<1月10日(木)>

「今日の出来事」

●今日は久しぶりにゆったりデイ。なので、4日分も溜まってしまったこの日記更新に力を注ぎ、「Smooth Jazz Seduction」もひたすら力んで(?)書き上げました。

 その"Seduction"ですが、1週間のコラム・ローテーションがほぼ固まりました。
毎週(木)が「Smooth Jazz Chart」
(金)が「Smooth Jazz Label File」
(日)が「続・Smooth Jazz Song File」
となります。
その他にも、マンスリー企画で
「Smooth Jazz Legends」
「Smooth Jazz New Releases」
「Smooth Jazz な独り言」
「Smooth Jazz パート別:Top 10」

他を考えております。出来ましたら、お付き合いのほど、宜しくお願い致します。

「Smooth Jazz Seduction」
(010)Smooth Jazz Chart(2)
 Boney James <Let It Go>
 from『Shine』(2006:Concord)


●1月11日付けのRadio & Records誌Smooth Jazz Chart から主立ったところを抜粋。先週まで6週間No.1をキープしたCandy Dulfer<L.A. City Lights>に変わって、Boney James<Let It Go>が首位を獲得した。この曲は2006年のアルバム『Shine』からの第3弾シングルとなるが、これで1stシングル<The Total Experience>(4週間)、2ndシングル<Hypnotic>(3週間)に続いて、3曲連続のNo.1を達成。改めてその人気の高さを知らされる。キャッチーなサビと滑らかなメロディー構成はボニー・ジェイムスの面目躍如たる1曲で、さて、今回は何週間トップの座を守れるのか、非常に興味深いところだ。
 その他の目立った動きでは、やはり、着実にランクを上げているPaul Hardcastle<Lucky Star>が要チェック。2月5日に全米でリリースされる『Hardcastle 5』からの1stシングルで、相変わらずのPH節が満喫出来る。この人の変わらぬ人気、それも、アメリカで、には、いつもながら驚かされる。サウンドはひとつのパターンを踏襲しているし、ツアーをいっぱいやって人気を高めるというタイプではないので....。
 地味ながら確実にチャートを上げているのは、他に、Nyee Moses<Between Us>、Euge Groove<Mr. Groove>といった辺り。特に、現在19位のEuge Grooveは今後、Top 5まで上ることはまず間違いないだろう。場合によっては<Born 2 Groove>に続く2曲連続No.1の可能性も....。

<1月9日(水)>

「今日の出来事」

●結構な二日酔いにつき、午前中は機能せず。2008年も相変わらず、です(苦笑)。

 そして、午後は、某メジャー・レーベルのコンピレーションCDの選曲。AORど真ん中のコンピなので、王道の曲を並べて、という決して難しくはない作業ですが、逆に1レーベルでも、無茶苦茶多いので、どれを絞るか、迷ってしまいます。プロデューサーさんからは40代以上の女性が懐かしがって楽しめるもの、というオーダーを頂いていますので、本当にビギナー中心のセレクションなんですが、それでも、結構、悩みました。3月末には出したい、とのことでした。詳細はまた追って。

 その後、池袋のビック・カメラに買い物に行ったりなんだりで、さ、夜は、今年初めてのブルーノート東京へ。出演は、Neil Larsen "Orbit" feat. Michael Landau。
 ランドウさんは、ロベン・フォードのジン・チでもゲストでこのブルーノートに出演していますが、なんか、嬉しいですね、彼があのステージに立つのは。今回もメンバーはなかなかで、ドラムス:トム・ブレックライン、ベース:レジー・マクブライド、トランペット:リー・ソーンバーグ、サックス:スコット・メイヨ、という、何れもがL.A.のトップ・ミュージシャン。初日の1stということもあってか、全体的にスゲ〜ッ!というアンサンブルは味わえませんでしたが、たっぷり1時間半! そうです、普段は1時間10分やそこらで終わってしまうブルーノート・ギグからしたらかなりの長尺。終演後に時計を見たら、8時37分でした。拍手! また、終演後にはラーセンさんとランドウさんの2人が並んで座り、サイン会も行われていました。12日の土曜日まで1日2ステージあるので、ぜひとも、お時間のある時に!
P.S. プロモ来日中のルカサー氏が観にきて、"親友"ランドウさんとハグハグしてました。

「Smooth Jazz Seduction」
(009)Smooth Jazz Scene 2007 総括(後編)
 U-Nam <Street Life>
 from『Back From The 80's』(2007:Soulvibe)


