やかなブラジリアン・リズムを取り入れた作品でとにかくスムース。レコーディングの場所、フロリダの気候がそのまま伝わるスペシャルな1曲だ。

<10月24日(水)>

「今日の出来事」

●日記書き、「Smooth Jazz Song File」書きで午後に。そして、2時過ぎに家を出て3時から「Adult Oriented Radio」 のゲスト収録。オン・エアーはちょっと先の12月1日になるのですが、大物J-Popシンガーが出てくれてしまいました。しかも、まだ23歳という若い女性です!
 と、別に鼻の下を延ばしてのお迎え、つまり、熱烈なファンなのでぜひお会いしたかった、というよりも、彼女、カーク・ウェイラムさんが大々大好きで、昨年のデイヴ・コズさんとのジョイント・ライヴには複数回足を運び、しかも、カークさんからサインを頂戴するために、一般のお客さんと一緒に列に並んで....という噂をお聞きしていたので、物凄く興味を持った次第です。ご自身でもサックスを吹きますし、スムース・ジャズの話しも交えつつ番組を進められたら嬉しいな、と、FM Co-Co-Loのプロデューサーを通じてもう半年以上前から交渉していたのです。そして、それが今日、遂に実現した、と。
 で、非常に楽しく出来ました。特に問題もなくスムースに。カーク・ウェイラムさんの曲は、また、渋いものを選ばれてました。本当に好きなんですね。あとは、デイヴ・コズさんのあの曲と。そして、12月のO.A.ですので、デヴィ・フォスさんのあの曲に日本語詞を乗せたクリスマス・ソングもかけてしまいます。お楽しみに!

●その後、帰宅し、夕食をし、リラックスなひとときを過ごしました。とりあえず、無事終わってホッ、なので。

 そんな中、ハワイのランス・ジョーさんからメール。来月中旬に約1週間、日本に来る、ということで、またまた盛り上がるしか無いですね! いろいろと興味深いモノ(音源)も持って来てくれそうですし....。

「Smooth Jazz Song File」
(297)Tom Schuman <All This Love>
 from『Deep Chill』(2005:Jazzbridge/Monogram)


●スパイロ・ジャイラのキーボーディストとして、約30年間、グループに貢献し、さらにここ最近はスティーヴ・オリヴァー(g)やジャスティン・ヤング(sax)といった若手アーティストのプロデュースにも忙しいトム・シューマン。加えるならば、このJazzbridgeは彼が興したレーベルで、今後は若いアーティストの作品も世に紹介していきたい模様。スムース・ジャズ界の頼れる先輩、そんな印象を受けるが、2005年の4作目『Deep Chill』はそれだけ器の大きな人材である事を証明する快心の1枚だ。グループやセッションでシンセサイザーをよく弾くキーボーディストは、自らのソロ作ではピアノに拘る、という人が少なくないが、トム・シューマンは例外で、各種キーボードをくまなく響かせている。そして、曲のテイスト、打ち込みと生演奏、その全てがバランス好く計算され、熟練者の業師ぶりを十分に見せてくれる。当然、オリジナル曲も質は高いが、今回はラジオでも何回も聴いたこの曲をセレクト。デバージのカヴァーだが、ピーター・ホワイトのギターをフィーチャーしたり、好感度大の仕上がりになっている。

<10月23日(火)>

「今日の出来事」

●「Adult Oriented Radio」 の検聴、編集、Qシート書き、そして、発送。今日はちょいと編集箇所があり、かなり時間が掛かってしまいました(苦笑)。

 そう言えば、その「Adult Oriented Radio」 ですが、先週の土曜に、関西で活動するAORシンガー、二村敦志さんのニュー・シングル<ふたりだけの夜に>をオン・エアーしました、リクエストも複数届いていたので。そして、かけた後もリスナーさんから反響があったのでそれをご本人にメールしましたところ、OA後、既に30通からのメールが届いている旨のお返事を頂き、驚いちゃいました。二村さんのファンがたくさん居る、のに驚いたのではなく、ちゃんと番組聴いて下さり、それなりに反響あるんだな、という部分に他人事の如く吃驚した、という感じです。
「久しぶりに日本人の歌で感動しました〜!」といった類いのメールが多いので、私の番組の影響力よりも、二村さんご自身の力によるものが多いとは思いますが、ね。
 曲は王道のラヴ・バラードで、グレイドンしたギターのオーヴァーダブも登場しちゃいます。まさに、AORへのリスペクトをモロに感じさせるものですね。他にもNANIWA EXPRESSの東原力哉さんがバックに参加しています。

●さてさて、またまた美味しいスムース・ジャズ・アルバム、見つけました、マイナーどころで。ギタリスト:Les Sablerの最新作『Sweet Drive』。以前、ボビ・コーさんが在籍していたSin-Dromeからアルバムを出していた人で、その作品は買ったものの全然聴かず状態。ただし、今回のは好さそうなので、入手後直ぐに聴いたところ、これがバッチリでした! プロデュースはブライアン・ブロンバーグ。少し前に彼が手掛けたAndrew Neuの最新作がお気に入りだったので今回も期待したのですが、またまた今回も大微笑み状態にしてくれちゃいました。感謝! ベースもスゴイが、プロデュースもツバチリ! 凄い方です!
 バックにはジェフ・ローバー、エリック・マリエンサル、リッキー・ピータースン他が参加。アンブロージアの<Biggest Part Of Me>をカヴァーしています(この曲の出来は、結構、普通ですが....)。レーベルは、The Music Force Media Group。近日、「Smooth Jazz Song File」にて再度クローズ・アップさせて頂きます。