●最後は新人、若手に目を向けてみたいが、個人的にはかなりの豊作だった気がする。十二分に楽しませて頂いた。ラジオで一番かかった、という点では、パリのギタリスト:U-Namの<Street Life>がおそらくダントツで、その他はギターのJay Soto<Slammin>、ヴォーカルのKelly Sweet<Raincoat>、サックスのJackiem Joyner<Stay With Me Tonight>、といった辺りがヘヴィ・ローテーション&チャートの上位を記録している。ちなみに、U-NamとJay Sotoは共にデビュー作ではなく2枚目のアルバムなので、純然たるニュー・カマーではない。また、Jackiem Joynerは、松居慶子グループのメンバーにも抜擢された注目株でまだ20代後半という若さ。レーベルもリック・ブラウン&リチャード・エリオットのARTizenであり、今後の期待は極めて大きい。また、2006年に自主制作で発表したアルバムが2007年になって改めてしっかりとした流通を確保、それによって日本の外資系CDショップでも手に入るようになったNyee Mosesも注目の存在だ。<Between Us>が年の終盤になってチャートを上昇し、その雰囲気たっぷりの歌声&メロディが広く知られるようになった。このシンガーとの出会いも2007年の大きな収穫だった。
 また、まだまだチャートに上がるまでは至っていないが、曲の好さ、アルバムの完成度で十分に納得させてくれたのがサックス奏者Justin YoungとAndrew Neuの2人。Andrewは7年振りの2ndだが、非常に洗練されたトーンで心地好い気分を満喫させてくれる。Brian Brombergのプロデュースも抜群の冴えを見せ、今後のブレイクを予感させる存在へと成長した。一方のJustin Youngはとにかく曲作りが上手い。適度の重みが在りながらしかし流麗さも備えたサックス、そんなプレイが印象的だっだ。そしてもう1人、フルートのDwayne Kerrにもやられた。彼はErykah Baduバンドのメンバーでもあり、そのErykahがゲストで参加した<Ain't No Sunshine>はラジオでも結構かかっている名トラック。美麗繊細ではなく骨太ソウルフルなトーンが気持ち好く、また、どの曲もトラック作り、いろいろな音の"入れ方"が舌をまくほど見事。聴く度に新たな発見がある。

<1月8日(火)>

「今日の出来事」

●いきなり、軽めの二日酔い。ま、新年会系が多い今月はしょうがないかな、と。でも、10時からはちゃんと仕事。昨日収録した「Adult Oriented Radio」を検聴して、Qシートを書いて....で、お恥ずかしながら、1カ所、音飛びが発覚し、急いで、差し替え作業。ホント、半年に1〜2回は起こりますね、CD or MDの音飛び。CDの音飛びの場合は大抵現場で気が付くので、恐らく、録音時にMDに生じたものだと思いますが、心を込めた検聴、超大事です。ちゃんと、家で入れ直して事なきを得ました。

 そして、夜は新年会Part-3。吉田の鐘太郎さんと、それから、ディストリビューション他いろいろでお世話になっている某プロダクションの社長さんと3人で、渋谷:公園通りの中華へ。かつては新宿の職安通りに在ったという店で、スタッフはほとんど中国人というかなりに本格派な店。美味しいものが多かったし、家で真似てみよう、と思ったものもあり、非常にグッドでした。その後も、あっち行ってこっち行って、締めのラーメンで、で、帰ったのは2時頃。疲れましたが、新年会モードとしてはこれくらいの盛り上がりが大事かな、と。

「Smooth Jazz Seduction」
(008)Smooth Jazz Scene 2007 総括(中編)
 Will Downing <After Tonight>
 from『After Tonight』(2007:Peak)


●(中編)となる今日は、プロデューサー、コンポーザー陣の活躍にスポットを当ててみよう。Smooth JazzはAORと全く同じで、優れたプロデューサーやアレンジャーの仕事がアルバム作りに殊の外、大きな影響を与えている。そして、ラジオ乗り、という部分を重視するがあまり、ミックス・ダウンのみをPaul Brownに依頼する、という作品も見つけられた。もちろん彼は元々エンジニアとして活動していた人なので、ある意味至って普通の行為かもしれないが、バジェットやスケジュールの問題でプロデュースを頼むことが無理だとしても、ミックスによって一段上のレヴェルに持って行こうとする流れは今後もどんどん増えていくかもしれない。
 そんなPaul Brownが2007年にプロデュースした主な作品は自身のアルバムが挙がり、その他はJay Sotoなどごく数枚。そして、そんなPaul Brown以上に売れっ子だったのがRex Rideout。L.A.ベースの黒人プロデューサー/コンポーザー/キーボーディストだが、いわゆるブラコン的なサウンドを任せたら現在右に出る者無し! 2007年も、Will Downing、Kirk Whalum、Paul Taylor、Rick Braun & Richard Elliot、Everette Harp、Ledisiらの作品をプロデュースしている。それから、ここ1〜2年、最も注目している若手クリエイター:Darren Rahnの活躍も十分に納得の行くものだった。2007年はプロデュースこそ、Dave Sereny、Jay Soto、Marcus Mitchellとマニアック系が多かったが、アレンジでBrian Simpsonの『Above The Clouds』に参加、また、2006年に手掛けたWayman Tisdaleの作品が2007年にチャートを上ったり、また、自身のリーダー作『Once In A Lifetime』がNuGrooveから再リリースされ、ラジオでも改めてOAされるようになった。そんな意味でも確実なる前進が伺えた。
 それからちょっと毛色が違うと言えなくもないが、Shanachieから登場したヴェテラン系アーティストのアルバムでこれでもかとポップ・クラシックスのカヴァー集を作り続けたChris "Big Dog" Davisもある意味、今、一番忙しいプロデューサーの1人かもしれない。Phil Perry、Vesta、Maysa、さらに、Streetwize他の企画もの3〜4枚もChrisの仕事。加えて、Najee、Kim Watersといった王道アーティストのソロ作でも名前が見つけられるのだから、そのヴァイタリティたるや半端ではない。

<1月7日(月)>

「今日の出来事」

●朝から「Adult Oriented Radio」 の最終選曲&進行表作り&翻訳。そしてお昼に家を出て1時から収録2本。

 まずは、『Smooth Jazz Seduction』の1月号(SKYPerfecTV 400ch.。1月15日(火) 22:00〜23:00 OA、1月19日(土) 11:00〜12:00 再放送)。
 今回は、2007年を振り返って、がテーマで、"中田利樹のMy Smooth Jazz Awards" 各賞の発表を行いました。結果は如何に〜?? 1月20日過ぎに、このコラムでもご案内致します。

 そしてその後、レギュラーの「Adult Oriented Radio」 の収録。1月12日OA分で、後半の1時間は、またまたシンガー&俳優の石井一孝さん、ご登場です! 7曲OAのうち、またまた、マニアックなものを差し込んでくれて、思わずニッコリの私。相変わらず、楽しく楽しく出来ました。
 何がかかったかは、OA日以降に、FM Co-Co-LoのHP:www.cocolo.co.jp/aorをご覧頂ければ、と思います。

 そして、スタッフと新年会.今日は3人だけでしたが、アドリブ誌:山崎エディター登場の回の収録後は、当然、こちらも新年会。さ、何を食べましょうかね? 忘年会は、黒豚しゃぶしゃぶだったような...

「Smooth Jazz Seduction」
(007)Smooth Jazz Scene 2007 総括(前編)
 Rick Braun & Richard Elliot <R n R>
 from『R n R』(2007:ARTizen)


●2007年の Smooth Jazz シーンは一体どうだったのだろうか? それを3回に分けて振り返って行きたい。まず1回目の今日は、中堅〜ヴェテラン勢の活躍に関して。総体的に見て、可もなく、不可もなく、ではないだろうか? 話題作をいろいろと振り返ると、Rick Braun & Richard Elliotという、Smooth Jazz 界の代表選手にしてARTizenレーベルの主宰者でもある2人がコラボレートしたアルバム『R n R』が一番印象に残っている。ポップなタイトル・チューンももちろん最高だが、哀愁の旋律を届けるRick、男気溢れるトーンのRichard、この2人の持ち味が本当によく発揮された絶品の1枚だ。Boney James & Rick Braunの『Shake It Up』、あるいは、Rick Braun、Kirk Whalum、Norman BrownのBWBによる『Groovin'』など、Rick Braunはユニットを組むのがかなり好きなようだが、どれも仕上がりはピカ一。これぞ熟練の技なり、だ。
 コラボレーション、という意味で言えば、Al Jarreau、Bobby Caldwell、Boney James、David Benoit...錚々たるゲスト陣を迎え、名義もPaul Brown & Friendsとしたアルバム『White Sand』は、まさにSmooth Jazz Stationばりのヴァラエティさが魅力となった必携の作品だ。そして、ヴァラエティ豊かなサウンド、陣容で楽しませてくれたのがKeiko Matsuiの『Moyo』。新天地としては文句の付けようが無い仕上がりを見せている。
 その他、パート別で振り返ると、サックスではWalter BeasleyとKim Watersという、シーンのど真ん中を行くアーティストの作品が非常に安定していた。いったい何度、頬が緩んだことか。また、Kirk Whalumも流石の内容。そして、Candy Dulferに予想以上の親しみを抱いた。
 ここ数年はギターの勢いが凄いが、2007年もNorman Brown、Marc Antoine、Chuck Loebが貫禄を締めてくれた。そして、キーボードではJeff Lorberの『He Had A Hat』が聴きこむうちにどんどんと好きになっていく熟練者ならではの仕上がり。ヴォーカルではWill Downingの『After Tonight』が期待通りの内容だったが、それ以外は、楽曲単位で楽しむ止まりだったかな、という気も。一番、物足りなかったのはグループで、Four80EastとDown To The Bone、それに、Shakatak以外はこれだというアルバムがなかった。やはり、RippingtonsやPieces Of A Dream、3rd Force、Urban Knights辺りの新作が無いとちょっと淋しい感じがする。2008年はぜひ!