「Smooth Jazz Song File」
(296)Kelly Sweet <Raincoat>
 from『We Are One』(2007:Razor & Tie)


●1988年3月29日、マサチューセッツ州で生まれたケリー・スウィート。現在19歳という年齢は、このコラム初の10代アーティストではないだろうか? ノラ・ジョーンズが大成功を収めて以来、ジャジーで品の好いシンガー・ソングライターがいろいろな所から登場して来るが、ケリーはそこにクラシカルな佇まいを同居させた、エレガントさがポイントになっている。ジャズとクラシックの両方をバックボーンに持っているからというただそれだけを理由にマーク・ポートマンとコラボートする事を決め(要は、セリーヌ・ディオンやジョシュ・グローバンのプロデューサーだった事を全然知らなかった)、この才能に耳を奪われたデイヴ・コズが彼のツアーに同行させるなど、凡人とは全く違う道を歩んでいる彼女。とは言え、お堅いお嬢様ではなく、素顔の彼女は至って普通の女の子、そのまたギャップが新鮮だったりもする。そんなケリーのデビュー作『We Are One』から、ACで10位、スムース・ジャズ・チャートで11位まで上がったこの曲もやはりマストであろう。この透明感、この美声は、まさに天使の如く、だ。

<10月22日(月)>

「今日の出来事」

●今日は朝からメジャー・リーグ:アメリカン・リーグの優勝決定戦、レッド・ソックス vs. インディアンズの試合に釘付け。レッド・ソックスは松坂投手の先発で、観る方もドキドキ。お陰さまでと言いましょうか、松坂・岡島両投手が踏ん張り、さらに、終盤には打線も爆発! 見事に勝利を収め、松井稼頭央選手の居るコロラド・ロッキーズと、ワールド・チャンピオンの座を争うことになりました。西武ライオンズ・ファンである(あった???)私としては、元西武の選手がメジャー・リーグの頂点争いに携わっていることを心から喜んでいますが、どっちを応援するかは、非常に微妙。なんたって、ロッキーズ終盤の快進撃は神掛かっているというか、マンガの様で面白過ぎますからね(ここ22戦くらいで1回しか負けていないそうです)。

 そして、試合が終わった午後から漸く「Adult Oriented Radio」 の選曲、翻訳、進行表作り。7時からの収録にギリギリ間に合い、その後は、スタッフと焼き肉。平日限定という「牛角」の食べ放題、非常に好いですね、¥2,200でこの美味しさは感激です。さ、これでパワーアップ! いろいろ忙しい今週もビシッと乗り切りましょう!

「Smooth Jazz Song File」
(295)3rd Force <Revelation Of The Heart>
 from『Force Field』(1999:Higher Octave)


●Higher Octave Musicがスタートした1986年からそのレーベルに在籍し、精力的にソロ作を発表して来たマルチ・インスト奏者ウィリアム・オーラ。その彼が次なるプロジェクトとして3rdフォースをスタートさせたのは1994年のことだった。2人のキーボーディスト&プログラマーと生み出すサウンドはニュー・エイジ的な空気感を残しつつも、ポップでキャッチーな旋律やアップビートなグルーヴを随所に盛り込み、ラジオ・マーケットに大きくアピール。さらに、スムース・ジャズ界の第一人者をゲストで迎えたゴージャスで緻密な作りは、まさにスムース・ジャズの完成品、そう言ってもおかしくないものだった。とにかく曲が好く、2曲の新曲を加えた2000年のベスト盤『Collective Force』など、いったい何回リピートした事だろう。ポール・テイラーのソプラノ・サックスとブライアン・ヒューズのギターをフィーチャーしたこの曲ももちろんそこに収められている大定番。Bメロの展開の上手さとアンサンブルの妙、そして知的な"間"と今日的なヴァイブ、それらを全て兼ね備えた、驚愕とも言うべき1曲だ。

<10月21日(日)>

「今日の出来事」

●今日もとにかく「Smooth Jazz Song File」。ようやく、日記の更新に追いついたというか....やはり10日も空けると挽回が辛いです。

「Smooth Jazz Song File」
(294)Donald Fagen <I.G.Y.>
 from『The Nightfly』(1982:Warner)


●アメリカのCDショップでドナルド・フェイゲンのアルバムを探すとしたら、まず大抵の場合はPop/Rockセクションで見つけられる。マイケル・フランクスはおそらくJazzのコーナーに入っているし、ボビー・コールドウェルもJazzかSoul/R&Bに分類される事がほとんど。そういうことを考えると、やはりフェイゲンの在籍したグループ:スティーリー・ダンがアメリカではロック・グループと捉えられていた事を物語っているような気がしてならない。フェイゲンのソロ作は多分にジャジーな音の構築がなされているのだから。ただ、ひとつ1言える事は、2006年の3作目『Morph The Cat』からシングル・カットされた<H Gang>もスムース・ジャズのチャートを上昇したし、要はこの人はスムース・ジャズの王道を行くヴォーカリストの1人だということ。そして、それはアメリカのラジオ業界においては、アニタ・ベイカーやシャーデーと同じ位置に居るアーティスト、だということだ。クールでインテリジェントなサウンド、ヴォーカル。これだけ高度な音楽なのに誰もが滑らかに楽しめる、まさに奇跡の作品だ。