<1月6日(日)>

「今日の出来事」

●1月3日まできちんと更新していた日記が2日分溜まっただけでさあ大変! 一生懸命書いていたら、なんだか、今日も1日が過ぎて行った、そんな日でした。ただ、夕食後は、明日収録の『Smooth Jazz Seduction』の進行表作りと、「Adult Oriented Radio」 の大まかな選曲を致しましたが。

 マイケル・ランドウさんからメール。「新年おめでとう! 9日から12日、ニール・ラーセンとブルーノートに出るよ」。非常に楽しみです。

「Smooth Jazz Seduction」
(006)続・Smooth Jazz Song File(1)
 Blue Six <Let's Do It Together>
 from『Beautiful Tomorrow』(2002:Naked Music)


●Blue SixはN.Y.出身のサウンド・クリエイター:Jay Denesを中心としたプロジェクトで、アンビエントでセクシーなハウス・ミュージックを堪能させてくれる。完全なクラブ仕様で、若い人たちから大きな支持を集めているようだが、トラック作りに於いては非常にオシャレなコードを配し、その上を滑らかに踊る女性ヴォーカルがこれまた雰囲気抜群。大人のリスナーでも首を縦に振ることは間違いないだろう。アメリカのSmooth Jazzのステーションでどれだかかかっているかは解らないが、このセンスの好さはSmooth Jazzとしても十分に対応出来る、若いクラバーだけのものにしておくのは勿体ないと、ここに選出させて頂いた次第。今回はシングルにもなったアルバムの1曲目をセレクトしたが、大半の曲がお薦めで、キュートでロマンティックな<Love Yourself>も、また、ミュートしたトランペットが如何にもSmooth Jazzな<Close To Home>も十分にあり。末永く付き合える作品だ。

<1月5日(土)>

「今日の出来事」

●朝、新聞を見ると、中西圭三さんの結婚ことが載っていて吃驚! お相手は中西さんの曲<ぼよよん行進曲>でも作詞をしていらっしゃる田角有里さんで、年末に入籍を済ませている、ということでした。で、早速、昼間、おめでとうございます!メールを送りました。そうしましたら、直ぐにお返事を頂き、超恐縮の中田です、知人関係からどひゃ〜っとメール届いていますでしょうに。これからも頑張って下さい、マジで応援しておりますので。「R35」のライヴ・コンサートも非常に楽しみです。

●冬空の中、鐘ちゃんのところにCDを取りに、自転車を飛ばす私。正直寒い、顔が冷たい、ですが、利点が3つ。

1.まず、飲み食いが続いている正月の身体に程良い運動を与える。
2.そして、寒いから自転車は辛い...という弱気、億劫な気持ちに打ち克つ。
3.さらに、自転車に乗っている時は、メロディーが浮かび易い!

3番目の、マジなんです。その証拠に、ものの片道=10分ほどで、フル・コーラス出来ましたから、今日も、本当に。イントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、ちゃんとセットで。しかも、イメージは、浜崎さんに歌って欲しい、という感じの今時系。なんだか、降って来ました、突然。ま、恐らく理由は、寒いから気合いを入れてペダルをこぐ、そして、そのこいでいるリズムがなんだかダンサブル?なロック、になったのではないでしょうか? 面白いものです、非常に。
 で、家に帰るや否や、その曲を譜面に書き留める中田。普通の人は、ここでまずコンピューターに打ち込むのでしょうが、私は手書き。ちなみに、家に帰るまで忘れない、というのが非常に大事なポイントですね。大抵の場合、途中で忘れてしまいますから。

●そして、今年最初の夕食当番。今夜は制作物3点、温める&焼くだけ&刺身、各1点ずつという、比較的、楽なコースでした。そして、後片付けをしてから速攻で渋谷のライヴ・ハウス「多作」へ。パイロットのデヴィッド・ペイトンさんの友人さんがレコメンドしてくれた英国人のシンガー&ソングライター、Paul Ballardさんのパフォーマンスを観に行ったのですが、日本語が上手くて吃驚! 日本語のオリジナルも半分くらいありましたが、全く問題無し! 特に、iTunesで配信している<Hotto Suru(ほっとする)>は名曲ですね、メロディーもサウンドも声も歌唱もまさに完成品。http://www.myspace.com/paulballardを訪問すると自動的に聴こえて来ますので、ぜひ一度、試聴して頂きたいです。そのページの左側にある「music」をクリックすればさらにいろいろな曲が聴けますので、そちらも併せてお楽しみ下さい(ただ、ギター1本のライヴと違って、かなり、ロックな曲も少なくないですが...)。
 終演後に挨拶をし、いろいろとお話しさせて頂きましたが、明るくて、非常に好い感じの青年でした。まだ25歳なんですね、若!
 しっかし、英国の青年が日本語で「せちがらい世の中」ですとか「悪が勝つこともあるのだから」とか歌うと、私はいったい何人なんだ〜!?と思ってしまいます。曲は書くけど詞は書けない人なので...
 ポールさんは日本が好きで好きでしょうがないようで、日本での成功を第一に考えているようです。今回は他に3本、都内のライヴ・ハウスに出演していますし。ただ、明後日の月曜日には英国に帰らないといけないそうで、早くも帰国を悲しがってました。また来て下さい&プリーズ・キープ・イン・タッチで。

「Smooth Jazz Seduction」
(005)Smooth Jazz の歴史
 Paul Simon <Graceland>
 from『Graceland』(1986:Warner)


●Smooth Jazzのフォーマットを作り上げたのは1987年2月14日、LAで開局したKTWV=94.7 FM、いわゆる、WAVEステーションだ。その創始者の1人であるフランク・コーディー氏 -- 彼は元々、N.Y.のテレビ局NBCでデヴィッド・サンボーン他とジャズの番組をやっていた人で、現在は、Rendezvous Entertainmentの重役でもある -- は、コンテンポラリー・ジャズが聴けるラジオ・ステーションが少な過ぎる、トラディショナルなジャズはまだ聴くことが出来るのに、ということを常日頃から不満に思い、新たなるフォーマット、新たなるコンセプトによるFMステーションを自ら立ち上げることに。その礎となる音楽は大きく分けて次の3つになっている(フランク・コーディー氏へのインタヴューから抜粋)。
1.New Age Music
2.Contemporary Jazz
3.Vocal Music
この3つのミクスチャーこそがSmooth Jazzのベーシックであり、確かに当時としては画期的な作りと言って好いだろう。それまで、ラジオではなかなかかからなかったNew Age MusicやContemporary Jazzを、Vocal Musicと併せることで新たな可能性を探り出している点がポイントだ。また、そのVocal Musicでは、スティング、シャーデーから、Quiet Stormというフォーマットでいち早く人気を獲得していたR&B系のバラード、さらに、グラミー賞にも輝いたポール・サイモンの『Graceland』まで、広義でのAdult Contemporaryがその対象になっている。
 WAVEは直ぐに大きな成功を収め、同じ年、全米の主な都市がこのWAVEのフォーマットを真似するようになる。ちなみに、Smooth Jazzという名称は開局当時からあったわけでなく、その1〜2年後、シカゴのSmooth Jazz系ステーションWNUAのDJがリスナーの人に「君はどんな音楽が好きなんだい?」と訊ねたところ、「う〜ん、ロックではなくて.....ジャズと言えばジャズなんだけれど、そうね....スムースなジャズ」と答え、それを聞いていたスタッフ陣がその"Smooth Jazz"という言葉に興味を持ち、ステーションでもそれを連呼するようになる。そして、やがては、それが全米へと浸透していくわけだが、1990年代の初頭はこのジャンルがNAC=New Adult Contemporaryという名称で括られていた。それはラジオ局のエアプレイ回数を集計してチャートにするRadio & Records 誌が独自で打ち出したもののようだが、結局は2〜3年でその名称はなくなり、改めてSmooth Jazz Chart として、R & R 誌に掲載されるようになる。

<1月4日(金)>

「今日の出来事」

●今日から仕事始め....なのでしょうが、あまりそう言えなそうな、のんびりムードの1日でした。ま、ただ、CDの通販は今日からスタートしましたし、飲み会も今日から始まったので、やはり、仕事始めなのでしょうが。そうです、外で飲むのも仕事の一貫です、たとえ、誰がお相手であっても(笑)。その飲みは、いきなり銀座まで繰り出したのですが、思ったより全然空いてました。三が日の昼間は凄い人だったのでしょうが、もう4日ですし、金曜日と言えども今日まで休みとうオフィスも少なくなかったのでしょう、目的の店も全然楽勝で入れました。2軒行くも、もちろん電車で帰る健全な生活。ま、これなら、二日酔いも軽めで済むでしょう(笑)。

 今日は、朝起きた時に、キャッチーなリフ兼メロディーが浮かんだので早速五線紙に。プレッシャーにせず、"気軽に前向き"で取り組んでいるのが好いのでしょう、なんだからスラスラ浮かんできます、2008年。今日のは80's風のポップで、その浮かんだサビに持っていくべく他も考えましたが、Aメロはさっと出来ました、頭で。で、ギターを抱えてBメロを考えるも、これはダメでした。またそのうちチャレンジ致します。

「Smooth Jazz Seduction」
(004)Smooth Jazz Label File (1)〜 Rendezvous Entertainment 〜
 Marc Antoine<Mediterraneo>
 from『Mediterraneo』(2003:Rendezvous)


●“会合の約束、その場所”という粋な意味を持つ"Rendezvous"は、スムース・ジャズ界きっての人気サックス奏者デイヴ・コズがABCやNBC等でトップ・レーティングを誇る数多くの音楽番組を手掛けてきた“仕掛人”フランク・コーディーと立ち上げた、スムース・ジャズの将来を担う話題のレーベルだ。コーディー氏は東京のJ-WAVE立ち上げの際にも多大なる協力を施した人で、当時からブラック・コンテンポラリー、フュージョン、ニュー・エイジを見事なミクスチャーで聴かせる“クワイエット・ストーム・フォーマット”の第一人者として活躍していた人。そんなこともあり、古くからデイヴ・コズの音楽の信奉者であった。コズ自身、全米のスムース・ジャズ・ステーションでレギュラー番組を持ち、音だけでなくそのパーソナリティーでも人気を集めているが、このランデヴーが発足したのは2002年。レーベルとしてではなく、原盤制作プロダクションとしてコンピレーション・アルバム『Golden Slumbers - A Father's Lullaby』を発表し(ディストリビューションはWarner)、その後、アーティストの獲得から戦略まで入念な準備を終え、2003年から本格的なリリースを開始。その第一弾となったのはフランス出身のギタリスト:マーク・アントワンの『Mediterraneo』。ビルボード誌のContemporary Jazz Albums Chart では最高9位を記録し、Radio & Records 誌のSmooth Jazz Chart ではタイトル・トラックの<Mediterraneo>が見事No.1に輝き、上々の滑り出しを見せている。そして翌年には、ボビー・コールドウェルのバンドから独り立ちしたサックス奏者マイケル・リントンや、元NBAのプレイヤーで過去にもMoJazzやAtlanticからソロを出している人気ベーシストのウェイマン・ティズデイルの移籍作品をリリース。そして2005年には、人気スターのジョナサン・バトラー、そして同じく絶大なる人気を誇るカーク・ウェイラムも移籍し、レーベルとしての認知度を何倍にも広めている。
 2006年以降もブライアン・シンプソン『It's All Good』、ヴァリアス・アーティスト『Forever, For Always, For Luther Volume II』、パティ・オースティン『Avant Gershwin』といった制作ものから、カイル・イーストウッド『Now』、フィリップ・セス・トリオ『The Body And Soul Sessions』といったライセンスものをヒットさせ、好調を維持しているが、もうひとつRendezvousの特徴として忘れてならないのが、ヨーロッパの若手アーティストを積極的にアメリカに紹介している、という部分だ。オランダのサックス奏者:プラフール(Praful)やギタリスト:カミエル(Camiel)をヒットさせたり、Lounge/Chill Out系のコンピレーションで、常に次代のスター発掘を試みている。この前進を続ける姿勢には心から拍手を送りたい。
 主宰者の1人、デイヴ・コズが未だCapitolと契約が残っているため、Rendezvousからのソロ・リリースには至っていないが、これが実現した時、Rendezvousはアメリカで最も重要なSmooth Jazz レーベルになることは間違いない。http://www.rendezvousmusic.com

<1月3日(木)>

「今日の出来事」

●今日は朝酒もせず、至って普通の生活に戻っています。体調好く1日を過ごせるというのは本当に素晴らしいですね。やはり二日酔いの日はせいぜい1週間に一度、に押さえたいです、今年は。
 で、今日は、「Smooth Jazz Song File」の空欄を少し埋めたり、「Smooth Jazz Songlist」に新たな曲の追加をいろいろとやったり、何をしたり、で、夕方になり、夜は、アレンジャーの某氏にプレゼンすべく自作曲を五線紙に書き上げました。毎週1曲は譜面にする、が、当初の目標でしょうか? 今日は、1月1日に完成したばかりのバラード。かなり、"ピアノで書いた"風の曲調です、実際は違いますが(笑)。

「Smooth Jazz Seduction」
(003)Smooth Jazz Chart(1)
 Paul Brown <The Rhythm Method>
 from『White Sand』(2007:Peak)


●Smooth Jazz の人気曲を知る上で、最も重要な媒体はもちろん、ラジオ局におけるオン・エアー回数。その仕組みや裏事情に関しては、また、追々触れてみたいと思うが、それぞれのステーションが、独自のエアプレイ・チャートを作り上げ、毎週、HPのどこかで発表している。そして、それらの総合チャートとも言うべきがRadio & Records誌のSmooth Jazz Chartだ。1990年代初頭はNAC = New Adult Contemporary Chartと呼ばれ、曲単位ではなく、アルバム単位で発表されていた、
例えば、
(1) Dave Koz『Dave Koz』(Capitol) 
主なOA曲<Castle Of Dreams><Nothing But The Radio On>

といった具合に。
 そして90年代中盤からSmooth Jazz Chartと名称が変わり、楽曲尊重へと移行していった。このRadio & Records誌、日本でもたいがいのFM局が定期購読していたと思うが、インターネットが普及している昨今、どれだけのステーションが買い続けているかは解らない。定期購読は年間約9万円、1イシュー約1,800円と、決して安いものではないが、インターネット上は最新情報しか載っておらず、過去のデータを見ることが出来ない。故に、やはり現物で取っておく方が後々を考えると便利な気もする。
 そんなRadio & Records誌の2007年間チャートが発表されているが、それを見ると、1位はPaul Brownの<The Rhythm Method>になっていた。Peak移籍第1弾となる『White Sand』(名義はPaul Brown & Friends)からの1stシングルだが、比較的地味な印象の曲で、かつ、チャートのNo.1に輝いたのも3週だけだったので、これは意外な感じがした。No.1に輝いた週の数で言えば、Rick Braun & Richard Elliot<R n R>(10週)、Peter White<Mister Magic>(8週)、Kirk Whalum<Give Me The Reason>(7週)、Norman Brown<Let's Take A Ride>(7週)などに全然及ばないのだから。また、年間最優秀アーティストにはBoney Jamesが輝いている。

<1月2日(水)>

「今日の出来事」

●昨日は全然、日記の更新もしなかったので、今日は流石に午前中からパソコンに向かってそれなりに頑張りました。そして、下の新コラムもスタートしました、「Smooth Jazz Seduction」。不定期で喋らせて頂いているSTARdigioの番組名をそのまま流用することにしました、"魅惑のスムース・ジャズ"、みたいな意味合いで。
 今までの「Smooth Jazz Song File」よりもスラッと書けるので、滞ることは極めて少ないと思いますが、なんとか、これも1年企画として続けていきたいな、と。文体は、敢えて「です、ます」にしていないので、時として、偉そうなこと言ってる風に響いてしまうかと思いますが、そこはひとつご了承のほどを。
 因みに、いくらSmooth Jazzに全てを捧げる中田としましても、1年で300以上、毎日違ったコラムを書くことは不可能なので、毎週何曜日は何々(ex. 金曜日は「Smooth Jazz Label File」)というコーナーも2つ、3つ、設けさせて頂きます。かなりエキサイティング!

 夜は、姉一家がやってきて7人で新年会。中田作のコーヒー焼酎はまあまあの評判。でも、もっとお代わりしてくれると信じていたのでちょいと残念。めげずに次はレモン焼酎作りに励みたいと思います。もちろん、甘さ控え目で。

「Smooth Jazz Seduction」
(002)Smooth Jazzの魅力:その出会い(後編)
 The Dave Brubeck Quartet <Take Five>
 from『Time Out』(1959:Columbia)


●(昨日からの続き)L.A.のフュージョンは昔から好きだったし、それなりにアルバムも買い集めていた。しかしながら、それまでの聴き方は間違いなくアルバム単位。それはもちろん、AOR=Adult Oriented Rockを聴く時も同じだったが、WAVEに出会ってからは、アルバム単位と楽曲単位が、ほぼ半々に変わっていった。しかも、いわゆるシングル曲を重視する比重がグッと増えていく。確かに、アルバムの中の隠れ名曲を発見し、それを他人に自慢することは時として爽快な気分になれる。けれども、ラジオが重要視しているものは1にも2にも大衆性であり、マニアやコレクターの世界とは一線を画すものだ。自分自身、J-WAVEの初期はかなりエゴが強かったと思うが、3年も経つ頃にはしっかり丸くなっていた気がする。当たり前の曲でも、組み合わせの妙によって何倍も光らせることが出来る、それが、ラジオの選曲家の手腕の見せ所だ、と。それを教えてくれたのは先輩ディレクターのアドヴァイスではなく、やはり、L.A.で聴いたWAVEステーションだという気がしてならない、今、振り返っても。ケニーG<Songbird>〜フィル・コリンズ<One More Night>〜アコースティック・アルケミー<Same Road, Same Reason>〜デイヴ・ブルーベック<Take Five>、こんな並びで来られたら、どの曲も際立って響くのではないだろうか、サックスのインストが4曲続くよりも。
 「AORはジャンルではなくテイスト。ジャズっぽいもの、ソウルっぽいもの、ロックっぽいもの、いろいろなAORがある」という言い方は昔からよく使って来たが、これは、Smooth Jazzにも全く同じことが言える。フュージョン、R&B、ポップ、ラテン、ワールド、ニュー・エイジ、時として、ロック、テクノ....。「アーティスト単位ではなく楽曲単位」、そして、これを言うのはちょっぴり躊躇いもあるが、「オリジナル・アルバムよりもコンピレーション」、それこそが、Smooth JazzをSmooth Jazzとして楽しむ最良の手段であろう。そしてシチュエーション。「聴く」のも大事だが「流す=生活の一部にする」ことがより重要。朝起きたら、夜、仕事から帰ったら、まず、何はともあれ、Smooth Jazzを部屋に流す。あるいは、車で移動中、渋滞に巻き込まれても身体と心をリラックスさせてくれる、それがSmooth Jazzの最大の活用法。皆が皆、絶対にそうだとは決して言わないが、僕はそうやってSmooth Jazzと接して来た。そして、Smooth Jazzから元気と喜びを注入してもらった。

<1月1日(火)>

「今日の出来事」

●2008年がやってきました。歳をとると本当に1年1年がアッという間で吃驚してしまいますが、今年もなんとか無事に過ごして行きたいな、そんな気持ちでいっぱいです。
 そう言えば、この4月8日でレーベルとしてのクール・サウンドも丸10年となりますが、昨今の"CD売れない事情"を考えますと、10th Anniversary Releaseも無さそうかな、といった状況です。楽しみにして下さるファンの方には誠に申し訳ないのですが....。
 元旦の今日は本当に食っちゃー寝、状態。ま、三が日くらいは飛ばしますが、4日以降は少しセーヴ気味で行きたいです、今年は。
 それでもって、2ヶ月くらい前からコーヒー豆と氷砂糖を漬けておいた焼酎、いわゆるオリジナルのコーヒー焼酎を今日、遂に呑んでみたのですが、いや〜、飲ん兵衛には甘過ぎました! そうですよね、氷砂糖入れ過ぎですね。なるべく、他の方に呑んで頂き、早くも第2弾の準備、という感じですね。コーヒー豆もホワイト・リカーも全然残っていますので。

 今日は、長い間、サビしか出来ていなかった曲のAメロ、Bメロがしっかり浮かび、結構、好い気分です、正月早々。今年は少なくとも50曲は書きたいです。そうすれば、1割りくらい使える曲もあるでしょうから(笑)。とにかく頑張ります、作曲活動。そうそう、ガレージ・バンドくらいマスターしないと拙いかな....。

 スムース・ジャズのコラムは今年も書きます。が、今度は、毎回、フリーな感じで書いていきますので、宜しかったらお付き合い下さい。

「Smooth Jazz Seduction」
(001)Smooth Jazzの魅力:その出会い(前編)
 Sade <Smooth Operator>
 from『Diamond Life』(1984:Epic)


●スムース・ジャズとの出会い、それは、やはりL.A.のFM局:WAVEとの出会いとイコールとなる。学生時代の旅行を除けば、1990年2月末の単身訪米が初めての本格的なL.A.滞在となるわけだが、その年の秋だったかに再びL.A.を訪れ、知人が運転するレンタカーから流れて来たWAVEに心を躍らされた。これが、本場のWAVEか、と。
 1988年10月1日、東京の新しいステーションとして西麻布に誕生したFM Japanが"J-WAVE"の愛称で大きな人気を獲得。運良く、開局からそこで制作の仕事に携わることが出来たわけだが、直接の提携ではないものの、J-WAVEはWAVEからいろいろなノウハウを学んでいた。そして、アメリカ制作の番組もいろいろと流していたが、そんな中に"AZ Wave"と呼ばれる"音の溝"がまさにL.A.のWAVEらしさを打ち出していた、それこそ、ニュー・エイジとライト・フュージョンを絶妙のバランスでミックスする10〜30分のフローティング・ゾーンだ。それらはあまりの心地好さ故、時に、リラックスし過ぎると言うか、右の耳から左の耳に、的なことも正直あったのだが、不思議なもので、同じような曲の並びでも、L.A.の車の中で、あるいはホテルの部屋で聴くそれは、全く持って新鮮そのもの。月並みすぎる表現だが、実にオシャレで都会的だった。東京では"音の観葉植物"、すなわち、生活空間を彩る一品とされていたそれらが、正直自分には今ひとつ実感出来なかったのだが、L.A.の気候、ロケーションが同じ音楽をここまで違って響かせるとは....その驚きは今でも忘れられない。それこそ、夜のSunset Boulevardで聴くシャーデー<Smooth Operator>は衝撃ですらあった。(続く)